眠れない夜には、眠れなくなる本を

家で起こる不思議なこと、妙なこと、怪異――それらを調べるうち、様々な因縁がつまびらかになっていく。映画にもなった、言わずと知れた名作です。とにかくこの本は怖い。まさに夜眠れなくなるほど。何せこの本の中の怪異は、一番安心できるはずの家で起きるのです。この本を家に置いておくことすら怖くなります。

他人の夢に入り、その人の精神的問題を次々と解決していくパプリカの夢と現実の物語。「眠り」といえば「夢」ですが、夢のあの無秩序さを巧みな筆運びで表現しているのはさすがの一言。ミステリ的要素もあり楽しめます。余談ですが、アニメ映画版の夢の表現も素晴らしいので是非あわせてどうぞ。

主人公一家の近隣住民が、神隠しのように次々と姿を消していく。一体彼らの身に何が起こったのか・・・というミステリ小説です。多少強引な点はあるものの、まるで怪現象のようなこの事件がだんだんと紐解かれていく様が快感。家族愛・夫婦愛についてもしっかりと描かれた作品です。

アルコール依存症や味覚障害など、病をテーマにした短編集。その中の一編に、睡眠障害を抱えた主人公の話を描いた『ねむらぬテレフォン』という作品があります。その理由が明かされたとき、切ない気持ちに包まれました。他の短編も切実で懸命な女性たちを描いており、珠玉の作品集となっています。

最後に自著のご紹介をさせてください。十五歳の頃に体が入れ替わった男女は、十五年間ずっとそのままだった。いつか戻れることを信じ、互いの人生をどうにかやり過ごそうとするが・・・という話です。「入れ替わり」というテーマについてじっくり考えて書いてみました。眠れぬ夜のお供の一冊にどうぞ。