したたかな巨匠の筆が描き出す魅力的な人物群が今後への期待を高める
2011/06/06 13:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『真田太平記』とはまた、なんともぜいたくな題だ。
真田といえば、講談でも有名な「真田十勇士」の真田家。知略の人として、遠く『三国志』の諸葛孔明や、日本では楠木正成と並び称せられる真田幸村の真田家である。『太平記』は、その楠木正成が悲運の忠臣として活躍する軍記ものの傑作で、吉川英治の『私本太平記』はじめいろいろ小説になっている。
期待はいやがうえにも高まる。
巨匠池波正太郎の代表作として、『剣客商売』などと人気を分かち合うこの長大なシリーズは、戦国武将としての真田家の生き様を描いたものである。始まりの段階では幸村の父である真田昌幸が主役だが、やがて幸村の華々しい戦いとその最期、さらには、深謀として徳川に付いた幸村の兄信幸による、真田家生き残りへの渋い戦いぶりまでが描かれることになるだろう。
この第1巻では、真田の主君に当たる武田家の滅亡、そして真田家としてどう生きるかを模索する昌幸らの姿、さらにそうした彼らの運命を大きく変えることになる本能寺の変までが描かれている。戦国の世の歴史の動向という大局の展開と、真田がどう生き残るかという、より絞られた、かつ切実な焦点とが、いわば二重の視点で読めるのが面白い。
いや、二重の視点をいうならもうひとつ。真田といえば、最も有名な「猿飛び佐助」を初めとする真田忍者が当然重要なわけで、物語は、歴史の表舞台に立つ武将立ちの動きと、その裏で働く草の者(=忍び)たちの活躍を描く二重構造にもなっているのだ。これがまた面白い。
その辺の展開は、さすがに巨匠の筆は自在である。たとえば鈴木英治や長谷川卓の、いわばまっすぐな時代小説を読んだ後では、池波正太郎はいかにも悪人だ。悪人でいいすぎなら曲者か。もちろん文字通りに意味でいうのではない。世の中の酸いも甘いもかみ分けた、海千山千のしたたかな作家。その上で子供のような茶目っ気もあり、遊び心に満ちて魅力タップリの食えない男。そうしたイメージはけっこうそのまま真田昌幸に重なっていくようで、それもまた楽しいのだが、そうした作家が描き出す人間像が面白くないはずがない。
何も起こらないようでもこの巻が十分に魅力的な所以だろう。今後への期待が膨らむのである。多少冗長なところはあって、それは『剣客商売』などにも通じたこの作家の特徴だろうと思われる。しかし欠点といえば欠点にも見えるそうした点も、トータルにこの作家の個性と付き合う魅力と思えば不満もない。次が楽しみだ。
読みやすい本です
2015/02/22 17:24
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:えり - この投稿者のレビュー一覧を見る
別所に旅行した際に、真田家の歴史を何も知らなかったことを後悔したため、読み始めました。全12巻と長編ではありますが、読みやすい本ですので長さはさほど感じません。電子書籍のアプリとも相性が良いのか、前回読んでいたところから読み始められるので、使いやすいです。大河ドラマも始まるため、色んなことを想像しながら予習するのに役立てるのも良いかと思います。
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武田の家臣、真田家の、武田滅亡後の生き残りを賭けた壮大な物語。武田滅亡後、小豪族の真田は誰に味方するのか、策士真田幸隆は徳川に一歩も引かず立ち向かう、戦国時代の傍流ながら、強烈な存在感を見せた真田家の生き様を描いた傑作(1〜12
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最初に読んだのは10年くらい前です。信之・幸村兄弟や真田忍者を軸にして展開していく人間模様にハラハラドキドキで、一気に読み切りました。その後、何度か読み返していると、歴史活劇の裏に信濃の久遠の大地が浮かび上がってくるという、人間群像を超えた視点の大河小説。
冒頭と結末、自然と人間、武将と兵士、父と子、兄と弟、権力の頂点と底辺。すべての対比が素晴らしい、池波 正太郎の最高傑作。これを読まずして時代小説は絶対に語れない。
織田信長の武田攻めからはじまって徳川家光まで描かれているため、歴史初心者はこの一冊(12巻ありますが♪)で戦国史の流れが分かります。
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大阪の陣で石田側、徳川側に分かれ真田家を守る
奇策を演じる信州の真田十勇士。
年をとらない女忍者、おこうと
山の温泉で出くわす幸村
毒をもる為に茶人に化ける忍者
父親の遺言で忍であることを知る忍者。豊臣家と徳川家の争い。
真田家の為に忍者が、御家の誇りと生き残りの為に幸村の命を受け動く。奇策も時代の流れには逆らえず、命を落としてゆく。全12巻
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真田幸村、信之、昌幸の生き様。
関ヶ原で昌幸、幸村と信之が敵同士に。大阪夏の陣で「日の本一の兵」と謳われた幸村の最期。そして残された信之・・・。
全12巻ですが、あっという間に読めてしまいます!
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初めて読んだ池波作品。本当に世の中にはすらすら読ませて熱くさせる小説がわんさかあふれている。池波先生の作品もその一つ。会話の運びが独特で文章に個性があふれている。
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鬼平犯科帳などで有名な池波正太郎が描く真田昌幸・真田信之・真田幸村達真田一族の盛衰を圧倒的な迫力で描く大長編物語です。
この本を読めば真田幸隆の登場から上田の陣での昌幸達親子の活躍、大坂の陣での幸村の討ち死にそして信之の徳川時代の活躍と日本史でも燦然と輝く戦国真田一族の活躍が丸ごと楽しめます。
全12巻と大長編なのですが、説明より登場人物達の会話で物語が進んでいくので読書のリズムが切られることなくどんどん読み進んでいけますし、変に物語をはしょったりしていないので途中で話が分からなくなることもないです。
物語の中では真田忍軍の成り立ちや拠点とした城の役割、状況の変化により何故真田家が表裏比興の者とまで言われても使える相手を変え、家を存続させたのかがよくわかり、真田家に関する教科書にもなる内容ですので真田家に興味がある方は是非お読みください。
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全12巻。
草の者の活躍にびっくり。中には不老かと思うような人も・・・。幸村だけじゃなく、信之も好きになった。
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真田の忍びの活躍が壮絶でそれでいて人というものを生々しく描き出している作品。
颯爽と往く真田幸村の姿はかっこよすぎる!!
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天正10年(1582年)3月、織田・徳川連合軍によって戦国随一の精強さを誇った武田軍団が滅ぼされ、宿将真田昌幸は上・信二州に孤立、試練の時を迎えたところからこの長い物語は始まる。武勇と知謀に長けた昌幸は、天下の帰趨を探るべく手飼いの真田忍びたちを四方に飛ばせ、新しい時代の主・織田信長にいったんは臣従するのだが、その夏、またも驚天動地の事態が待ちうけていた。
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池波正太郎の真田作品!!昌幸
の知略縦横な様がカッコ良いです!!そして嫁に頭が上がらない所も…(笑)。いきいきした忍びの動きも楽しい〜。
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天正10年(1582年)3月、織田・徳川連合軍によって戦国随一の精強さを誇った武田軍団が滅ぼされ、宿将真田昌幸は上・信二州に孤立、試練の時を迎えたところからこの長い物語は始まる。武勇と知謀に長けた昌幸は、天下の帰趨を探るべく手飼いの真田忍びたちを四方に飛ばせ、新しい時代の主・織田信長にいったんは臣従するのだが、その夏、またも驚天動地の事態が待ちうけていた。
【感想】
http://blog.livedoor.jp/nahomaru/archives/50711227.html
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織田信長によって落城寸前の武田家・高遠城に篭る一人の若い足軽から物語は始まる。
壮大な真田太平記の第一幕に相応しい良作である。
著者が得意とした芝居のように、スピーディに進む展開は圧巻の一言。
ぜひ読んで、400年前の信州を感じてほしいと思う。
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時は戦国、武田家は存亡の危機に立っていた。
足軽・向井佐平次は武田軍の1人として初陣に立とうとしていたが、そこで正体不明の女に声をかけられる。
あらすじを超簡略化して書いてしまいましたが(汗)。
全12巻小説の1巻目だけあってか、何というか、『主要人物はこの人たちなんだな』と思うぐらいの気持ちで読みました。
池波正太郎は『……』癖が多くて、私はちょっと読むリズムが狂ったりもしましたが、読んでるうちに大分慣れました。結構淡々と進んでいて、『夢中で最後まで読んでしまう』という類の小説ではないんじゃないでしょうか。長い気持ちで読んでいきます。