親子愛、主従愛、師弟愛。さまざまな愛の形を描いた、よしながふみの隠れた名作

「女性たちの愛」をメインに描いた5編からなるオムニバス。未婚女性ならではの悩み、母と娘の会話、リアリティあふれる女性たちの姿が共感を誘います。そして、女性の複雑な感情を明確かつ繊細に描いている言葉と表現力は見事のひと言。それだけでなく、新たな「気づき」と「学び」も得られるはずです。

西洋音楽の基礎教育として知られている「ソルフェージュ」になぞらえたような物語。才能に秀でているがやる気のない音楽教師・久我山のもとに、音楽学校を受験したいという卒業生・田中が訪れます。心を通わせていく2人の様子がセリフではなく、表情、間、空気感から伝わってくるのが注目のポイントです。

白血病の治療で1年と1ヵ月遅れで高校生になった主人公の花園春太郎。ちょっと変わった担当教師をはじめ、彼のクラスメイトたちは個性派ぞろい！賑やかな学園生活が始まります。どこにでもあるような青春に懐かしさを感じたり、心がぽかぽかしたり。じんわりと泣きたい、ゆっくりと心に響くマンガを読みたい方にオススメです。

「妊娠させたかも知れない」という息子からの衝撃的な告白から始まる「こどもの体温」。吟遊詩人に拾われ捨てられた男の子と愛する人を失った領主を描いた「彼は花園で夢を見る」。「家族」をテーマに時代も国も違う二つの舞台で、さまざまな家族の形が描かれます。複雑さのなかにある人間の感情を噛みしめることができる短編集です。

フランス革命期の最中で繰り広げられる名門貴族のワガママおぼっちゃまと敏腕執事の身分差ロマンス。少しずつ変わっていく2人の様子を見ていると、愛しくも切ない気持ちになります。ボーイズラブに初めて触れる方も、現代作品に少し飽きてしまった方にもオススメ。歴史を感じながら甘く奥深い恋をお楽しみください。