相撲列車から阿呆列車まで、電車と読書は相性がいい。鉄道愛にあふれた本を持って、旅先でも読書を楽しもう

鉄道紀行の名手と呼ばれる著者の本から、最初に読むならこの1冊を。JRが国鉄時代に書かれた本書だが、鉄道という近代に発展した交通網の歴史や意味にまで触れていて、古びることがない。発見のある文章も魅力。

「なんにも用事がないけれど」、百間先生は汽車に乗って出かけてゆく。お金はなくとも列車は一等で、お供は若い友人である「ヒマラヤ山系」だ。世間的な用事のない「阿房列車」の旅、ヒマラヤ山系との会話や旅先の風物をめぐる考察も楽しい。乗りたいから乗る、百閒先生の旅の極意がここに。

30歳を過ぎてから「鉄道好き」であることをカミングアウトした著者。東北へ雪見旅に出かけ、出張先から足を伸ばしてローカル線に乗るなど、控えめに語っているが著者の鉄道愛はかなりのもの。紹介されている路線が敗戦になったという追記がいくつもあり、「早く訪れないと」と思わせる。

現役幕内行事にして鉄道ファンである著者が、大相撲と鉄道の関わりを様々な視点から掘り下げた1冊だ。大相撲の歴史、行司の仕事を踏まえながら語られる、地方本場所のための「大移動」をめぐるエピソードはドラマのよう。図版も多数収録され、ファンならずとも楽しめる内容だ。

誕生から200年、鉄道はどのように生まれ、発達してきたのか。歴史ばかりでなく鉄道が社会にに与えた影響を、当時の新聞や文学、写真や絵画からひもといていく。「コンパートメントと大部屋式」、等級制、デザインなど、鉄道文化の魅力が満載だ。