紙の本
これだけでも楽しめる
2016/05/11 19:10
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉田氏のデビュー作である「最後の息子」
の主人公の後日譚ですが、
この作品だけ読んでも楽しめると思います。
5つの短編で構成されていますが、
最初の1編以外はどこか自分の過去にもあったなぁと
誰もが思えるような出来事が描かれているのではないでしょうか。
私自身は4編目のパーキングエリアの設定が
最も共感・共鳴できる話でした。
読むのが早い人ならコーヒー1杯を飲み終える間に
読み終えてしまうだろう作品ですが
コーヒーと共に良い残り香が味わえると思います。
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12/10/07
タイトルと装丁でお洒落な話なのだろうかと読み始めたが、読み進め、写真を鑑賞してゆくとどんどん雲行きが怪しくなっていく。『ランドマーク』で浜崎あゆみの歌詞をラストに持ってきた吉田修一なだけはある。
俗的。或る意味、リアル。ジャズのCDセールスより、1時期の勢いはないとはいえ、avexのCDの方が売れているわけだからね。
相変わらず、読者をハッとさせる、ニヤつかせる会話や心理描写、行間からにじみ出てくる切ないラスト。
物足りなさはあるものの、さすが吉田修一。必ず新しい側面を垣間見させてくれる。
先月読んだばかりなのに懐かしいなぁ。閻魔ちゃん。
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字がでかい それが第一印象w
「最後の息子」のその後が連作で読めます。
正直あのまま終わっても良かったと思うのはワタシだけでしょうか。
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昔、オカマバーのママと同棲していた経験を持つ男。
今は、子連れの女性と結婚して一児の父親。
そんな彼の連作集。
さらりと読めてしまう中にも、深いものが存在する。
子供との関係だったり、妻との関係だったり、主人公自身の中での葛藤だったり、そんな色々なことが、細やかな表現でつづられていく。
うまく言葉で表現できないのがもどかしいが、とにかく、いいんである。
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デビュー作「最後の息子」のその後を綴った連作短編集。
軽めの文章と何故かモノクロの写真を織り交ぜた本で、こちらの感覚としてもサクっと読める。
相変わらず淡々としているのに全体的には温かく、そして最後は考えさせずにはいられない隠し味。やられた。
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登場するモチーフが、それ自体で独立した物語を進めていってもよさそうなくらい一つ一つ印象に残る。魅力的なものばかり集まっているのに物語が動き出さないかんじは、それはそれでいいと思います。昔同棲してた人の描写には少し切なくなりました。関係なさそうな最後の『楽園』がけっこう好きです。
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初めて触れた吉田作品。新鮮だった。
さりげない光景に、ふと昔の想い出や男女間の切なさが、
驚くほど自然に語られてゆく。
心に残る青い部分と消え去らない紅い情熱を思い出させてくれた。
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吉田修一のデビュー作『最後の息子』の続編があったなんて。。。
知りませんでした。『最後の息子』の主人公のその後を描いた作品。
子連れの女と結婚し、マジメに、そして大人の世界で生きる男として毎日を過ごす主人公。
本当の父親ではないが、父になろうとする自分、いつかやはり父ではないと思ってしまうかもしれない自分。
連作短編集で進む物語、そして最後の結末。
読者に何通りの可能性を見せる終わり方。
あそこで死んだのは誰だったのか。
あなたの答えは?
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デザイン良。バーニーズだから女性の話かと思いきや、三十代男性の4篇と他1篇。京王線沿線生活者の描写がリアル。日光にサボった話のラスト、将来あんな妻になりたいわ。
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僕の未来があって、君の過去がある
元気ですか、今の僕です。
ずっと読みたかった本
とても写真のバランスが素敵で、小説、とは言い切れない。
実際には、愛せる人を愛そうとしない依怙地な自分に嫌気がさしたのかもしれない。
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まず、この表紙に惹かれた。
本屋さんで見かけて、何度手に取ったことか。
それから、中にある白黒写真。おしゃれな本。
内容は短い話だけど、なんかドラマになりそうだなーと思った。
さくっと読めました。
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わたし、一生かかっても
バーニーズで服を買えるような人間にはなりそうにありません。
そういう意味では、私の中でちょっと上流な人たちの話?
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本屋さんで最初のほうを立ち読みして、
私の中の吉田修一ベストになりそうな気がして、
あっためていました。
予想通り、私の中のいちばん好きな作品になりました。
特別な一日にしたくて、日を選んで読みました。
図らずも、ほかの人生について考えさせられることになってしまった一日だったので、これからも、この本を見るたびに思い出しそうです。
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『最後の息子』の主人公である、筒井が30代になり、結婚して他人の子供の父親になっての登場でした。
「選択しなかった道」をふと思う時、自分が過ごすはずだった時間は一体どんなものだっただろうか?と誰しもが思う事・・・
「夫婦の悪戯」でのお互いに一つだけ嘘をついてより相手を驚かせた方が勝ちというゲームで、本当のことをポロっと言ってしまい、お互いに動揺する様が描かれていて見事だと思ったし、「パーキングエリア」では、通勤途上で別の道に行ってしまうというその「選ばなかった時間」に向かったその後・・・挿写真がとっても利いてて、締めくくりが美しかった・・・・。
『言葉にすると少し大袈裟かもしれないが、うんざりするほど誰かに愛されたことのある人間は、うんざりするほど誰かを愛する術を身につけるのかもしれない』の一節が心に響く・・・
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『最後の息子』の続編らしいが、まだそちらは読んでいない。選ばなかった人生があることは否めないが、岩に打ちよせる波のリズムと沖のヨットのリズムが完全に合うことは、もう二度とないのだ。たまに合致するときがあったとしても。
「うんざりするほど誰かに愛されたことのある人間は、うんざりするほど誰かを愛する術を身に着けるのかもしれない」p.29
「なんの苦労もなく生活だけはできたその場所を、逃げ出す理由さえ見つけられない自分に焦り、そして怯えて、飛び出してしまったのかもしれない。愛せない人に愛されることに罪悪感を感じたと言えば格好もつくが、実際には、愛せる人を愛そうとしない依怙地な自分に嫌気がさしたのかもしれない」pp.31-32