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紙の本
ブッシュ政権って、ほんとに滅茶苦茶でサイテーの政権だったんだな
2009/01/24 18:42
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
イラク戦争はじめ、二期8年にわたって愚策を垂れ流してきたブッシュ政権の滅茶苦茶ぶりをメインに、現在のアメリカが抱える深刻なトラブルの現実、その裏舞台を、痛烈なコメントで暴露し、ぶちまけたコラム集。コラム執筆当時、アメリカのカリフォルニア州オークランドに家族と暮らしていた(現在は、同じカリフォルニア州のバークレー在住とのこと)著者が、現在のアメリカのしょうもない破たんぶり、かつての世界の大国の凋落ぶりを、「宗教」「戦争」「経済」「政治」「メディア」のそれぞれのフィールドから紹介していくのですね。
序章に、<アメリカ人の時事問題への無知の原因には、右派メディアの暴走や、教育の崩壊などいろいろな理由があるが、とにかく、ニュースを知らない人たち、外国に興味のない人たちによって大統領が決定され、その大統領が無茶な戦争を起こし、デタラメな政策で経済メルトダウンを起こして日本や世界を巻き込んでいるわけで、この不条理には、もはや笑うしかない>とありましたが、あちこちで紹介されているブッシュ大統領(当時)と彼を支える政治家、サポーター、キリスト教原理主義者や右翼メディアの傍若無人なこと、言ってることとやってることがまるっきり逆の偽善者ぶりには、おぞましさを覚えました。
第一章「暴走する宗教」から第五章「ウソだらけのメディア」までは、アメリカの恥部、暗部をさらけ出したスキャンダラスで、「うげっ・・・・・・」と絶句するコラムの数々。おしまいの第六章「アメリカを救うのは誰か」のみ、ブッシュ政権後のアメリカへの期待を感じるコラムでしたね。
なかでも、2007年7月23日に行われた民主党・大統領候補たちの公開ディベートの模様を活写した、「奴隷制度の賠償してくれる人に投票するよ」と題したコラムがよかった。一服の清涼剤を飲んだ気分というか、「こういう公開討論会ができるってところは、アメリカのいい面だね」と思ったから。
紙の本
日本人の半分はここに書かれているアメリカのことを知らない
2008/11/08 08:43
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
「底抜け合衆国―アメリカが最もバカだった4年間」や「USAカニバケツ」などの著作で、アメリカ社会の今を舌鋒鋭く斬ってみせることで知られる著者の最新コラム集。今回もたっぷり勉強させてもらいました。
まずは、著者お得意の最新映画を通じた社会論が読ませます。
今回の著作では主にドキュメンタリー映画をいくつもとりあげています。「ウォルマート/激安の代償」、「キング・コーン」、「誰が電気自動車を殺したか?」といった作品は初めて耳にするものばかりでした。それぞれアメリカにおける、最低賃金制度、トウモロコシ農業の政府補助金、そして自動車産業のいい加減さを告発した映画ということですが、著者の解説を読んで、ぜひ見てみたいという強い気持ちが沸き起こります。
ブッシュ大統領のイラク政策をはじめとするデタラメさ加減は、そのきわまりぶりを読むにつけ、なんだか笑いがこみ上げてきます。もちろん日本もイラク戦争には加担したわけですから他人事ではなく、冷静に考えれば底冷えがしてくる思いがします。そしてあんな男を大統領に選んでしまうアメリカ国民というものを考えると、暗澹たる気分にとらわれます。
その一方で、アメリカ人の批判精神はやはりすごいと思わせる話もいくつか登場します。
極右的ともいえるテレビ局FOXで放送されているにもかかわらず、人気アニメ「シンプソンズ」はその当のFOXを徹底批判するエピソードを放送したことがあるとか。またホワイトハウスの晩餐会に招かれたコメディアン、スティーブン・コルベアは、その席でブッシュと御用メディアとを痛烈に批判したとか。それぞれ、日本ではきっと起こりえないお話なのだろうなと感心させられるのです。
よくもわるくも、日本人が知らない今のアメリカを知る、そしてそんなアメリカを知らない日本人の自分を知る、そのための役割を担う良書だと感じます。
紙の本
笑うに笑えない惨状をあえて笑い飛ばしてやれ!
2008/11/30 20:51
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:峰形 五介 - この投稿者のレビュー一覧を見る
クリス・ロックのギャグでいちばん強烈だったのを紹介
しよう。
「黒人はマイノリティだから黒人大統領が生まれないの
はしょうがない。でも、黒人が副大統領に指名されない
理由は何だか知ってるかい? すぐに大統領が暗殺され
ちゃうからだよ。オレはやるよ。たとえ死刑になったっ
て、黒人を大統領にした歴史的英雄になれるからな!」
町山智浩『アメリカ横断TVガイド』より
本書『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』の第六章のテーマは今年の大統領選なのだが、そこにもクリス・ロックの名前が出てくる。彼が製作と監督と脚本と主演を務めたコメディ映画『ヒップホップ・プレジデント』が紹介されているのだ。米国初の黒人大統領候補を主人公にしたこの映画が作られたのは今から五年ほど前。劇中に「次に黒人が候補になれるのは、あと50年先だ!」という台詞が出てくるそうだが、五年前の時点ではその言葉を大袈裟だと思う者はいなかっただろう。allcinema ONLINEにも「黒人大統領かぁ、夢のまた夢だよね」というコメントが投稿されている。
ところが、その「夢のまた夢」が現実になった。たった五年で。恐るべし、アメリカ。本当のアメリカン・ドリームとは個人の上昇神話ではなく、このような歴史的快挙のことなのかもしれない。
本書が取り扱っているのは大統領選だけではない。第一章では宗教、第二章は戦争、第三章は経済、第四章は政治、第五章はメディアがテーマとなっている。
もちろん、各々のテーマには「現在のアメリカの」という枕詞がつく。いや、「現在のアメリカのバカげた」という枕詞のほうがいいかもしれない。バカげた宗教、バカげた戦争、バカげた経済、バカげた政治、バカげたメディア……どれもこれも洒落にならないくらいバカげているので、笑ったり呆れたりするより先に恐怖を覚えてしまう。特に第一章で紹介されているキリスト教原理主義者たちの愚行や蛮行はひどい(まあ、日本でも妙なカルトが幅をきかせていたり、細木カバ子やエロ原啓之みたいなペテン師どもがテレビに堂々と出ていたりするので、他国のことをとやかく言えないんだけどね)。
それでも読み終えた後に憂鬱な気分にならないのは、幾許かの希望を本書から感じ取ることができるからだ。町山がアメリカという国に抱いているあろう希望を……。
あ、そうそう。希望だけでなく、ユーモアも忘れられてはいない。思わず声を出して笑ってしまった箇所もある。たとえば、なんでもかんでもゲイ扱いして敵視する福音主義者ジェリー・フォルウェルに対する町山のツッコミ。
「何を見てもゲイに見えるって、おまえはやおいの腐女子か?」