ブックキュレーターartscape編集部
フェミニズム、反芸術、ドゥルーズ──田部光子の世界をもっと深く知る5冊
福岡市美術館の企画展、「田部光子展「希望を捨てるわけにはいかない」」(2022年1-3月開催)。国内でも早期からフェミニズムの視点を持って制作を続けてきた女性作家、田部光子(たべ・みつこ/1933-)。本展を出発点に、日本美術における女性作家の立ち位置の変遷など、彼女を取り巻くトピックを深く知るための5冊を選びました。
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田部とほぼ同時代を生きてきた女性画家たち──草間彌生、田中敦子、福島秀子の3人の視点から見つめ直す戦後美術史。アクション・ペインティングが隆盛した1950〜60年代、それらに男性性を見出す美術界のムードの中で埋もれてしまった女性画家たちの思考をすくい上げる、野心的な研究書。
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1957年から70年までの日本の前衛美術家の活動のうち特に「反芸術」のなかで生まれたパフォーマンスに着目し、同時代の社会状況を踏まえ詳細に紹介・分析した、日本のパフォーマンス史における重要書。今回の展覧会ポスターのメインビジュアルを飾る田部のパフォーマンスについても言及あり。佇まいも含め重厚な一冊。
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日々耳にしている「フェミニズム」がそもそも何を目指したどんな考え方なのか、正直ちゃんと説明できない・・・。そんな人におすすめしたい本。女性だけでなく誰にでも関係のあるトピックとして、現代的な目線でフェミニズムを捉え直せる入門書。田部が活動初期から抱えていた問題意識の先見性にも改めて驚かされるはず。
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今回の展覧会のタイトルにもなった「希望を捨てるわけにはいかない」という力強い言葉は、2000年頃に田部氏が本書(2000年刊行の講談社現代新書版)で出会ったもの。一見難解な「差異」に着目したドゥルーズの思想を、時には迂回しながら著者と読み込んでいくことで、世界の捉え方に少し希望が湧いてくる一冊。
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artscape編集部美術館・アート情報のWebマガジン。DNP大日本印刷の文化活動の一環として1995年にスタートした、美術館・博物館と生活者を結ぶメディアです。毎月1日、15日号発行。サイト内の「カタログ&ブックス」のコーナーでも、アート・デザイン・建築分野の書籍や展覧会カタログを紹介しています。https://artscape.jp/
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