紙の本
彼女の言っていることは理想論ではあるけれど
2019/05/23 00:13
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1964年上期(第51回)の芥川賞受賞作、何か気取ったタイトルだなとか、学生運動物は苦手だなという考えからずっと読まないままだったのだが、どうも気になってしようがなくなり読むこととなった。主人公と婚約者の関係について思い出したのは、阪神大震災後に新聞で「夫は私を体を張って地震から守ってくれました、でも、その時、一生をかけて添い遂げることができる人はこの人ではないと気が付いたのです」という記事を目にしたことだ。もちろん、婚約者が言っていることも、この女性が言っていることも理想論だし、結婚なんて或る程度の妥協がないとできないものなんだけど。最後に主人公が婚約者の傷痕が「もし痛むのなら、抱いて暖めてやりたいのだが」と呟くところで心が痛んだ
電子書籍
懐かしい本
2021/10/11 21:24
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみしま - この投稿者のレビュー一覧を見る
10代に熱狂的に読書をしていた頃、この本が最愛の一冊だった。何度も繰り返し読んでは感激していた筈だ。が、うん10年振りに、電子化された本書を手に取った時、あれ?こんな話だったか?と思った。大学時代に友人にも勧めた際、それ程良いと思わないと言われたことを思い出した。確かに、何歳で読んだかによって印象はこうも変わるのだと実感した。現代の若者が読んだら、ちょっと古典なのかもしれない。それにしても、大江健三郎、柴田翔、村上春樹という流れが好きな人にはわかるかも。
紙の本
されど、人生
2015/10/31 23:30
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投稿者:けのび - この投稿者のレビュー一覧を見る
学生運動の時代が舞台となった作品だが、最後のシーンは何度読んでも感動する。年を取るとは、生きるとはどういうことかと悩んだときには読んでみてほしい。
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2/11
ついつい買ってしまう青春もの。
ある人のブログで紹介されていて、気になり本屋で見てみたものの、学生運動ものかと思い一度は断念。
しかし後日衝動的に買い読んでみると内容は違っており、少し得した気分。
多分何年か後に再読したくなりそうな本。
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1950年代の日本を舞台に、結婚を誓い合った一組の男女を中心とした
若者たちの苦悩や人生への想いが描かれています。
当時の共産主義への崇拝・そして不信など、
時代的要素は盛り込まれているものの、
人生にそう数多くはない分岐点に立たされて悩み、苦しみ、
それぞれが決断を下す過程には共感を覚えます★
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当時の学生運動や政治的人間にフィーチャーしてるわけですが、 それよりも若者特有の思春期的悩みが主題であると思った。
時代や環境は違っても、普遍的に通ずる部分があって、読後に「おもしろい」と思う現代の若者は少なくないと思う。
ただ、登場人物全員の頭が良く、考察が深く、やや親近感をとびこえた感はある。
「空虚」「虚無」という言葉がたびたび出てくる、全体の印象としては「疲れた小説」という感じだった。一つの小説で二人の自殺者とその遺書が載っており、 終盤において小さな灯火のような希望感が描かれてはいるが、全体的な虚無感は挽回しきれていない印象。
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芥川賞シリーズ ③
学生時代読んだ記憶があったが今一度読み返してこんな内容であったのかと読んだ。映画化もされたようで当時の学生運動の渦の中で生きてる若者の姿が視覚的にわかるくらいよく書けています。自分は学生運動が終わった世代で運動については先輩たちから少し話を聞いたくらいでした。この本は学生運動とは別に若者の「生きること」への戸惑いや何のためにという問いかけに真摯に向き合っている点がいいです。
テレビドラマの「俺たちの旅」、「ふろぞいな林檎たち」に通じるものもあると感じます。
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柴田さん作品は読んだことがないんで、
この『されどわれらが日々』か『贈る言葉』かどちらかを
まず読んでみたいと思います。
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みんなそれぞれ自分の想いを長い手紙に託して愛と孤独のジレンマに苦悩している。
時代背景がピンとこなかったけど当時の様子を知ることができたし、現代の若者とはみんな考え方が違う気がした。
憧れの国語の先生のオススメだから読んだけどちょっと難しかったです
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浦野所有。
昭和39年の芥川賞受賞作。当時の学生に支持され、芥川賞屈指のベストセラーとなった小説です。描かれているのは共産党員の若者群像。自らの信念だけを追い求める学生の姿や、男尊女卑的発想などが、昭和30~40年代の世相を彷彿とさせます。資料的にはいいと思うのですが、正直、それ以上の価値を得ることはできませんでした。
はっきり申しまして、なぜこれが当時の若者に支持されたのか、さっぱりわかりません。ストーリーも陳腐。小説の姿を借りただけの、しいたげられた若者の主張にしか見えず、どこをどう読んだら楽しめるのか、さっぱりわかりませんでした。
そんな感じであまりオススメはできませんが、芥川賞のなかでも5本の指に入るベストセラーであることは確かなので、内容を確認するために読むのはいいと思います。時間があれば、どうぞ。お貸しします。
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【再々読】★少なく修正
同年代のおっさん達の対談集で年取ってから読むと嘘っぱちだとと書かれていたので再再読。
若い頃はそうかな~と思っていた事柄が,今では「あの時代でもありえん!」という思いがしてきた。文系と理系の違いかもしれないが,能天気な学生だ。
左翼かぶれ自体が理解不能だったのは今も一緒。
【再読】
学生の時に読んだ本で強く印象に残っていた。新装版が出たので,また買ってみた。
最初に読んだ時に感じた違和感は今も同じ。
もう駒場寮はないんだな。
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私の高校時代の最高の一冊でした。
今読むと生硬な感じがするストーリーですが、登場人物の台詞はいまでも鮮明に覚えております。幼い頃薬は牛乳で飲みなさいと教えられた女子大生が青酸カリを飲むのに、水で飲むのを躊躇するシーンやそういったすべてが懐かしいです。
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この本を最初に読んでのは、ずいぶん昔、たぶん高校生とか大学生の頃だったと思う。非常に面白かった、という記憶があり、文庫本での新装版が出ていたので、さっそく買って読んでみた。が、何故だろう、あまり面白くない、どころか、かなりの違和感を持ちながら読んだ。全体を流れる、なんと言うか、虚無感・覇気のなさ、みたいなものに全くなじめないのだ。学生の頃、この本を読んで面白く感じたのは、そういった虚無感みたいなものなものに惹かれたからなのだろう。若い頃に虚無的なものに惹かれ、歳をとった今頃になり、そういうものに全く興味を覚えなくなる、というのも面白い気がした。
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この時代に興味があったので、読んでみた。物語としては、それほどおもしろくないと思う。けれど、手紙というメディアが重要な役割を果たしていたことを改めて実感した。みんな、何かあると長い手紙を書くのである。そんなもんもらった日にはたまんないし、相手の迷惑を考えたらふつう書かないよ。といったような長くて内容の濃ゆい手紙である。他者に対する期待とか、分かり合えるとか、共感とか、自分はどう生きるか、どうあらねばならないのかといった、私なんかが適当にうっちゃっているというか、うっちゃらなければ生きていけないことに向き合ってたのだなあとつくづく思った。まだ、そんなに前でもないのにね。
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1964年版単行本を読了。表題作と短篇「ロクタル管の話」を収録。
大島と節子は、空虚な過去からくる互いの諦めを認めながら婚約する。しかし、節子は馴れ合いの関係に焦燥と疲労感を覚え、意味ある生を求めて一人で新しい生活を始める。
二人を中心に、困難をもって同じ時代を生きた人々の願いと挫折が明かされる。
内面描写が主。学生運動の重みは想像できないが、登場人物たちの抱える空虚感や苦悩や痛みは現代の私たちのそれと何も変わらない。
節子の自己欺瞞の告白と自立の道を歩む決意が、自分の怠惰を暴かれたようで心に深く突き刺さった。大島は節子の事故によってはじめて彼女への愛を自覚するが、彼が彼女の勇気を称えるのはいささか傲慢に感じる。生を求める人が英雄ではなく、誰もがそれを目指すべきだ。馴れ合いを選んだ時点で人は老いるのだろう。
安穏な生活それ自体は悪ではないが、それを惰性的な無意味なものにしないために自分を持ち続けなければならない。この本は自分にとって警告であり、決断をする人には後押しとなるだろう。
「ロクタル管の話」はラジオ少年の話。電気回路への憧れを、決して見えない世界が確実にありそれを信じうることと説明する。くどく感じたのでこちらは星2つ。