ブックキュレーターノンフィクションライター 井上理津子
職人の世界を知る本
リモートで十分? AIを活用? そんな昨今の仕事環境と正反対なのが、「職人ワールド」。時代が変わっても、人による手づくりでしか生み出せないものがあります。それは「丁寧」「長持ち」といったワードと親和性が高く、実は今こそ求められているのかもしれません。「職人」「手仕事」に興味のある方に刺さりそうな本を紹介します。
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職人の手 16 PROFESSIONAL STORIES
山崎 真由子(著)
洋傘、鍋、クリーニング師といった日常の暮らしに密着した分野から、桐箪笥、ガラスペン、篆刻家など少々特別感ありの分野まで、16人の職人に、仕事への姿勢、在り方を取材した本。〈一様におっしゃられるのは、「なにもしていない。ただ、毎日続けているだけ」。すごい、かっこいい〉と著者が書いています。どなたにも、共感度がめっぽう高いと思います。
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東京職人 新版
Beretta P−05(著)
「東京都指定伝統工芸品」というのが40業種あるそうです。江戸木目込人形、東京銀器、多摩織、江戸漆器、東京藤工芸……。携わる49人の職人の姿を、若いカメラマンたちがその仕事場に足を運んで取材・撮影した1冊です。愛と丹精を込めてつくる職人たちの姿が、凛々しくもあり、美しくもあります。
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京の大工棟梁と七人の職人衆 数寄屋大工 左官 表具師 錺師 石工 畳師 簾師 庭師
笠井一子(著)
「建築とは施主の運命を伸ばすこと」と数寄屋大工さん。「襖を開けたりするとき、なんとも言えんふわっとした感じが生まれるんですねぇ」と表具師さん。京都の日本建築にまつわる、頂点に位置する職人(他に左官、錺師、石工、畳師、簾師、庭師)が、連綿と伝承されてきた技術と思いを語った本です。
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木のいのち木のこころ 天・地・人
西岡 常一(著) , 小川 三夫(著) , 塩野 米松(著)
法隆寺を守ってきた、「最後の宮大工」と名高い西岡常一棟梁が木と人の「芽を伸ばすとは?」を語り、その西岡さんに3度追い返されたもののも、ついに唯一の内弟子となり、夢を実現させた小川三夫さん。ふたりの巨匠が、宮大工のこれまで・これからについて、1990年代に忌憚ないやり取りをした貴重な本です。
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一子相伝でない庭師、釜師、仏師、染色家、茶館、刀匠、江戸切子職人などの職人16組の師弟の在り方を取材し、描いた本。師には、その上に師がいて、ほとんどが「俺の背中を見て覚えろ」的な修業をして技術t伝統を身につけましがが、果たして今は? 仕事ぶり、教えぶりを軸に、師弟それぞれが話すライフストーリーも興味深いと思います。
ブックキュレーター
ノンフィクションライター 井上理津子ノンフィクションライター。奈良市生まれ。大阪で働きはじめ、タウン紙記者を経てフリーランスに。2010年から東京に住み、ウロウロしている。新著に『師弟百景』(辰巳出版)。他に『さいごの色街 飛田』(筑摩書房、のち新潮文庫)、『葬送の仕事師たち』(新潮社)、『絶滅危惧 個人商店』(筑摩書房)、『いまどきの納骨堂』(小学館)、『大阪ぶらり味な店めぐり』(産業編集センター)など。公式HP → https://inoueritsuko.com
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