ブックキュレーター児童書出版社 広報 大久保こずえ
本を贈る サン・ジョルディの日に〈あなたに贈りたい本〉
スペインでは、4月23日をサン・ジョルディの日として、本と花を贈る習慣があります。20世記、スペイン軍事政権下のカタルーニャ地方で自国の言葉が禁止された時、「言葉と文化を守る」ため密かに本を贈りあったことに由来します。お世話になった人、大切な人に本を贈るとしたら?本がもたらす人との繋がりと重みを感じながら選びました。
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ぼくがいちばんききたいことは
アヴィ(著) , 青山南(訳)
子どもの頃に感じていた理不尽さや、ふと感じる孤独とかの記憶ってありませんか。「ぼくがいちばん ききたいことは」は、その埋められなかったなんかしらを、丁寧に、いつのまにか繕ってくれる7つの短編集です。児童書ですが、大人でもしみじみ泣いてしまう。西村ツチカさんの装画が余韻を醸成してくれる1冊です。
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今日
伊藤 比呂美(訳) , 下田 昌克(画)
出産祝いの贈り物、子育て中の方にそっと贈りたい絵本です。ニュージーランドに伝わる作者不明の詩は、ながく愛されてきたことが感じられます。散らかり放題な育児の日々の中で、ふと感じる心の隙間にそっと寄り添ってくれる詩。大人の手のひらより少し大きいサイズで、布張り箔押しの装丁も心がこもった感じがします。
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灰色の輝ける贈り物
アリステア・マクラウド(著) , 中野 恵津子(訳)
作者が生まれ育ったカナダのケープブレトン島を舞台に、灰色の雲と雪に閉ざされた、過酷な自然の中に生きる人々の心の機微を、丁寧に描いた短編集です。子どもの頃に感じる理不尽さ、大人が味わう無力感。それら全てを包括してしまう自然を前に、ささやかだけれど前に進もうとする、生きるもの全ての姿が愛おしい1冊です。
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ゴールディーのお人形
M.B.ゴフスタイン(作) , 末盛 千枝子(訳)
人形作りの仕事をするゴールディーのこだわりは、既製品の材料は使わず森で拾った枝を使うこと。理由は「生きている」感じがするから。同時に、ゴールディーの仕事に対する思いそのものが「生きている」ことだと教えてくれます。すばらしい何かを作り出すために、黙々と働く人の美しさと尊さを描いた1冊です。
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動的平衡 新版 1 生命はなぜそこに宿るのか
福岡伸一(著)
「命ってなんだろう」という本質的な問いを、ふと考える。でもその問いは漠然としていて、考える糸口さえつかめない。そんな時、言葉の思考から一旦離れ、生命科学の視点から見てみる。破壊と構築を絶えずおこなう命のカラクリ、「動的平衡」「ベルクソンの弧」の概念は、その問いに今までとは違う風景を与えてくれます。
ブックキュレーター
児童書出版社 広報 大久保こずえ1977年生まれ、山梨県出身。児童書出版社ほるぷ出版営業部に入社。保育園・幼稚園への絵本販促や、「長期入院の子どもにも絵本を届けたい」の思いから、病院待合室やプレイルームへの販促企画を行う。2015年同社広報に。心ふるえる感動作『wonder』のパブリシティーなどを行い、現在は『ハリー・ポッター』シリーズを手がける静山社ホールディングスの広報として、静山社・ほるぷ出版の絵本・児童向け読み物のパブリシティー、販促企画を行う。
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