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みんなのレビュー87件

みんなの評価3.6

評価内訳

87 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

不条理、憎しみを描きながら、思い込みを誘う

2008/03/14 17:10

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

第14回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「鼻」を収録。
3編の短編・中編を収録していますが
どれも水準の高い作品ばかりです。

「暴落」では人間も株式上場し、
役に立たない人は上場廃止となり
株価を上げるために人は頑張り、評判を気にして
人脈を築いていくという世の中を描いています。

しかも主人公は両手足が動かず、目も見えず
ベッドに横になったきりの男。
彼がエリートだったことなどを新しく来たヘルパーさんに語るのですが
彼はもちろんまだ将来に期待しています。

自分の評価が株価になるという恐ろしさもさることながら
人間の利己主義をとことん書き、深めていくストーリーも怖い。

「受難」ではビルとビルの間の鉄格子に
手錠で繋がれた男の不条理を描いた小説。
若い子たちの生態と、カルト教団を絡め、これもホラーの味付けがうまい。

「鼻」は秀逸。
これをネタばれせず書評を書くのはムリなので、
そのつもりでお読みください。

妻子を失い抜け殻のように生きる医師は、
亡くなった妻と娘そっくりのホームレスを見かけます。
困窮する二人につい救いの手を差し伸べます。

一方、もう一つの物語がクロスカッティングされます。
潔癖症の刑事は、自分のまわりで臭いをかぐ奴を
ことごとく「犬」と呼び、唾棄します。
女の子二人が行方不明になった事件で、
刑事はある男に目星をつけます。
その男は始終、マスクをしており、
刑事はその顔を一度でいいから見てみたいとも思っています。

この小説のすばらしい点は明朝体とゴシック体をうまく使って
読者の思い込みを発生させていること、ですね。
さらに「誰の」妄想であるか、というのが明らかになった時の
騙され感と、妙なカタルシス。

しかも、それぞれの物語がとても作りこんであります。
ナチスまがいの迫害や人権蹂躙。
不穏な事件が続く世の中。
戦慄しながらも読まずにはいられない。
日本ホラー小説短編賞ではいちばんの作品ではないでしょうか。


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電子書籍

秀逸な三話

2022/07/21 16:01

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る

短編が三話だが、どれも異様な世界に引きずり込まれたような圧迫感があって先を読み進める手が止まらなくなる。著者の他の作品も読みたくなりました。

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紙の本

“私”と“俺”、侵食しあうふたつの日常、そしてふたつの転落

2007/12/24 00:59

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:秋野音人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 エスピオナージ(スパイ小説)の『沈底魚』で第五十三回江戸川乱歩賞を、ホラー小説の『鼻』で第十四回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した曽根圭介の記念すべき第一短編集、それが本書である。一足早く『沈底魚』が刊行され、それが『このミステリーがすごい!』において21点ほど獲得したことなどから、ミステリ作家として認識されたきらいのある著者だが、日本ホラー小説大賞短編賞の受賞作「鼻」を含む短編集の刊行によって、ミステリだけでなく優れたホラーも書くことのできる作家であることを証明した。

 視界を奪われ、全身麻酔をかけられた男の語る転落の人生「暴落」。ビルとビルの間にある無人の空間に、拘束されてしまった男を襲う悲劇「受難」。テングと揶揄され迫害されている人種に救いの手を伸ばそうとする“私”と、謎のマスク男を追っている刑事の“俺”が交互に語る「鼻」。
 いずれの中短編も悪趣味に捩じれた日常を舞台に、ちょっとしたことからどん底へと転がり落ちてゆく男性が描かれている。たとえば「暴落」では個々人に株式がつけられていたとしたら? という if から SF 的世界観を発展させ、自身の株が暴落の一途を辿る男性の人生が描かれているし、「受難」では酔った勢いで些細なミスを犯してしまい、密室に閉じ込められることになる男性の末路が描かれている。しかし、どちらも「鼻」には叶わない。
「鼻」において描き出されている日常は、極めて特異だ。物語は“私”のある一日に幕を開ける。“私”の生きている日本では、テングと呼ばれる鼻の高い人種が迫害されており、逆にブタと呼ばれる鼻のない人種が優遇されているのだ。しかし“私”は他の多くの人々とは異なり、テングに対して好意的である。自分の手が及ぶ範囲内で“私”は彼らを救おうとする。と、ある程度、世界観が開示されたところで、唐突にゴシック体で綴られる“俺”の視点が割り込んでくる。どうやら刑事であるらしい“俺”は、ある事件を追っている。ところが“俺”は病的な習慣を持っている。一日に何度も着替え、スーツやシャツを毎日クリーニングに出すのだ。臭いに対して非常に敏感な“俺”は、些細なことで理性を失い、司法の担い手であるにも関わらず、すぐに暴力に訴える。おおよそ正常な人格とは言いがたい。ところが“私”と“俺”、交互に繰り出される物語を読んでいるうちに、やがて読者は気づくことになる、ふたりの日常がお互いを侵食しあっていることに。激しくぶれる常識と世界観とに眩惑を覚え、ふたりの転落を予期したとき、読者はもう著者の掌中にあると言えるだろう。

 江戸川乱歩賞受賞の会見において、著者の曽根圭介は、大学中退に始まり、就職と退職を繰り返した半生を語ったと読売新聞が報じていた。作家業もいつか放り出してしまうのでは? という記者の問いに「一作ごとに違う世界を書く小説はそのたびに転職するから大丈夫。唯一時間を忘れられるのも、物語を書くこと」と答えたらしい。次に放たれるのは、いかなる変化球か? 刮目して待ちたい。

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2007/12/26 06:35

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2007/12/29 09:56

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2008/01/16 15:18

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2008/02/15 22:11

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2008/03/31 19:00

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2008/11/13 12:15

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2008/08/01 23:02

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2009/04/30 03:09

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