ブックキュレーターartscape編集部
美術家・李禹煥を通して、世界の「余白」を見つめる人たちの5冊
アジアを代表する美術家の一人、李禹煥(1936-)。「すべては相互関係のもとにある」という透徹した視点で「もの派」などの美術動向を牽引してきました。「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」(2022年8月〜11月7日、国立新美術館にて)にちなみ、李の作品や著作を紐解き、物事の間にある関係性を眺め考える5冊を紹介します。
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![余白の芸術](https://img.honto.jp/item/2/184/250/01949855_1.png)
![イメージかモノか 日本現代美術のアポリア](https://img.honto.jp/item/2/184/250/31218593_1.png)
![本を弾く 来るべき音楽のための読書ノート](https://img.honto.jp/item/2/184/250/29805000_1.png)
![展覧会の挨拶](https://img.honto.jp/item/2/184/250/29567227_1.png)
![虚像培養芸術論 アートとテレビジョンの想像力 Art Criticism and 1960s Image Culture](https://img.honto.jp/item/2/184/250/30848017_1.png)
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余白の芸術
李 禹煥(著)
彫刻・絵画作品で知られる一方、執筆活動も旺盛に展開してきた李。自身や「もの派」の制作活動を、同時代を生きる国内外の作家たちとともに俯瞰し、時に素朴な言葉で綴るエッセイを数多く集めた本書。古井由吉や中上健次といった作家たちに積極的に言及している点からも、言語を用いた表現に対する李の強い意識が窺えます。
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イメージかモノか 日本現代美術のアポリア
高島 直之(著)
「もの派」に限らず、ハイレッド・センターや千円札裁判といった動きが現在も鮮烈な印象を残す1960〜70年前後の日本美術シーン。当時の批評家たちはそれらにどう言及したのかを振り返り検証する本書。観念(イメージ)/物質(モノ)という二項対立を通して、「見る」行為の変遷を時代背景とともに実感できます。
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本を弾く 来るべき音楽のための読書ノート
小沼純一(著)
音楽批評家であり詩人の小沼純一がジャンルを問わず刺激を受け、折に触れて読み返す22冊の名著にまつわるエッセイ集。ことば/場/からだという三つの分類のうち、「場」で李の若年期の批評集『出会いを求めて』に言及。著者と本の間に流れる即興演奏のような読み心地は終始心地良く、読書案内としても優れた一冊です。
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展覧会の挨拶
酒井 忠康(著)
展覧会の最初の部屋、あるいは図録の最初のページで出会う「ごあいさつ」。世田谷美術館など国内複数の美術館館長を務めてきた酒井忠康が、李のものも含む展覧会に寄せた文章は、作家との個人的なエピソードや思い入れも豊富。その時/その場でしか体感できない「展示」というメディアの不思議さにも思いを馳せてしまう本。
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虚像培養芸術論 アートとテレビジョンの想像力 Art Criticism and 1960s Image Culture
松井 茂(著)
テレビの登場以降大きく揺れたメディアの勢力図。李も60年代以降の文献で「虚像/実体」という言葉を多用しているように、モノやリアリティの受容され方の変化を強く意識していたようです。李が作家性を確立させていった時代、メディアと芸術の相互関係が生み出した芸術家像の複雑さを、多角的に知ることのできる一冊。
ブックキュレーター
artscape編集部美術館・アート情報のWebマガジン。DNP大日本印刷の文化活動の一環として1995年にスタートした、美術館・博物館と生活者を結ぶメディアです。毎月1日、15日号発行。サイト内の「カタログ&ブックス」のコーナーでも、アート・デザイン・建築分野の書籍や展覧会カタログを紹介しています。https://artscape.jp/
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