こんな山バカがいれば、最高です。
2010/03/14 12:44
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:書痴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初は、評判になっている漫画で、題材としても珍しい?山岳救助の話、そんな印象で読み始めたのですが、巻数を重ねてゆくごとに、その魅力にどっぷりはまってしまいました。
何といっても、主人公の三歩が最高にカッコいいのです。山岳救助のボランティアをしている彼こそ、まさに山男の理想、憧れだと思います。恋人未満?友達のクミ嬢いわく、「じゃがいも」みたいな顔で、決してイケメンにあらず。でも、すごくいい表情を、読者に見せてくれます。特に三歩の笑顔、目をつぶって二カッと歯を見せながら笑った表情に、癒されます。作者は、その辺を実に味わい深く効果的に描いてくれます。またシリアスな表情も良いのです。豪放磊落、こんなヤツが友人や同僚にいたらいいなと思わせる人間です。
救助にやって来た三歩たちに、山岳遭難者が、まず必ずといっていいくらい口にするセリフがあります。「すいませんでした」で、「助かった」とか「ありがとう」という安堵や感謝よりも、謝罪が最初に口から出てしまうのは、日本人の国民性か自己責任からでしょうか?自分を責め続ける遭難者に対して、三歩のセリフが、「よくがんばった」です。現実の山岳救助の場面でもこんなやりとりがされているのかもしれませんが、この一言は、身体的な限界だけでなく、遭難者の呵責や精神的な苦しみを救う、魔法の言葉だと思えました。
さて、前置きが長くなりましたが、本書6巻にも様々なドラマがあります。9編どれも味わい深く、とりわけ印象に残ったのは、『半分成人式』と『ルート(前後編)』です。
『半分成人式』では、レギュラーキャラの小学生ナオタと三歩の交流が描かれます。大人になったら何なる?みたいな、ほのぼのとした会話の後、父親の遭難死がトラウマになっているナオタ少年は、三歩が、救助現場で受けた血だらけの身体を川で洗い流しているのを見て、「兄ちゃん…この血の人どうなったの?」と質問します。「…ナオタ、即死…って分かるか?」「事故にあってすぐに死んでしまうのを『即死』って言うんだ」、今さっきあった死に対して、ありのまま話します。ナオタは、父親と同様、自分の大好きな人がいつか同じ運命を迎えるかもしれないと不安に駆られます。「兄ちゃん(三歩)は…山でソクシしない?」三歩は「死なないよ!!山でもどこでもオレは死ぬまで死なないよ!!」と、まぶしい笑顔で返答します。死の概念を、子供に説明する難しさを、こんな風に表現してしまう作者の力量には脱帽します。
『ルート(前後編)』は、三歩の高校時代、山岳部の恩師をめぐるお話です。家業を継ぐか海外での登山をめざすかで悩む三歩に、先生のセリフ「なあ、島崎(三歩)…オレは死ぬぞ」「オレだけじゃない。全ての人の最終到達点は死…」「島崎、お前もだ」「そこまでのルートはお前にしか決められん。そう思わんか?」。その恩師が、山で遭難。同時に二ヶ所の遭難現場発生、恩師の救助でなく、今いる場所で救助活動を続ける三歩に対し、クミが、なぜ恩師の救助に向かわないかと問いただす。三歩は、山岳部の3つのモットーを引き合いに出して答えます。「困難は自分一人でのりこえる」「誰かの困難は、自分一人でも全力で助ける」「山では笑う」。一つ目のモットーは、恩師を信頼し、二つ目のモットーは、恩師の救助にあたる別働隊に信頼を寄せる三歩がいます。最後は言わずもがな、師弟の絆と理想の山男像が見事に描かれています。
という具合に、6巻は、三歩を三歩たらしめている行動原理の源泉に行き当たる内容にもなっているかと思えます。
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投稿者:路傍の石 - この投稿者のレビュー一覧を見る
山荘の名物女将通称おばちゃんや山で父を亡くしたナオタ、三歩の山岳部の恩師稲葉などバラエティに富んだ人物のラインナップで構成されている。山を主軸に繋がれた人と人との信頼と絆の在り方に心があたたかくなる。
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ダ・ヴィンチ2007年4月号
「今月のプラチナ本」。
2008年1月31日(木)読了。
2008−6。
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日本アルプスで山岳救助ボランティアをしている「三歩」くんが山で遭難した人たちを救助する「岳」の6巻。
これを読むと山に行くのが怖いけどやっぱり行きたくなっちゃう本です。
山はいいですね〜
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本屋に行ったら6巻出てて当たり前だけど即購入。
待ち合わせ時間とかで横浜のルミネの前で普通に読んでいた私。
リクルートスーツで。
しかも目にはちょっと涙。
いい!!!!
きっとね、山に登る人はとある想いがあって登るんだと思う。
その想いは何でも良くて、その想いをアクションに落としたところで「登山」が出てくるって感じ?
ナオタくんと三歩の久々の再会シーンなんてもうやばい。
全力で薦めたい漫画。
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“一歩”の生き方、うらやましい!!
ますます面白い!!
山岳救助に関わっている方は、ハマルのでは?
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自分のために山岳救助隊やヘリコプターが飛んだら大事になってすまない気持ちで一杯になるのはよくわかるなぁ。迷惑をかけたくないから登らないんですよ、と登山をしない言い訳にしてみる。
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突然(6巻だけ・・・)借りることになって読んでみた。けっこう人気があるとのことで、内容もおもしろかった。自然は美しい反面、人間には太刀打ちできない恐さを持っていると感じた。
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初めて手にした「岳 7」に追い付いた。僕の勝手な指針だが、其のコミックが売れているか否かを判断するには、古本屋を見る、というのがある。古本が売れて、またもやすぐに補充されている場合、此のコミックは売れていると。残念ながら、そうなると買取り価格は低くなるんだが。此の巻で、良かった言葉は謝る要救者に対して、三歩が「此処に居る全員(注:山岳救助隊員)、登山者の無事だけを祈ってる。ケガ人や亡くなった人を見たいと思うヤツは一人もいない。」「○さんは全員の期待に応えてくれたじゃんかぁ?」と云うシーン。其の通りだな、救助隊の指示に応えて、じっとしていたというコトに対して◎。
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富士山って1合目から登るものではないですよね?
三歩は登ってしまいます。
すごいの一言です!!
第6巻は牧さんの環境に変化が訪れます・・・。
プロって感じのクールな方が今後どんな動きをするのか注目しています。
また救助を待つパターンもたくさんあるのだとこの巻で感じました。
ケガをして動けない。
一人で。
二人で。
経験者のケガ。
そして元気でも遭難。
助けたい人がいて、それに答えるために生き続けるって大切なのですね!
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無理やりサポート役として同行してきた三歩とともに、富士山へ登りにやって来た「谷村山荘」のおばちゃん。だが一合目から登るという三歩と早速別れ、バスで五合目へ到着したおばちゃんは、途中にある休憩所で息を切らす女性に声をかけられ、一緒に登山することになるが…(Amazon紹介より)
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久しぶりに読んだ。確か5巻くらいまでは読んでたはず。基本的に短編モノだから、途中の巻から読んでも全然問題なし。で、たまに読むと良いですね~。立て続けに読んだせいで、前のときは5巻くらいで飽きてしまったけど、間をおいて読み続けたら、きっと最後まで楽しめそう。という訳で、これからもふとした機会に、思いついたら読み進める、みたいな感じでいこー。
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いや〜、ナイスウェザーだね‼︎ 富士山は一合目から登んのが好きなの 遠くで見た時ずっと綺麗になるんだよ‼︎頂上まで登った山は‼︎ 胸つき八丁 昴エアー牧だ 半分成人式 死ぬまで死なない人になりたい 山頂をプレゼント 返品不可 北アルプススペシャル山菜蕎麦 荷上げのみに縮小 長男のホタカ 人使いならヒマラヤ級 全ての人の最終到達点は死…そこまでのルートはお前にしか決められん。そう思わんか? ビーコン 徳沢基地に待機 大滝山遭難 新島々からバスで上高地というのが通常の行き方 良く頑張った‼︎
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クールな牧の魅力がたっぷりの巻。三歩が高校の時の山岳部顧問の先生もカッコイイ。
▼第0話/日本一の山▼第1話/半分成人式▼第2話/旅立ち▼第3話/運勢▼第4話/信念▼第5話/僕にとっての山▼第6話/ルート(前編)▼第7話/ルート(後編)▼第8話/山男
●主な登場人物/島崎三歩(海外の山々を登り、故郷に戻り民間の救助ボランティアをしている)、野田正人(長野県警の警察官。山岳救助隊チーフで、三歩の幼なじみ)、椎名久美(野田の部下で山は初心者。今ひとつ山を好きになれずにいる)、ザック(三歩のアメリカ時代の山岳救助チームメート)
●あらすじ/無理やりサポート役として同行してきた三歩とともに、富士山へ登りにやって来た「谷村山荘」のおばちゃん。だが一合目から登るという三歩と早速別れ、バスで五合目へ到着したおばちゃんは、途中にある休憩所で息を切らす女性に声をかけられ、一緒に登山することになるが…(第0話)。
●本巻の特徴/山で父を亡くした少年・ナオタが将来の夢を語る「半分成人式」。結婚式を控えた娘とその父親が、山行中に鉄砲水に見舞われてしまう「旅立ち」など、全9話を収録!!
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心は
あちらに行きたいという思いがあるなかで
あちらはあちらで
プロの人たちが頑張っていることを信じて
今の目の前に
注力して
できることに全力を尽くすのだから
約束をしたわけではなく
自分が決めたことを守るために