ブックキュレーターエッセイスト・小説家 山崎ナオコーラ
受賞作『ミライの源氏物語』につながる作品 前編
現代社会の中で『源氏物語』をどうやって楽しもうか、未来には人権意識やジェンダー問題などがもっと気になる読者がいるだろうから、現代の読者の努めとして「読み方」を考えて次の世代の読者にバトンを渡したいな、とエッセイ『ミライの源氏物語』を書きました。すると驚くことに、第33回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞しました。
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文学の力を信じ、こっそりと読書会を続けた記録。著者はヴェールの着用を拒否したことから大学を追われたが、それでも自身を頼る元教え子の学生たちがいたことから、自宅でナボコフの『ロリータ』など、大っぴらには読めない本を読み、討論を続ける。文学は「読み方」で作るのだ、と思える。
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トランスジェンダーについて、まだよく知らない読者にもするりと理解を促す入門書だ。『源氏物語』は、「男」「女」という性別二元論で書かれていると読める。ただ、登場人物は約500人にものぼるので、現実世界の割合で考えればそのうちの何人かは二元論にはまらない性別のはずだ。『源氏物語』には書かれていない性別がある、というところに思いを寄せたい。
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『大塚ひかり全訳 源氏物語』での現代語訳の仕事でも、多くの人から賞賛されている大塚ひかりさんによる、源氏エッセイ。歯に衣着せぬ文章で、読んでいてスカッとする。どうしてこのような物語運びになったのか、本文や資料を丹念に調べ上げられたところから、明快に綴っている。
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歴史・時代小説家の奥山さんは、デビューする前は大学での研究職に就いており、先生をしていた経験もあり、さすが知識が豊富だ。平安時代に紫式部自身がどのように生活をしていたかということに思いを馳せながら『源氏物語』を読み解いていくエッセイ。
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英訳された『源氏物語』を、さらに日本語に訳し戻す、という面白い試みによって生まれた本。「パレスでは……」「レディ・ムラサキが……」といった言葉遣いが新鮮で、また違う感覚でそのシーンを捉え直すことができ、『源氏物語』への理解がいっそう深まる。
ブックキュレーター
エッセイスト・小説家 山崎ナオコーラ1978年生まれ。性別はない。國學院大學文学部日本文学科卒業。卒業論文は似ている人たちをカテゴライズする不思議さについて書いた「『源氏物語』浮舟論」。2004年に「人のセックスを笑うな」で文藝賞を受賞しデビュー。2023年、『ミライの源氏物語』で第33回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞(選考委員:俵万智)。「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書く」が目標。『源氏物語』の現代語訳が夢。 【Bunkamuraドゥマゴ文学賞】 https://www.bunkamura.co.jp/bungaku/winners/33.html
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