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紙の本
まさに現代の騙し絵
2008/05/17 10:09
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ココロの本棚 - この投稿者のレビュー一覧を見る
泥棒が職業の黒澤は念入りに下見を重ね盗みに入る。
カウンセラーの京子は愛人に妻を殺そうと持ちかける。
リストラにあった豊田は40社目の不採用通知をもらい、犬と拳銃を拾う。
父を自殺で失った河原崎は、神に惹かれる。
並行して語られる4つの物語。
そこへ絡んでくるバラバラ死体や画廊経営者のエピソード。
伊坂作品の特徴ともいえる「いい具合のリアリティのなさ」がここでも冴えています。
これ、うまいね!
終盤に向かってミステリーのような謎に包まれてくるんだけど、いかにもミステリーじゃない謎解きなの。
「こう繋がるんだ!」という驚きはありつつ、自然にまとまっているんだよね。
理由は簡単。【人が故意に作り上げたトリック】ではないからです。
読み終わって、必ずもう一度読みたくなる作品。
時系列をいかした上手さが光ります。
ラスト素敵だったなぁ。
作中で主論とされる「金に勝ることなど世の中にはない」という言葉。
それに類するエピソードを重ねつつも、それを裏切るラストには感動をおぼえました。
前言を効果的に覆すことに優れた作家さんだよね。
人生は流れている。そしてところどころ交差する。
交差は点に過ぎず、すぐにまた違う方向へと動き出す。
これはそういう物語。やっぱり私は伊坂作品が好きだ。
ただし、小説のカテゴリにはいつも迷う!
紙の本
電車で読んだ方、いらっしゃいますか?
2005/12/01 02:56
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やづ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「アヒルと鴨のコインロッカー」、「重力ピエロ」、「グラスホッパー」。
この方のお名前には幾度も出会いながら未読だったことに、この本で気付きました。これって全部、伊坂さんの作品だったんですね・・・・・・。
読んでる途中で頭が熱くなって、終わるとぼうっとしてしまう。中盤から興奮して興奮して、その掛け値なしの面白さに、頬が緩んでたまらない。
そんな理由で、私にとっては、外ではとても読めない本でした。
最後まで行かなくても、自分が今とても面白い物を読んでいることがわかるんです。溢れんばかりの期待と、すでに持病のような不安をもって読み終えた時、さらに大きな喜びが待っているという幸せ。
思わず溜息をついてしまう読後感、大げさなのに疑う気も起きないストーリー展開。ひょっとしたら早い段階で、すでに「騙されたっていい!」という、盲目的な恋愛にも似た感情を引きずり出されてしまっていたのかもしれません。それくらい、好きなお話でした。
「最高時速240キロの・・・」という、ドキドキするような一文。特にそのふたつめを読んだ時点で、すでに私は、この世界にどっぷり浸かることをためらわなくなっていたようです。
時には苦笑してしまう、うーんと唸る、登場人物たちの芯からくる言葉の数々も、「言い切るなあ」とは思いながら決して馬鹿にできません。そのうちの一つを二度も読み返した時には、思わず目頭が熱くなりました。極端で、力強くて、温かい言葉です。
ミステリーを中心に読んできた私にとっても、これは徹底的に楽しい作品でした。読者を満足させること、楽しませること、読んでよかったなと思わせること。この三つを満たす物においては、これ「以上」をまだ知りません。
上記三つにこだわり抜いたこの作品は、「読み物」としての原点とさえ言えるのかもしれません。本当に、素敵です。
そして、まるで風刺と示唆をふんだんに含んだ童話のような、根底にある普遍的な要素。
これもまた、大きな魅力の一つなんでしょう。
出てくる誰もが欠かせないんです。全てを持った、何かが足りない、いっそ何もかもが足りない、そんな色とりどりの人たち。
誰に会っても何を聞いても、救われるのはいつも内側から。(一つだけ、外部からの大きなプレゼント?もありましたが・・・)
最終的にはそれに尽きます。気付かない人もいるし、そもそも考えない人もいる。もともと「何か」を持っていた人もいるし、中にはたしかに、代償が大きすぎた人もいる。でも、内側からやってきたその「何か」は、もう外側の誰にも奪えはしない。
さらに仕上げとばかり頬が緩んだのは、「謎」という物に対する魅力的なスタンスなんですが、これは、この作者の方の持ち味なんでしょうか。
とにかく、とてもうれしい作品でした。そして変な話ですね!
紙の本
バラバラ殺人
2017/05/05 17:06
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Mr.天才バブッコ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初に言っときます
面白い
全部が全部おもしろい
バラバラ殺人にちなんで、ばらばらだった話が 最後、くっつきました
読んでみたらこのレビューの意味が分かると思います 上
紙の本
色々な水脈がどうやってまとまっていくか、冒頭、50ページで紹介された人々が、どのように繋がるか、お手並み拝見です。それにしても、伊坂って変ですねえ
2006/02/06 22:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「仙台で起きたバラバラ殺人事件。不注意で轢いてしまった死体をトランクに入れて彷徨ううちに甦る死体。会社をリストラされた男が起こす強盗事件。」ミステリ。単行本のカバーでは確か、エッシャーの絵が使われていて、小説の中にもそれが登場して面白かったのですが、文庫のカバーの絵にはどんな意味があるのでしょう?それはともかく、今乗りに乗っている伊坂の小説、おあとは読んでのお楽しみです。
それにしても伊坂の『オーデュボーンの祈り』を読んだ時の驚きというか、困惑は今も忘れられません。島にいる物言う案山子が殺されるという帯の文句を見た時は、心理トリックか異常心理、あるいは記憶を扱ったファンタジー推理かと思ったものですが、本当に話をする案山子が登場し、殺されるに及んで、こちらの頭がおかしくなりそうでした。今回も、前作同様何ともいえない推理小説になっています。
話は複数のものがもつれ合いながら進行するのですが、その関係というのが一筋縄ではいきません。まず小説はビール会社のオーナーで画廊の経営者である戸田が画家の志奈子とともに仙台に向うところから始まります。新幹線の中で繰り広げられる戸田の不況論と失業者についての考えは、成功者特有の専制的な辛さがありますが、甘いばかりで何時までたってもバブルの時が忘れられない日本人に不満を抱いている私には拍手もの。ただし、このエピソードはここだけで終わってしまうのです。
次は仙台市内のバラバラ事件、そしてピッキング窃盗犯の黒澤の、プロの窃盗犯としての美学の話に移ります。彼は酔った友人を車に送ろうとする隣人のポケットから落ちた紙切れの不思議な文字に目を留めます。そしてある日、仙台駅前で白人美女が行っている「日本人はどんな言葉が好きか」というアンケートに「夜」と答えるのです。
もう一つは河原崎という青年の話。彼は父を飛び降り自殺で亡くしていて、それが心を何時までも離れません。そうした彼の心を捉えたのは、仙台で起きたビジネスホテル連続殺人事件について次の犯行を指摘した高橋という男でした。彼の指摘で犯人は逮捕され、高橋は神として祭り上げられていくのです。河原崎は、そうした高橋が好きでならない。
さらにカウンセラーの京子の話となります。サッカー選手の青山と不倫をしている彼女の元に、離婚を渋っていた夫から電話が掛かってきます。離婚に応じるというのです。自分は夫を、青山には妻を殺させようとしていた京子は、これで障害が一つ消え、あとは青山に配偶者を殺害するようそそのかすだけになります。
一方、40歳を過ぎてデザイン会社をリストラされた豊田は、妻から離婚され息子も彼を選ばず妻のもとに行ってしまいます。就職活動をしても不採用ばかり、お金もなくなり途方にくれる彼の前に拳銃が転がり込んできました。彼は最後とばかり、郵便局強盗を思いつくのです。駅で見かけた野良犬とともに歩み始める不思議な人生。
以上が、最初のほぼ50頁で紹介されます。人物は姓か名前のどちらかで登場し、そのスタイルは最後まで維持されます。視点は、複数の流れを小刻みに移りながら、不思議な繋がりを予感させます。はたして、それが本当に整合しているのかは正直、もう一度ノートでも片手に読むしかありませんが、多分、伊坂はそういうことはあまり気にしていない気がします。何と言っても案山子を殺した作家ですから。
Lush Lifeは豊潤な人生の意味。ジャズのコルトレーンの曲でもあるらしいのですが、この小説のタイトルはあくまでもカタカナ。それに意味があるのでしょう。それにしても、この伊坂という作家は、変ですね。写真を見ると、かなり好男子なのですが、やはり変。それが本当に面白い。
紙の本
面白い!
2022/12/18 10:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なっとう - この投稿者のレビュー一覧を見る
服の裾が触れただけのような、そんな少しだけの接点だけど、確かに誰かの未来に関わっている。
中盤で「あれ?これっていつの話?」と感じ始めると、何度も遡って読み直したくなる面白さ。黒澤さんかっこいい!!
紙の本
著者を“解体”して頭の中を見てみたい
2022/04/28 23:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:太秦の空き時間 - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうやったらこのようなストーリーが思いつくのか?
まさに伊坂幸太郎を“解体”して頭の中を見てみたい
時間軸を上手くずらすことによって、前半の何でもないような出会いがすごい意味を持つことになる
終盤はページを捲るたびに唸るしかなかった
そして登場人物のほとんどが魅力的だ
黒澤は特に頭がキレて気のいいやつで好きにならざるを得ない
細かい部分(蘇った黒猫のミケ、拳銃で脅す老夫婦、好きな日本語を書いてという白人女性など)まで精巧に作り込まれている
再読してさらに面白い作品だろうと思う
伊坂幸太郎作品は初めてだったがもうすでにファンだ
紙の本
一気読み作品
2020/04/23 11:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あおたいがー - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初は登場人物が多くて混乱しましたが、読み進めるうちにそれぞれの関係性などがわかったきて、一気に読了までもっていかされました。
とにかくおもしろい!!
時間や場所が目まぐるしく変化するので、途中で読みやめさせません。
謎は謎のまま残る部分はあるけれど、それでもすごく楽しく読めました!
紙の本
パズルのような
2015/09/15 11:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FUMI - この投稿者のレビュー一覧を見る
まるでパズルのような作品。
「本」だからこそできた構成はすごいなと思った。
読み進めるのが楽しい作品。