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生命賛歌
2021/11/24 16:24
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投稿者:dsukesan - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回の物語は、また角度を変えて、生と死を描いたもの。一般社会での価値体系よる一元的な評価だけでは人間は測れないということを、アウトローの任侠と触れることで解体し敷衍してきたのがこのシリーズ。しかし、そんな異なる価値体系、見えや粋、面子と言ったものを大切にして生きている男たちも、死を前にして、命と向き合うと形無になってしまう。
『死にたいことと、死んでもいいってことは、全く別物』という言葉の重さを知る。
イジメを苦にする少年や次作を求める編集者の姿から、生きることは、苦しく、さまざまなことを縁にして人は生きていることが浮かび上がる。その一方で、その命をめぐる、マリアと平岡の対立、そして山男の姿勢に命の尊厳、峻厳さを改めて気づかされる。
命は儚く頼りない。が、とてつもない力強さと光をも同時に宿している。
そんなメッセージを貰う生命賛歌の物語だった。
そして、そんな中で、徐々に主人公の作家の内面が前に出てくる。子どもで止まってしまい、愛情表現の方法を知らぬその姿に、漸く共感できるとっかかりが見つかった。次巻、最終巻で、この作家の魂も救われるのだろうか。
シリーズものながら、全く異なる展開でワンパターン化しない浅田次郎の筆力を感じさせられた。
楽しい
2021/02/23 14:56
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本を整理していたら冬と春が出てきたので読んだ。夏から始まるはずなので,夏と秋も探したのだが,みつからなかったので仕方なく冬から始めた。うん,楽しい。著者にはこういうのをまた書いて欲しい。ペンクラブの会長になって政治的発言などしなくてよいから,是非エンターテイメントを提供して欲しい。そのほうが立派な業績だ。
寒いのにあったかい
2017/07/02 12:19
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投稿者:まきちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
冬のプリズンホテルは極寒なのに、登場人物みんなが温かい。
マリアと一緒に泣き、伝説の山男の背中を見送る、そんな素敵なホテルに泊まってみたいと思いました。
浮世の垢を落としに!是非一読。
2002/07/08 19:24
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投稿者:むつき ジン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヤクザの親分が経営する、通称「プリズンホテル」には今宵も変なお客がやってくる!?
ちょっと変わった(と言うよりもむしろ異常といった方が良いかもしれない)設定と、個性豊かな登場人物が魅力のこのシリーズ。人間の暖かさが伝わってくる、全編通してぜひ読んでほしい作品であるが、個人的にはこの「冬」は一押しだ。
本作「冬」は、命がけで人を救ってきた看護婦「血まみれのマリア」と、患者を安楽死させた医師との出会いを中心に描かれている。「命とは」「医療とは」といった難しいテーマに、木戸親分はどう取り組むのか。もちろんプリズンホテルらしいドタバタ人情物語の一面も健在だが、人としていつかは考なければならない問題を提起している。
またこのシリーズの中心人物と言っていいであろう作家、木戸先生の性格が徐々に変わり始めるのもこの巻で、そこにまつわる人間関係が涙を誘う。
笑い有り、涙有り。浮世の垢を落とすためにぜひ一読していただきたい。