紙の本
現象はよくわかるが背景がわからない
2009/12/05 17:37
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は世界をあるきまわって,日本発の 「カワイイ」 がどれだけ浸透しているか,使用所たちがなにをかんがえているかをこの本にまとめている. そのひろがりはおどろくほどであり,興味ぶかい.
しかし,この本でのべているのは現象だけであり,なにがそうさせているのか,なにが背景にあるのかといった疑問にはこたえてくれない. 本質を把握しないまま不況克服に利用しようとしても,かえってカネをもっていかれてしまうのではないだろうか.
投稿元:
レビューを見る
海外からの日本の評価を日本人は知らない。
それは以前から感じていたが、この本を読みその思いを強めた。
取り上げられている「ロリータ」はツールに過ぎない。
他の日本文化やファッション、アニメなどを好きな外国人は多いのではないだろうか?
そのことをもっと日本人は知るべきであり、自信も持つべきだ。
この本を読むと、日本は明るいと勇気づけられる。
投稿元:
レビューを見る
(1)著者は、コンテンツメディアプロデューサーという肩書きで、外務省アニメ文化外交に関する有識者会議委員であり、外務省のポップカルチャー外交全般に関するアドバイザーも務めるという。
前著『アニメ文化外交』でも感じたが、この著者の素晴らしいところは、世界中をかけまわって取材し、活きのいい最新の情報を伝えてくれることだ。アニメ外交というテーマからさらに進め、ファッション、カワイイを追いかけて世界各地を回った結果の報告が本書だ。日本発のファッションに嬉々として身にまとう世界中の女の子の写真が満載なのもいい。
「制服を着ると、日本人になれたような気がするんです。」
「東京に恋しているんです。」
「私はロリータにななることで、自分になれました。」
「日本人は『カワイイ』民族だと思います。」
等々、世界の若者が日本のファッション(原宿ファッション)やポップカルチャーに向ける思いは熱い。世界の若者は、日本人が思っているよりもはるかに日本人が好きらしいということが
この本を読むとわかる。
この本で著者が強調していることのひとつは、原宿と秋葉原が、パリでは融合しているということだ。日本では、原宿系とアニメオタクはそれほど交わらない印象があるが、ヨーロッパではちがう。クールジャパンが世界に広がっていく流れは、アニメ・マンガから始まり、それに日本食、ファッション、日本語などが追随していくかたちになっている。たとえば現在のヨーロッパのゴスロリファッションの定着には、『NANA』、『DEATH NOTE』などが与えた影響が大きいという。日本発が渾然一体となって影響を与えているのだ。
日本の制服も人気で、そこにもマンガやアニメのなかの制服姿の主人公の影響が見られる。『新世紀エヴァンゲリオン』、『犬夜叉』、『時をかける少女』、『涼宮ハルヒの憂鬱』などがそうだ。著者はスペインの大規模なアニメ・マンガ関係イベントで日本の制服風の服を着た二人組みに会い、彼女たちが「日本の女子高生の制服は自由の象徴です」と語ったことに衝撃を受けたという。制服も含めた日本発の「ファッション」全体が、何か新しい「可能性」、「自由」、「未来」などにつながる憧れの対象になっているのだろう。
(2)日本のファッションにしてもサブカルチャーにしても、なぜ世界で支持されるのかを考えると、結局は「自由」という言葉に突き当たると著者lはいう。たとえば、日本人は、「何よりも、自由に服をつくっています。いろいろな種類のファッションがあるのもいいですね」など、これに類する感想がじつに多いようだ。アニメの特徴のひとつにそれが扱う世界の「多様性」があるように、東京のファッションは「選択肢の多さ」が素晴らしいという外国人が多い。
外国人は、日本、とくに東京に「選択肢の多さ」、そして「自由」、「可能性」というイメージをもっているようである。日本には、クリエイティブなジャンルにおけるタブーが少なく、製作者が自由に表現したりつくったりできる風土があるのだろうか。アニメは子どもが見るものという呪縛を打ち破ったのも、そうした自由の結果かもしれない。
ではなぜ日本で、そのような自由な風土が生まれたのだろうか。この本では、そうした問いへの分析はしていない。ここからはこの本のレビューを離れて、いくつか理由を考えてみる。
とりあえずマンガにしぼっていえば、ひとつ興味深い指摘がある。欧米のマンガ市場はおとなが子どもに読ませたいものを買う市場なのに、日本のマンガ市場は子どもが自分で選んだ本を買う市場だった。それで、おとなが読ませたいものを書いたマンガではなく、子どもが読みたいものを書いたマンガが発達した。その結果、日本のマンガは欧米ではとうてい考えられないような表現の自由をかなり早くから確立していたのだという。(この指摘については増田悦佐の『日本型ヒーローが世界を救う』を参照されたい。実に面白い本なのでこのブログで近々、書評するつもりだ。)
もうひとつ挙げるなら、やはり宗教的なタブーが少ないということ。また、島国であり、ユーラシア大陸から適度が距離で離れているため、大陸の諸民族からの攻撃や暴力的な支配をほとんど経験しなかったため、大陸の文化のうち自分たちに合う要素を抵抗感なく自由に取り入れて、自分のものにすることができた。かつては中国やインドから、近現代ではヨーロッパやアメリカから。そして、昭和の一時期を除いて、強力なイデオロギーによる文化の一元支配が、長い歴史のなかでほとんどなかったから、多様な文化アイテムが自由に並存することができた。その、ごった煮のような状態から、自由な発想や組み合わせが生まれてくるのではないだろうか。
投稿元:
レビューを見る
テレビでも話題になっている、日本のPOPカルチャーの真骨頂の話。
欧州人が日本人の顔、特に小さな鼻をクールに思っている、というのは本当に衝撃だった。
えー。まーたしかにそうかもしれないけど、笑。
私はファッション性はゼロ、アニメも漫画も全く見ない、ゲームもやらない珍しい家庭環境だったのですが、それでも日本がそれらの文化面で世界的にすばらしいものをもっており、詳しい(オタ含む)友人も近くにいる環境さえ、いい意味で奇異な環境にいるんだな、ということを実感した。
ヨーロッパに行って、日本にないものを嘆くんじゃなくて、
far eastのアジアにしかないもの、ここだからこそあるものを大切にしていく方がすばらしいんだな、と感じた。
内容は、新書というよりルポという感じで、多少物足りなさを感じたので星は厳しく2つです。この分野の議論はもっと活発化するから、よりよい本がでてくるんじゃないか。その先駆けとして、1~2時間でさっと読む価値は十分ある本です。
投稿元:
レビューを見る
面白かった!
「カワイイ」に国境なし。
私たちが海外のものを格好良いと思ったり
素敵だと思ったりするように、日本についても
そう思う人たちがいる、というのはとても新鮮だった。
日本の文化が世界に与えている影響を日本人だけが
知らない、ってほんとその通りだと思う。
「ビジュアル系」という言葉までそのまま通用するとはびっくり。
あとヨーロッパにロリータ逆輸入、みたいな現象も面白い。
もともとそっちがお手本だったのに。
ほんと世界平和とか国際貢献とか、あとは欲張って経済的な
こととかこのソフトパワーでなんとかならんものだろうか。
投稿元:
レビューを見る
世界共通語となった「KAWAII」を追っての世界各国のレポートといった感じです。世界的に日本のポップカルチャーがこんなに盛り上がっているとは驚きです。
評価 ★★★ (文)
投稿元:
レビューを見る
かわいいが世界で通じる言葉だとは知っていたけど、ここまでとは・・・。いろんな人が原宿で幸せになってほしい。
投稿元:
レビューを見る
いま、世界で熱い視線を浴びているもの。
それは、実はニッポンだったりします。
世界的なカワイイブームはどこまでいくのか!?
なかなかになかなかです。
投稿元:
レビューを見る
原宿ファッション、ロリータファッションがいかに世界で愛されているかを紹介し、それを販売戦略にすべきだとも述べる本。
黒髪が羨ましい、日本人の鼻になりたい、というのに軽くおどろく。
多かれ少なかれ、日本人女性はフランス人女性にコンプレックスがあると思う。美の基準がそもそも違うのだし。雑誌だって、いかに「外人顔」になるかに注力しているようなものもある。それだけに、日本基盤のファッションが注目されるというのは嬉しい。
個人的にはいわゆる制服ファッションも原宿系ファッションも身につけたことはないが。
当時好きだった下妻物語がカミカゼガールというタイトルで愛されているとは知らなかった。
投稿元:
レビューを見る
日本のアニメ、マンガ、ファッションなどのポップカルチャーがヨーロッパを始めとする世界の若者の人気を集め、彼らの日本全体に対する関心や理解を深めるきっかけとなっている。日本の多様性、創造性といった強みを生かしたい。
投稿元:
レビューを見る
不況を切り抜けるのに注目すべき要素やのに、たぶんビジネスマンは全く見てない部分をうまくついてるね。
ファッションビルの海外進出大賛成です!
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
二十一世紀に入って世界にもっとも広まった日本語は何か。
それはまちがいなく「カワイイ」。
ロリータ服で地下鉄に乗るフランス人に、なんちゃって制服に身を包んだタイ人と、世界じゅうの女の子が「原宿ファッション」をカワイイと支持しはじめた。
日本に集まる羨望のまなざし。
「東京は聖地」と断言する者から、「日本人の鼻はかっこいい」「黒髪がうらやましい」と語る者まで、日本がこれほどまでに愛されていることを、当の日本人だけが知らないでいる。
目の前に転がっているビジネスチャンス。
不況脱出のカギは「カワイイ」にあり―。
[ 目次 ]
第1章 世界共通語となった「カワイイ」(世界語化した「KAWAII」;パリ―原宿とアキバが融合した! ほか)
第2章 「カワイイ」に生きる女の子たち(ミラノで出会った「かわいい~」の刺青;エクサンプロバンスのロリータデザイナー ほか)
第3章 世界の中心に原宿がある(ヨーロッパはオシャレではない;「extreme」な街 ほか)
第4章 二〇〇九年七月「パリ・カワイイ革命」(一年後の「ジャパン・エキスポ」で目撃した驚きの光景;「ギャル」になったフランス人 ほか)
第5章 不況脱出の切り札は「カワイイ」にある(日本人が逃している大きなビジネスチャンス;ヨーロッパ市場に「カワイイ」が与えるソフトパワー ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
日本の「カワイイ」が世界の一部の人から熱狂的に受け入れられていて、それがビジネスチャンスに繋がり得るだろうという著者の見解は一応肯定できるが、客観的データ等が全然提示されておらず、筆者の熱き思いが上滑りしている印象がどうしても拭えなかった。その点は極めて残念。
投稿元:
レビューを見る
日本のコスプレやポップカルチャーが世界で人気があるのは素晴らしいことだ。
これkらの外交はハードでなくソフトですね。
投稿元:
レビューを見る
文章がくどいところがあってちょっと読みづらいなと思ったところがあった。
内容的には、自分がもともと知っていた情報を再確認できた、という感じで、あまり新たな発見はなかったかな。
世界、特に欧州で、アニメ、ヴィジュアル系音楽から入った人が、ロリータ、原宿、制服ファッションにはまっていく流れがあることがわかった。
外国では、アニメ好きなオタクと、日本の原宿ファッションが好きな人との差(敵対心)があまりない、とういうところは新たな発見だった。オタク文化とサブカルチャーがだんだん融合してきていることを感じられた。