紙の本
親しく交流を始めた老人は、友の敵だった。情の板挟みが大治郎を悩ませる。
2012/02/17 18:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
剣客商売第十二弾。
生きるも死ぬも己の才覚次第。
知らない間に人の恨みを買っているかもしれない。
そんな厳しい剣客の世界に生きる秋山小兵衛と息・大治郎。
しかし厳しい世界に身を置き、精神が鍛錬された二人と言えども、心を迷わすこともある。
とくに大治郎は、まだまだ経験が足りないのだ。
大治郎は田沼屋敷の稽古からの帰り、暴漢に襲われた下女を助けた、父小兵衛に似た老人と遭遇した。
名乗れども名乗り返さず去っていく老人に、大治郎は妙な気持ちを抱いたものの、蕎麦屋で再び老人と邂逅してからというもの、二人は友のように打ち解け合い、たびたび蕎麦屋で食を共にするようになった。
ところが、その老人の本名を父から聞かされた大治郎は愕然とした。
友が長年探し続けている敵の名だったのだ。【逃げる人】
相変わらず、池波正太郎の仇討ちものはいい。
他の仇討ちの作品からは、長い間、追い追われることで、人物の本質が生々しいほどに感じられてくるのだが、【逃げる人】では、彼らと心を通わせ、情の板挟みになった大治郎の迷いと苦悩、決断への心痛がさし迫ってくる。
敵を追う友に知らせるべきか、このまま何も知らないふりをし、親しくなった老人と交流を深めるべきか。
このときどのように行動するべきか。
それとも『するべき』という正解はないのか。
現代でもありえる情の板挟みに、そういうことが印象に残った一冊だった。
【収録作品】
白い猫、密通浪人、浮寝鳥、十番斬り、同門の酒、逃げる人、罪ほろぼし。
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小兵衛さんのシブカッコよさにはいつも惹かれますがこの巻が一番好きです!特に最初の白い猫と、最後の辻斬りの後日談は、読んだ後におもわずクスっと笑ってしまうような面白さがあります。この暖かい粋な読み心地は、剣客商売全体に通じるものだと思います。池波先生には本当に頭が下がります‥!
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無頼者一掃を最後の仕事と決めた不治の病の孤独な中年剣客。その助太刀に小兵衛の白刃が冴える表題作など全7編。シリーズ第十二弾。
【感想】
http://blog.livedoor.jp/nahomaru/archives/50622875.html
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中学校時代から何度も読み続けている池波正太郎もの。
たぶん一番最初に読んだのがこのシリーズ。
食べ物に対する興味も、江戸時代の言葉、作法も全てこれで覚えた。
読まないと人生損だぜ。
同じ時期から池波正太郎が好きだった人を人だけ知っている。
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・9/23 読了.これはもっとあっという間だった.残りあと4巻になったけど、こっちで売ってるかなぁ.こうなったら番外編も読破したいもんだ.
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20101224 何度読んでも新しい。毎回、元気になれる大事なシリーズ。
20141114 読み返して毎回新しい発見がある。良い本は永遠なんだろうな。
20200628 今回は小兵衛が元気に活躍する場面が多く、励まされた。逆に大治郎、美冬の出番が少なく、小太郎がどんなか気になってしまった。次回シリーズを又読もうと思う。
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小兵衛65歳
10人を切り倒しても少し息切れする程度
明け方掛け物をしてあげる小兵衛に
「あれ、すみませんよう・・・」と
夢うつつで答える「おはる」が可愛いですね
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剣客商売シリーズ第12弾
白い猫
密通浪人
浮寝鳥
十番斬り
同門の酒
逃げる人
罪ほろぼし
早いものでもう12作目。
お話の中でも月日は流れて小兵衛は65歳あたり。まだまだ元気な小兵衛だけど、時折、ふと老いを感じさせる。
おはるも少し古女房のようになってきた…?それでも可愛らしい女性です。
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あいかわらず、あっという間に読了。
序盤に比べると小兵衛が少しづつ老いて行く感じが、ちゃんと作中でも時の流れを忠実に描いている池波先生の巧緻に感嘆。
これは!という作品はなかったが個人的には「罪ほろぼし」が暗いテーマの割にさわやかな読後感で良かったかな?
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この物語を 気楽に読んでいたが
小兵衛が まさに 私と同じ世代。
大治郎が 嫁をもらい 初孫ができる。
60歳はじめの小兵衛の複雑な心境が みょうに 気に入るのだ。
40歳年下のおはるを 嫁にもらい
質素で慎ましやかで おはるの愛情につつまれながら
食べ過ぎて おなかを壊したり
おはるの膝で お昼寝をしている・・・・
そして 旗本たちの ふがいなさや
ふとどきな浪人を こらしめ、
大治郎の成長を じっくりと見つめる。
小兵衛はいう
『剣術もやめて 年を老ってしまうと どうも退屈で仕方がない。
だから、ついつい人事へくびを突っ込みたくなるのであろうよ。』
『万(よろず)、よけいな事をしたがらぬものじゃ。
わしなどは毎朝、顔を洗うのも面倒になってしまったわぇ』
老いることの真髄ですね。
そして 小兵衛は こうもいう。
『人の世の善と悪とは、紙一重じゃ。』
達観したその視線。いいねぇ。
永井源太郎のさわやかさ。
父親の罪滅ぼしをかんがえ 自分をじっと見つめる。
うわさがあっても、自らの筋を通す。
若い者も いいぞ。
おはるがいう
『へんな父子』と。
なんというおだやかな空気がながれる。
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時代小説。「剣客商売」シリーズ第12弾。7作。
「白い猫」「密通浪人」「浮寝鳥」「十番斬り」「同門の酒」「逃げる人」「罪ほろぼし」
今まで読んできた剣客シリーズの中で、とても好きな巻。
どれも面白い。「白い猫」の猫の愛らしさ(黒兵衛は結局飼わなかったのか?)。
「密通浪人」「浮寝鳥」で小兵衛と大治郎がそれぞれいっぱい食わされる。
「十番斬り」は表題作だけあって印象的。死を前にして為すべきことを見つけた松村浪人。それを小兵衛が助ける。
「同門の酒」は普段の律儀さが己の危機を助ける。
「逃げる人」では大治郎が敵もちとその敵の両方を知ってしまい、決断を迫られる。
「罪ほろぼし」父が大罪を犯した永井源太郎の粛々と生きる姿。二人の罪ほろぼし。
お勧めです。
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剣客商売シリーズ第12弾
「剣客商売」のなかには季節が綺麗に描かれている、なかでも季節感を出すために食べ物がうまく登場する。しかし、現代は食べ物の季節感はほとんど無くなってしまった。
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何巻になっても面白みが色あせない・・・。どの話も面白かったですが、個人的には一番最後の「罪ほろぼし」がきた。何だかほんわかして読後感が非常に良かった。
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「浮寝鳥」「十番斬り」などの短編を収めた本巻は切ない話が多かった。「逃げる人」では大治郎が小平衛に判断を強いられる修行の姿が印象深い。「罪ほろぼし」の永井源太郎の潔くもさばさばした態度に好感を覚え、結びの妻を娶ったことを小平衛に報告に来た様を読むと、ついホロリとしてしまった。
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読書をしていない訳ではなかったのですが…どうも気が乗らず途中で手が停まる
そんな一ヶ月を打破したのは懐かしきシリーズ作品でした
(多分、昔、この巻で力尽きてる ※シリーズ12巻目)
実家で黄ばんだ単行本と化してヒッソリ佇んでいたところ発見し、改めて読んでみました
やっぱり面白い
数ヶ所で現代の作家視点となって作者が述懐する行があるが、今読むと、この手法も却って新鮮ですね
秋山親子だけではなく、繋がりを考えさせる巻でした
池波正太郎先生、やっぱ偉大だわ~
いや~、この感想とも言えぬこの駄文こそが、私らしくて我ながら和む
こんな日々を続けたいね