阪神大震災の教訓から
2015/09/28 07:55
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投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
阪神大震災を経験されている林敏彦教授の手によるものである。阪神大震災時のヴィヴィッドな画像や追悼の心情だけではなく復興過程を通じて、知見が蓄積されていたことを教えてくれる。
行政当事者の直面する課題に経済学だけでなく工学、社会学の学者がどのようなやりかたが復興の妨げとなる法制度を修正し新たな制定していくかを教えてくれる。
民法による所有権保護は極めて強く、政府が個人所有物への援助となる家屋再生への助成限界をいかにすべきかも指摘されている。
学問の人がなにができるか従来の知見だけでは対応しきれない時に利害当事者の熱気の中でも誠実に弛まず取り組むことなのだなと、教えてくれる。
まさに教示された読後感であり、著者は優れた教師でもある。
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大災害の異常事態において、誰が、どのように緊急の対応を行うのか?復興への道筋へとどう導くのか?緊急事態における指揮命令体制や、賠償や復興基金にまつわる公と私の対立などの論点を、阪神淡路大震災や9.11同時多発テロに言及しながら説いている。
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稲葉先生のブログで知って読んだのだが,ちょっと期待外れ。阪神大震災の後,兵庫県復興計画策定調査委員会のメンバーとして震災復興に関わった経済学者による,今次震災後の復興へ向けての提言。
災害対策基本法の原則は,「補完性」と「現物支給」。被災自治体が第一義的に災害対応に責任をもち,支援は金銭でなく現物で行なわれる。ただ,今回の震災の被害の規模に鑑みて,この原則は見直しが必要と主張。国が自ら事業計画を立て,財産を失った人々に経済支援を行なうべし,とする。
自然災害でも人為災害でも,他国による武力侵攻でも,それへの対応は,突如発生する資源の不足をどう解決するか,というのが基本。しかも切実な時間の制約がある。このような場合,市場原理にゆだねるだけでは解決できず,命令統制による配給制度が必要になってくる。
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阪神・淡路大震災における震災復興基金などの事例をもとに,如何に復興をファイナンスできるのかを提言した書です.冒頭で,「世界では百年間の趨勢として,災害による死者数は減少し,災害による被害金額は上昇している」ことが示されています.特にこの数十年間の伸び率が異常に高いと思います.
今後は,財政面も含め災害リスクマネジメントが重要だと痛感する1冊です.
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・阪神・淡路大震災。米国の9.11テロ、ハリケーン・カトリーナ、など過去の大災害の復興の話を中心に展開。
・特に日本と米国で復興に対するスタンスの違いなど興味深く読めた。
・著者は、阪神・淡路大震災の復興委員メンバーの為、話の中心は、どうしても阪神・淡路大震災の話になりがち。その為、日本の3.11東日本大震災について、将来的な提言を期待すると少々肩透かしかも。
・引用している文章が、役所文書が多い為、(慣れの問題かもしれないが)その部分は読み難く感じた。