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紙の本
面白い!誰でも楽しめる本。
2012/01/25 07:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
三浦しをんさんのデビュー作。女子大生の就職活動をつづる。実は普通の女子大生ではなく、複雑な環境に置かれた「お嬢様」だったりします。特に強い「将来設計」があるわけでもなく、大学、アルバイト、漫画喫茶に時間を使う毎日...その中で「なんとなく」出版社への希望になっていくんだけど、結果はどうあれ、それだけがメインではないところが、多面的で立体的で面白いです。
政治家の父親、由緒ある家。就職活動に焦りを感じずマイペースを貫く友人。主人公と付き合っている老人。それぞれが個性があり、キャラクターが「立って」いるんだけど、主人公の「就活」という軸は一貫している。それを邪魔しない程度に、「脇」として光っている、というか。
現在の「女性の就職活動」が、どれほど大変なものか、異性でもあり、この時代の学生でもない自分には想像するしかないけれど、いまだに残る「女性蔑視」についても、チクっと触れていたり、「結婚しても働き続ける」という女性の意識が垣間見れたり。とっても「現代的」だと思うのだけれど、「漫画喫茶に通い詰めるほどマンガが好きで、おじいさんとつきあっている」主人公の考え方は、至極まっとうで、実際に或いは想像の中で啖呵を切る場面なんて、「痛快」に感じるほどです。
マイペースなお嬢様ストーリーの一面がある一方で、就職難や、旧態依然とした企業面接、政治家の「裏」の行動、等々、「リアル」な「シビア」な指摘も含まれています。それらがお互いに打ち消しあうことなく、主人公の行動と周りの「脇役」の登場で、心地よい展開で、最期まで一気にいけますね。
それぞれのセリフから、行動から、とにかく引き込まれてしまいました。著者の本は4冊目(小説は3冊目)ですが、直木賞受賞作と同じくらい面白い。比較する必要もないけれど、これだけの「作品」を世に出せる才能は、後の受賞も「あたりまえ」のように感じてしまう。
もちろん、その年代の女性も引き込まれると思うし、自分のようにまったく違う世界にいる人間でも十分楽しめます。
著者がまだ20代前半の時代に書かれたということなので、自分の周りの出来事と重なる部分もあるのかもしれない。 自分と同じ大学だったとは知らなかったけれど...もっと「しをん作品」を読みたい、と思わせる、いい読書、でした。
【ことば】「たとえ『毎日が夏休み』になっても、自分を信じて生きていこうと思います」
就職活動、「家」の騒動などなど。「日常」と、その枠の外のちょっとした「非日常」を通して、主人公は何かを得たのかもしれません。素直な心、就職面接でも「演技」できないほどの素直な主人公の魅力は、また増幅しました。
紙の本
三浦しをん氏の初めての小説
2023/04/09 15:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
三浦しをん氏が初めて書かれた小説とのことでした。
主人公が就職活動をする場面が、自分の体験と重なり「そうそう!」と共感することが多々ありました。(私は大きい会社は受けられませんでしたが)
風変わりな恋人がいたり、理解不能な弟がいたりと何とも変わった日常が入り込んでいて面白かったです。
言い間違いからくる題名ですが、意外と内容とあっているのかもしれません。何しろ、格闘している主人公だったので。
紙の本
才能がほとばしる
2021/10/05 12:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
色んな要素を盛り込みながら、破綻せず楽しいストーリーに仕上げてる。
デビュー作から、才能が溢れ出してるんだなあ。
見事です。
紙の本
最初から実力派の作家だったんだと思うことしきり。
2020/09/13 22:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
三浦しをんのデビュー作。最新作が出るたび読んでいたけど、初期の頃のはまだ未読だったなぁと手に取った。女子大生の出版社就活話だが、この作家、デビュー当時から面白い物語を描いていたんだなぁと思うことしきりです。