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生き様の違う女性二人が主人公として描かれて、
かたや独身のベンチャー企業の女社長、
かたや既婚で雇われる立場の子持ち主婦…
て、こう書くとまるで唯川恵の「永遠の途中」みたい。
でも、タッチが全然違うんだよね。
『対岸の彼女』の二人のほうが、前に前に進もうとする力がある。
主婦・小夜子の視点で描かれる現在(30代)の小夜子と葵、
葵の視点で描かれる過去(高校時代)の葵とナナコ。
2つの話が、どこでどうやってクロスするのかなぁとドキドキ。
年が近いからか、「過去」の話のほうがすんなり入ってきたけど、
少し時間がたったらきっと「現在」の話がよりリアルになるんだろな。
最後が前向きな終わり方だったからか、清々しい気分になれた。
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葵とナナコの友情感がわからないのは私に友達がいなかったからなのかな、って思っちゃうと、自分の世界の狭さを理解できなかった小夜子と同じなわけで。
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ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも
ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと
出会うことのほうが うんと大事な気がするんだよね
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女なら読むべき。
女なら読むべき。(重要なので2回言いました)
そこで男なら女を理解するために読むべき、って書きたいとこなんだけど、女の私でも女は難しいなーって考えさせられた一冊。
でもちゃんと救いどころがあるというか、読み終わってすっきりした気分になれるとこがいいなぁって思いました。あ、ちなみに女子校育ちの人は特に共感できるとこが多いと思います。
泣けるよ。
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アルゼンチンに向かう道中で読んだ本。 乗り換えのヒューストンで完読。
直木賞受賞時のニュースでは 「既婚女性と未婚女性の 「勝ち犬・負け犬観」 を超えた友情物語」 みたいな書かれ方をされていたのを目にしていたけど 実際に読んでみたらもっと奥深さと普遍性のある共感できる小説であった。
田舎に引っ込むことで陰気になったり、 働きに出ることで気持ちが前向きになるくだり や 主人公・葵がナナコとの友情から まさに 「ナナコ化」 してしまう流れ など、 一貫したベースにある思想は、 人間の性格や考え方は環境や他人からの影響で変わっていく、 というもの。 とても感情主体で女性的な小説ではあるのだけど、 時間軸と人間関係の広がりがロジカルに設計されている印象があって 無駄がなくコンパクトにまとまっていてとても読みやすい。 同じ道中で読んだ東野圭吾の 「手紙」 の中に 「自殺という行為は人間関係を一方的に強制的にすべて断ち切ってしまうという意味で罪である」 というセリフがあり、 それともあいまって 人は人の中で生きているんだな、 とあらためて思った。
私自身は 物語の中で 「わたしたちって ひとりぼっち恐怖症の世代よね」 と語っている世代よりも実際少し下で、 私たちには それ以上に 「自分らしさ不在恐怖症」「自立できない恐怖症」 があるかもしれない。 大学時代あたりに 「自分探し」 という言葉がはやっていたように。 ここの登場人物たちの、 他人から受ける影響でのキャラクターの振り幅があまりに大きいのに少し戸惑いも感じたことで そう思った。 ベビーブーマーはオレオレ要注意? それでも物語の後半には 自分が一歩踏み出すことで 環境だけでなく自分で自分も変えていくことができる、 というメッセージにつながっていて、 まさにこれから旅に出ようというタイミングにはピッタリな小説だった。
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読んでいる途中でこれは傑作だ、とすぐに気付いた。途中でぼろっと涙がおちてきて、そんなことが三回くらいあった。
何気ない描写のなかに、痛いほど胸に染みてくるような感情表現が光ってます。
生々しい心の動き。
それはたとえば、自分は欠陥があるんじゃないかと思ったり、この人はきっと自分勝手に生きてきたのだとうらやんでみたり、誰も理解してくれないと、ともに過ごした時間までをも否定してしまうこと。
共感できてしまって、でも間違っていることもわかっていて、襟を正したくなる。
とくに、葵の両親や、葵と小夜子、小夜子と修二、小夜子とあかりの関係、それぞれが緊迫して、でもなんとか相手を思いやって日常を守ろうとしているのが痛々しいほどはっきりと見える。
前から親子関係を書くのはとくに上手いな、と思っていたのだが、「前に住んでいた街を美化することでしか今の環境に馴染めない母」「クラスメイトを嘲笑うことで自分は違うと思いたい葵」を関係付けて書いたのはさすが。
でも一番好きなのは、
「何も買わなかったことで、なんとなくしょげ返っている父に、ラーメン屋に連れていってくれと葵は頼んだ」(P248)
の、くだり。二人の、家族であろう、相手を思いやろうという努力が一文でみごとに出ている。
もちろん親子のみならず、あらゆる「関係性」を描くのに長けた小説。どろどろと深く沈んでいくような小説なのに、それでもいいと思ったのに、思いがけず最後にはふわっと救い上げられる。
あたたかい涙がこぼれて、生きていこうと思った。
きっと人とかかわることをやめないで、生きていける。
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どこへもいけなかった。
だけどあたしたち、
どこへいこうとしてたんだろう。
この一文がすごくひっかかりました。
なぜなのかは自分でもよく分からなかったけど。
読み終わった瞬間、何とも形容しがたい気持ちになりました。
心を直接ぎゅっと鷲掴みにされたような感じ。
時間軸の違う2つのストーリーが同時に進行していきます。
ベテランの文章はやはり読みやすいですね。
女性からみた女の子特有の派閥みたいなもの。
恐らく、男には一生かかっても理解できないようなこと。
それがさらさらと温度を持たない文章で書かれていました。
決して冷たいというわけではないけど。
主観すぎず、適度な距離から見ている文章でした。
直木賞受賞作ってのも頷けますね。
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生協で買う。角田さんは手当たり次第に読むという感じだけれど、これは読んでなかった。他のに比べて力入ってます!!!って感じ。[08/06/??]
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女って、なんてめんどくさいんだろう。
けど、女って良いかも。と最後には思わせてくれる小説だった。
小学校、中学校と、いじめられ友人の出来なかった葵は
不登校になり
高校は、母親の田舎へと家族で引越し、通いだす。
そこでの出会い。
それまでの自分を必死に変えようと戦う葵。
1話が終わると、現在の葵の姿が描かれる
そこに登場する小夜子という女性。
人とコミニュケーションをとるのを少し苦手にしていて
子供が生まれ、歩きだす頃には、公園デビューで悩む。
公園での人間関係の派閥、
仲が良いのと、大人の人間関係の距離感って
微妙なものがあって、
また、仲が良いとは、いない人のことを悪く言うことで
結束したりするような勘違いの主婦仲間の付き合いに
馴染めない小夜子は
公園を放浪しては日々悩む。
それならば、いっそ仕事をすることで
自分も子供も成長できるのでは?と考えた小夜子の前に現れたのが
35歳になった女社長の葵。
物語は、葵の少女時代、
そして小夜子側から見た現代と葵との関係とを
ものすごく丁寧に綴られている。
葵の中にあった、高校のときであった忘れられない「ナナコ」という少女の存在
きっと誰もが「ナナコ」と葵のような
心の絆を深めた大切な大切な友情って持っているんだけど
それを信じきれる勇気っていうのが、なかなか無いのかも。
心と心が繋がってる確かな友情を
忘れずに、ずっと暖めていれば
必ず、また、同じように心を許せる友人に
出会うことが出来るんだ。と
とても心が洗われたような研ぎ澄まされたような
ステキな気分だった。
私の中にも「ナナコ」はいる。確かにいる。
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「人と出会うという事は、自分の中にその人にしか埋められない鋳型を穿つようなことだと思っていた。人と出会えば出会うだけ、だから自分は穴だらけになっていくのだと。」
現代女性の抱える悩み、すれ違いを描いた第132回直木三十五賞受賞作。
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女子校育ちの私にはとても感情移入できる作品でした。
私にも会いたくても会えない友達がいるので。
何だか自分に重ねてしまった。
もちろん悪友ではないですよ!
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女はきっとこういう悩みや経験を積んでるんだろうな。
男には分からない。
当然、ボクも分からない。
男はここまで複雑じゃないから。
あの人とならどこまでもいけるなんて思っても、その人の『ある一言』なんかで、実は自分とその人とは同じ岸になんて立ってなくて、全くの対岸に居たり…。
人と出会うことが煩わしくなってる人が読むとなかなかのコウカテキメンかな。
角田光代はやはりすばらしい。
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自分と同じ30代の女性二人が主人公。
「私たちの世代って、ひとりぼっち恐怖症だと思わない?」
いくつものドキリとする言葉が出てきます。
30代の女性ってそれまでとは違い、それぞれ立場が変わって
いったり、生活環境が変わっていったりして、特有の切なさを
感じやすいのかな。
直木賞受賞作だから、ではなく、お勧めします
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あまりに自分に近いものを感じて、しばらく読めなかった一冊。でも、勇気を出して読んで、よかった。私も仕事してなかったら、子どもと公園とか子育て支援センターとかで、うまく他のママたちとなじめず、でも子どもには友達と遊んでもらいたくて、途方にくれていたかもしれないと思うと、最初は読むのがしんどかった。読後は、むしろ元気づけられた。無理しなくていいよね、自分らしくいられるところで、がんばっていけばいいよねと思えて、よかった。主人公の二人には、それぞれ共感できることがありまくり。女同士のつきあいって、ほんといろいろあるよねと思い、それを見事に描写している角田さんは、すごいと思った。
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