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紙の本
生と死を扱った傑作揃い
2019/11/23 13:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニック - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和50年代に書かれた短編小説集。日常と非日常の境をなくす新鮮な視点やリアルな表現に貫かれ、生と死を扱った傑作揃い。
紙の本
満足感のある短篇集
2011/10/09 21:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は吉村昭の短編集である。一体どれほどの短編を上梓したのか、本棚には随分並んでいる。勿論、それが全てではないのだから驚かされる。長編にはいわゆるドキュメンタリーが多く、常に丹念な調査に基づいているので、実に興味深い。それに対して短編にはモデルがあるのかどうかは分からない。しかし、何等かの調査によって明らかになった一部分を切り取っているような気がしてならない。
今回は短編を7つ集めたものである。吉村の短編作品を読むのは久しぶりだったが、確たる特徴がある。それは、ストーリーが分かりやすい反面、短編だから仕方がないのだが、突然結末を迎えることになるのだ。つまり、起承転結があるようで、印象としては盛り上がりがない。唐突に終わりを迎えるのである。
もう一つは、舞台設定に特徴がある。刑務官と服役者というあまり取り上げられることのない組み合わせが度々登場することであろう。今回も本書のタイトルになっている『秋の街』がそうである。何ということのない関係なのだが、両者の間には緊張感があり、それが読者に伝わってくる。
まだある。監察医務院の職員もよく登場する。本書の『雲母の柵』がそうである。希望したわけではないが、職員となった若者の何とも言えない一幕である。犯罪でも絡んでくれば、昨今のテレビドラマにでも出てきそうな職業であるが、そうではなく、淡々とその生活の一部を切り出したような描き方なのである。
子供の主人公が父、あるいは母と過ごした劇的な出来事を描いたものもある。『さそり座』と『花曇り』がそれである。どちらも成長して大人になった後まで記憶しているかどうかは分からないような親子の別れを描いている。どちらも心に残る作品である。
さらに、漁船が漂流する物語もいくつかある。長編では何と言っても『漂流』であるが、本書でも『船長泣く』がある。漂流モノは人間の極限状態を描くわけだが、生への欲望は果てしがない。
本書でも吉村の題材の選択や描き方を味わうことができる。また、本書を契機に読み始めたいという意欲が湧いてきた。幸い読むべき未読の短編はまだまだ多い。
紙の本
吉村文学の精髄ともいうべき短編集。
2004/09/07 15:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:由良 博英 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和50年代に著された短篇7つを収録したもの。刑務官と受刑者、末期症状の患者、難破船など、著者の他の長編小説の題材としてもしばしば取り上げられる主題を扱ったフィクションである。しかし、綿密な取材に拠り、感情を抑えストイックな潔い文体で描かれるこれらの作品には、虚構とは思えない迫真の力がこもる。吉村文学の精髄ともいうべき味わいに満ちており、著者に馴染みの薄いかたへの最初の1冊にも奨められるものと思う。
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