タイトルに犯人のヒントが
2022/01/12 07:29
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1956年に発表された、「ポアロもの」と呼ばれる長編小説では後期に属する作品である。
エルキュール・ポアロが初登場した『スタイルズ荘の怪事件』が1920年の発表だから、すでに長い間ポアロを書いてきている。
原題が「Dead Man‘sFolly」で、「Folly」に「愚か」という意味があるから日本語のタイトルも大きくは違わない。
最初このタイトルの意味がよくわからなかった。
読み終わって(すなわち殺人事件の犯人がわかった後)、このタイトルの意味がよくわかった。なんと、このタイトルには犯人解明のヒントが入っているのだ。
これから読み人は、そういう点を忘れずに読むと、もしかしたら犯人に行き着くかもしれない。
事件の発端はポアロのもとに旧知の推理作家オリヴァから自分の作ったイベント向けの犯人探しゲームがしっくりしないという援けを求める連絡が届く。
ポアロはさっそくその現場となる田舎の大邸宅に出かけるのだが、出てくる人物たちはそんなに怪しいということではない。
しかし、ゲームの最中に参加していた少女が殺されてしまう。
誰が、いつ、何故、少女を殺害したのか?
犯人探しのミステリーも面白いが、推理作家のオリヴァのキャラクターも興味をひく。
「作家が人から、自分の仕事にあれこれとくちばしをいれられるなんて、とても我慢できない」、これはオリヴァの言葉だが、作者であるアガサ・クリスティーのぼやきのようにも聞こえる。
そういう箇所が何か所もあって、そういう読み方も楽しめる作品に仕上がっている。
途中で投げ出さないでよかった
2012/03/09 15:32
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投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る
引き続きクリスティ。これはよかった。久々に「おぉ」と唸りました。こういうのが読みたかったんです。
まあ、ツッコミ所も多々ありますが。
●後期ポアロシリーズの秀作
大邸宅「ナス屋敷」の園遊会で開催された犯人探しゲーム。ゲストとして招かれたポアロと、ゲームのシナリオを書いた女流作家のオリヴァは、2人で死体役の少女を陣中見舞いに伺いました。ところが少女は本当に死体と化していたのです。その後、主催者であるスタップス卿の夫人も行方不明に・・・。驚愕のプロットが冴え渡る、後期ポアロシリーズの秀作。
作中に出てくる「阿房宮」。秦の始皇帝が建てた宮殿のことですよね。たしか阿呆の語源って説もあるとか。原題の「Dead Man's Folly」のFollyに引っ掛けてるのかな? と思いながら読んでいました。ちゃんと結末で回答が書かれていたのですね、なるほど。
●クリスティらしい王道パターン
全体的に地味な印象です。登場人物も無駄に多い。途中で何度もダルくなりました。ですが、解決編で一気に目が覚めました。愛憎渦巻く人間関係と、ひねりの効いたどんでん返し。クリスティらしい王道パターン、そして僕好みのトリックです。
スタップス夫人の設定に少々無理がある。というか、かなり荒っぽいですけどね。2つの殺人の動機が弱いのも気になりました。
真相と展開のバランスがちょっとちぐはく。読者に推理の条件を提示してくれないところは相変わらずですね。ポアロが解決に至る過程が唐突で、狐に摘まれたような感。女史の作品を読みなれた読者なら、おそらくカンで辿り付くのでしょうが。
●弾ける女流作家のオリヴァ夫人
ポアロも影が薄いです。年をとったせいでしょうか。全盛期の尊大さや精悍さがないですね。その反面、シリーズ後期の相棒であるオリヴァ夫人が弾けてます。常識人のヘイスティングスとは真逆の存在感。おそらく作者の投影でしょう。いいですね、こういう変人キャラ大好きです。
なんだかんだ言っても、トリックがいいと細かいことは帳消しになります。これが本格ミステリの醍醐味ですね。途中で投げ出さないでよかった。
やっとエンジンが掛ってきました。海外古典、次も行きます。
※「です・ます調」レビュー100本ノック。21本目。
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不調期ポアロ。女流作家のオリヴァ・アリアドニからの突然の呼び出しによって田舎の美しい館に呼ばれたポアロ。オリヴァの殺人ゲームのシナリオどおりに起きた殺人と、館の主の美しい頭の弱い妻の行方不明が起こるが、ポアロはまったく、謎が解けない…
うーん、ポアロは幾つなんだろう。この話ではわりと老いているけど、ヘイスティングと何十年も会ってないってことは時間軸的には『ビッグ4』の前だよな。ビッグ4ではアクション系に活躍するポアロなのに、うーん……
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今回も気持ちよ〜くダマされた。全然意外でない、意外な犯人といったところ。でもこれは『書斎の死体』と似たパターンで、現代の警察の捜査技術(っつっても、私だってドラマでしか知らないが)に置き換えたら無理な犯罪だわなぁ。タイトルが秀逸。(2008-12-12L)
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作家のオリヴァは犯人当てゲームのシナリオを書いた。しかし何か不吉な予感がして、ポアロを呼び寄せる。
はたして、本当に死体役の少女が殺されてしまった・・・
とてもクリスティーらしい話。
アリアドニ・オリヴァ夫人もいつも通りエキセントリック、嬉しいです
あまりポアロが活躍していない(というのは語弊があるが)が残念。
ポアロは夫婦のいざこざをまとめるのが上手い気がしますね
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アリアドニ・オリヴァものと考えれば探偵はヒロインかな。
田舎の屋敷で催された犯人捜しゲーム。
作家のオリヴァがシナリオを書いたのだが、筋書に沿った事件が起きてしまい…?
ポワロが乗り出します。
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エルキュール・ポアロ・シリーズ
ある祭りで行われる推理ゲームの解答の為に招かれたポアロ。屋敷のそばのユース・ホステル。屋敷の主人と元主人の関係。ゲームの最中に殺害された少女。そして消えた主人の妻。捜査中ポアロに証言した老人の死。
2010年1月29日購入
2010年2月14日読了
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ポアロもの。田舎の郷士の開いた祭りの最中、ゲームの被害者役の少女の死亡が発見される。同時に郷士の妻も行方不明。ポアロは祭りの開催メンバーと話をし、アリバイ崩しをする。オリヴァ夫人がいるので、全体に明るくひょうきんな印象。
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長編も短編も面白いというのは、本当にものすごいことなのだなとしみじみ…気持ちよく騙されました☆
ヘイスティングスに次ぐ?レギュラーの、女流作家オリヴァ夫人の希望で彼女の滞在先へやってきたポワロ氏の困惑ぶりが、気の毒やら可笑しいやら。
マーマレードにうんざりしつつ、仕方なくちょっぴりだけトーストに載せるシーンが何とも(笑)
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ブックオフ。少し読みづらいが、筋には直接関係ないポアロのセリフ回しがよい。ジグソーやりたくなってきた。
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ずばり、探偵小説作家が登場します。
ひらいたトランプが初出とのこと。
いろいろな方の小説に、小説家が登場します。
赤毛のアンや、若草物語のように、小説家になる少女の物語のように、
自叙伝とはいえないまでも自分の性格と物語の登場人物の性格が交錯するような話もあるような気がします。
残念ながら、アガサクリスティの性格を知らないので、登場人物の性格がアガサクリスティの性格とどのように交錯しているのかがわかっていません。
自叙伝風、伝記風の書籍を読んでから、また読み直すと、味わいが深いかもしれないと思っています。
この話を受けて、再度登場するのが、「ハロウィーン・パーティ」です。
今、ハロウィーンパーティを読んでいます。
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再読のはずなのに、全くしてやられました。
知名度低い、とのことですが登場人物たちの設定も舞台も面白い。
ストーリーについては、ヒントと時間をたくさん与えてもらえたなあという感じで、考えながら読むのには向いているのかも。
最終的にはややさっくりめに解決されます。あとやっぱり真相が少し突飛かな…
オリヴァ夫人は昔読んだときはお邪魔虫だと思っていたのですが(笑)今読むととても可愛いおばさまですね。
表紙写真に阿房宮があればもっとよかったのになあと。
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ポワロ作品
【ストーリー】
女流作家からの電話により、祭りの余興で推理ゲームが開かれることになった地方に赴いたポワロ。そこで、被害者役の少女がゲームの筋書き通りに殺され、祭りの主催者の夫人が失踪する。
【感想】
架空の事件が現実に起こってしまった、という一見ありがちな展開で始まる。しかし、いくつか謎が提示されるものの、事件の全体像はつかめず、読む方にとしてはモヤモヤさせられる。終盤になって、ポワロの推理力が発揮されるのだが、犯人は想定外の人物だった。読み直しても、犯人の手がかりは少ないので、会話の行間を読まないとわからないと思いました。
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ポワロシリーズ。ミステリー作家オリヴァー夫人のお願いで行った先での殺人事件。オリヴァー夫人のシナリオどおりお祭りが繰り広げられている間に、本当の殺人事件が起きる。複雑なストーリーである。ゆっくり時間をかけて読んだら★5だったかもしれない。
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ポアロの友人で推理小説家・オリヴァが企画した、とある田舎屋敷で催された犯人探しゲーム。
その中で被害者役の少女が本当に殺されてしまう。さらにその屋敷主の夫人が行方不明になってしまう。
オリヴァからイヤな予感がするから未然に防いでほしいと依頼され、滞在していたポアロだったが、悲劇を止めることは叶わなかった。
失意の中、ポアロは地道な捜査を開始する・・・。
珍しく犯行を未然に防ごうとするところから始まる本作。
しかし犯行は起こってしまい、そこから犯人を探し求める話が進んでいきます。
前半から中盤にかけては少々ダレたところもありましたが、終盤に犯人が特定されてからの展開は流石クリスティーと唸ってしまいました。
実は物語の前半から、真相に近付くための布石はいくつも散りばめられていた、ということに気づかされると正直、言葉を失ってしまいます(^^ゞ
面白み、という点では他の代表作に一歩譲ってしまうかな、とも思いますが、それでもアガサ・クリスティーの代表作の一つであることは間違いないと思いました。