縄文人はクリエイティブ。古代人の心に迫り、その文化の豊かさを知る本

石斧、木のくわ、鹿の角など、鉄器を使わずに家を建てるにはどうすればよいのでしょう。それには、自然の理を理解して、それに抗わず作業をする古代人の感性が大切です。自然の恵みを身の丈にあった分だけいただく姿勢、それが、持続可能な社会をつくるということを、縄文人のような生活を送る著者が身をもって語ります。

生活文化史の研究者が、専門外の考古学に挑んだ成果をまとめた本です。織物の技術は弥生時代に大陸からもたらされたとされています。しかし、著者は縄文土器の文様をつけるのに使われた「あんぎん」という布に着目し、試行錯誤の末、その復元に成功します。定説を覆し、縄文人の優れた技術に光を当てた渾身の一冊です。

縄文土器や土偶を見て、縄文人の独創的な表現力に感心した人は多いでしょう。しかし、なぜ縄模様が使われたのか、裸の女性の土偶が多いのか、といった疑問に対しては、未だはっきりした答えが出ていません。本書は、心理学や人類学、民俗学などの知見を生かし、考古学の枠を超えて縄文人の心の解明を試みる野心作です。

近年、注目度がアップしている日本の美術の源流を、古代の発掘品にさかのぼって探求します。日本美術には独創的な装飾を施した華麗な縄文的な流れと、装飾を極限まで削ぎ落とした「わびさび」の弥生的な流れがあるといいます。古代から現代までの作品をたどり、二つの流れを比べつつ日本美術の奥深さを伝える一冊です。

縄文時代は平和でエコロジカル、というイメージで語られることがあります。しかし、縄文は1万年以上続いた時代の総称で、北海道から沖縄までの幅広い地域に点在していたため、その文化も時期や地域によって大きく違うのです。本書は、多様性に満ちた縄文時代の文化や暮らしを、学術的な裏付けのもと丁寧に解説しています。