ブックキュレーター文筆業 矢内裕子
みんなの『源氏物語』
世界的な評価も高い古典、『源氏物語』。長く愛されてきた『源氏物語』には、登場する和歌や色に注目したもの、作者・紫式部に寄り添うものなど、さまざまなアプローチの本がある。
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紫式部は物語の語り手を「女房」にしたが、橋本治は「光源氏の一人称」とした。絶世の美男が語る『源氏物語』とはいかなるものか、そして紫式部その人が語り手となる「宇治十帖」へと続く、ダイナミズムを堪能したい。
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シングルマザーとなった紫式部は、自らの知識と才能で宮中で生き抜こうとした。紫式部が中宮彰子の家庭教師となり、その宮中サロンを盛り立てるために書いたのが『源氏物語』だったのだ。物語には「女子が幸せをつかむための人生哲学がこめられている」という著者の視点が魅力的。
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『源氏物語』五十四帖の記述から、色と衣裳に関する部分をとりあげ、染織史家である著者が往事の染色法そのままに再現した。平安王朝の多彩な「襲の色目(かさねのいろめ)」 など、読書に「色」を与えてくれる、美しい色彩辞典。
ブックキュレーター
文筆業 矢内裕子文筆家ときどき編集。東京都文京区育ち。出版社で書籍編集者として勤務後、独立。担当した本に角田光代『古本道場』、三浦しをん『三四郎はそれから門を出た』、いとうせいこう『ボタニカルライフ』など多数。著書に『落語家と楽しむ男着物』、萩尾望都さんとの共著『私の少女マンガ講義』がある。現在、橋本治さんへのインタビュー集を準備中。note:https://note.com/yanaiyuko
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