紙の本
なにしろ表題作が素晴らしい。胸にぐっとくる名品です。
2004/12/17 16:52
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投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸は大川端の旅宿「かわせみ」の女主人るい、るいと恋仲の神林東吾(かみばやし とうご)、東吾の親友で八丁堀同心を務めている畝源三郎(うね げんざぶろう)、「かわせみ」の女中頭のお吉(おきち)ほか、彼らの心が通い合う姿をあたたかく描き出した「御宿かわせみ」シリーズ。今回は表題作を再読したくなり、手にとりました。
本巻には、「美男の医者」「恋娘」「絵馬の文字」「水戸の梅」「持参嫁」「幽霊亭の女」「藤屋の火事」「白萩屋敷の月」の八編が収められています。なかではおしまいの二篇が良く、とりわけ表題作の切なさが身に染みてぐっときました。
「白萩屋敷の月」……東吾の兄で、南町奉行所の与力を務める神林通之進(みちのしん)。彼から使いを頼まれて白萩屋敷へ行った東吾は、屋敷の主で今は御後室になっている女性・香月と言葉を交わすことになります。その話の中から浮かび上がってくる恋の想いの切ないこと。月光が夜の庭を照らす中、白い萩の花が咲きこぼれている光景の美しいこと。久しぶりに読み返して目頭が熱くなり、胸が詰まりました。
なんでもこの作品、「御宿かわせみ」の読者アンケートの人気投票で第一位になったのだそうな。匂やかで切なく、神々しい気品すら漂わせたこの話は、まこと、シリーズ作品中の一番人気に値する名品。今回再読して、話の美しさと切なさにあらためて感じ入った次第です。
それから、こうしたシリーズものは出来るだけ刊行順に従って読んでいったほうが、味わいもひとしおなんですよね。「かわせみ」シリーズもそう。話が進んでいくなかで、登場人物が結婚したり、子供が生まれたり、さらにその子供たちが主役になって活躍したりするようですから、私のようにつまみ食いのようにして読んでいくのはお薦めできません。
それでも、さしあたってまず、シリーズ作品のなかでも読みごたえのある話を読んでみたいという方には、著者が選んだ傑作選集『初春(はる)の客』をお薦めいたします。収録されている「白萩屋敷の月」や「源三郎祝言」「岸和田の姫」といった作品は、一読忘れがたい余韻を心に残してくれますよ。何か切なくて、心をあたたかなもので満たしてくれる、そんな話に触れてみたいと思っているあなたでしたら、ぜひ御一読を。そこからさらに「かわせみ」ワールドの奥へと入っていく……。そんな楽しみ方もまたあるでしょうから。
紙の本
良い本です
2024/02/28 12:49
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回は太刀まわりはあまりなく、心に滲み入るような話が多かったです。恋がテーマになっているのでしょうか。
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「御宿かわせみ」はどれも好きなのですが、この表題作の話がすきなのでこの巻にしました。東吾のお兄さんと、宗太郎先生が好きです。
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御宿かわせみシリーズ第8巻。この巻の冒頭の話に、はじめて天野宗太郎が登場。最初は偽名でかわせみに泊まっていたため、単なる医者かと思っていた東吾たちだが、それでも一歩間違えば騙りになりそうなことに巻き込み、最後には彼が御殿医の息子だということが判明しびっくりした。この巻のタイトルになっている作品は読者投票で1位になった作品。ぐいぐいと読ませる。でも、東吾は役得か?【2007年4月10日読了】
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ここ何巻か、るいの出番が少ない気がする。主役はあくまで探偵役の東吾。読者アンケートでトップとなった表題作はやはり秀逸。白い萩の咲く屋敷に住む美しく醜い女主人の思いが哀しい。そしてその思いをかなえてやる東吾が優しい。このほか幽霊になって息子の家を見守る「幽霊亭の女」も結構好きだった。
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御宿かわせみシリーズ「美男の医者」「恋娘」「絵馬の文字」「水戸の梅」「持参嫁」「幽霊亭の女」「藤屋の火事」「白萩屋敷の月」8編。
今まで読んだシリーズ単行本の中で一番いい。常連メンバーが脇役になって、事件の人物に焦点を当てていた。好きなのは、「美男の医者」「恋娘」「白萩屋敷の月」だな。「絵馬の文字」「藤屋の火事」は内容的にやや落ちる。それにしても、このシリーズが、これから一段と乗ってくるんじゃないかと予感させる。まぁ、どうせ先は長いが(^^;
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・美男の医者
・恋娘
・絵馬の文字
・水戸の梅
・持参嫁
・幽霊亭の女
・藤屋の火事
・白萩屋敷の月
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O 8 御宿かわせみ
表題作は東吾の兄に想いをよせていた女が東吾にその面影を求める話…って書くと情緒もあったもんじゃないな。
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表題作「白萩屋敷の月」が悲しい。
今まで良い兄ちゃんでしかなかった通之進にも、
若い頃があり、青春があったんだよなぁと
今さらながら思えます。
世の中ってうまくいかない。
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シリーズ8冊目。
この中では『美男の医者』が一番好きです。宗太郎先生、なかなか役者で、スカッとします。
表題作が読者アンケートで一位とありますが、私はあまり好きではありません。
そりゃあ、この時代そういうことは何でもないことなのでしょうが、るいに対しても兄の通之進に対しても裏切りなのじゃないのかなぁと思ってしまいます。
まだ夫婦ではないにせよ、それ同然なのだからそこはグッと堪えて欲しかったなぁ(苦笑)。
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美男の医者が面白かった。幽霊のラストにもくすりとさせられた。
全体的に気持ち的に救いのない話が多かった。違う話なのに、恋娘、持参嫁、藤屋の火事、水戸の梅、絵馬の文字、このあたりは作中の言葉を借りて、分相応、を弁えられなかった故の過ち……だなとおもった。表題作の白萩屋敷の月は、似て非なる。でも、同じ悲しみが漂ってる。こちらは弁えすぎた故に、特別以上になっちゃったのかもなあ。うまくいかない。
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読み終わってから心臓がドキドキ通り越してばくばくしてた
表題作の「白萩屋敷の月」
いつだったかの東吾が事件の詮索の為に吉原の女か誰かを抱いたことあったけど、あの時もしんどかったけどこっちも応える
別に私が東吾好きなわけじゃないのになんでこんな嫉妬ともまた違う悲しいような気持ちになるのかな、るいのこと考えるとすごいしんどいってなる
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連続短編集。
日常はたくさん、ですが、どの時代にも
甘やかされた娘はいるものだな、と。
こうならないよう諫めておかねばならないのに
どうしてこうも自分のいいようになる、と
思えるのか、非常に謎です。
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白萩屋敷の月。人気投票一位も頷ける、切なく哀しい恋愛話。
うんと年の離れた男性に嫁いだ訳も切ない。
かわせみのお吉が見た幽霊も、印象に残る。
安心して読めるシリーズ。