紙の本
宇宙進出の時代が星新一をSFの宇宙へ運んだ。奇想天外なSFが魅力のショートショート集
2010/02/10 19:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
宇宙やSFを描いた作品が多く、フィクションの世界を思い切り楽しむことが出来る。
奇想天外な展開と鋭くキレのある結末は、今はやりの脳にも良さそうだ。
気に入った作品をピックアップ。
『宇宙通信』
地球から宇宙の彼方の知的生物に向けて発信しつづけた電波に反応があった。
幾度かの通信の後、ついに写真や書類を積んだ小型宇宙船が、希望を載せて相手の星に向かって飛び立った。
まったく予測できなかった結末に驚かされた。
思いもよらない通信相手を描く着眼点は、読者を爽快にさせる。
『桃源郷』
高性能小型カメラを積んだ無人探査機が、地球とほぼ同じ状態にあるらしいパル星に送り込まれた。
桃源郷を思い期待に胸を膨らます地球の人々に向けて、探査機から送信されたものは、荒廃した土地と放射能に苦しむ人だった。
意外な結末で楽しませてくれる作品。
この結末に触れたとき、思わずふふっと笑ってしまう。
『不満』
こんなくだらないことを、やらされるのが嫌でしようがなかった俺。
しかし、ついには狭い場所に押し込まれ、相手の冷酷な顔を睨み付けるのを無視され、宇宙へ飛び立たされてしまった。
読者の思い込みを利用したミスリードと、キレのある結末が魅力の作品。
『空の門』
優れた頭脳と運動神経を必要とした宇宙船の乗組員。
彼は子供の頃から宇宙船の乗組員を目指し、勉強と運動以外全てを犠牲にしていた。
残酷だが世の中にいくらでもありそうな無情な結末は、驚きと憮然を連れてくる。
『友好使節』
地球に高速宇宙船がやってくると、侵略だと絶望し抵抗が無駄だと悟った人々は、腰を低くして大歓迎することにした。
宇宙船から現れたのは、二本足で立つゲジゲジのようで気持ち悪かった。
本音と建前を使い分ける日本人を風刺したようでもある作品。
建前を言う人の本音が分かってしまったら……。
『愛の鍵』
言葉が鍵となり、鍵穴は小さな耳の形に変わっていた。秘密の言葉を耳に囁けば鍵は開く。
恋人と喧嘩した女性は、後悔と彼への素直な思いから部屋の鍵の言葉を変えた。
星新一の作品には珍しいラブストーリー。
長々と描かれた恋愛小説より、切れ味のある結末を迎えるこの作品の方がドラマチックだ。
『最高の作戦』
放浪性と好戦的性質で悪名高い宇宙人が現れた星では、大恐慌が起こった。
抵抗しても無駄だと考えた住民は、一人に一人ずつ付きっきりでごきげんをとることにした。
男女の力関係をモチーフにした作品のようだ。
現代ではこのようにして肉食男子が絶滅しつつあるのだろうか。
『しぶといやつ』
水もあり気候も良く月をひとつ持った緑の惑星を、牧場にしようと狙う宇宙人。
手始めに一匹捕まえて、その弱点を探ることにした。
たった一ページ半だが、ユーモア溢れる結末が最高。
紙の本
過去から仰ぎ見る42編
2016/04/11 10:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
平成25年6月10日発行の85刷には、岩本彩撮影の水風船が写っていて綺麗な装丁だ。ガガーリンが大気圏を突破した1961年に執筆した作品が多く、宇宙への憧れを感じた。
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「読書に縁のない小学生たちの食いつきがよかった本」。五冊目。
さすがに六年生ぐらいから、になりますが……ものによっては四年生からでもいけると思います。
今さら説明するまでもないという気もしますが、SF界のシェヘラザード(男性ですが)、生涯に1000編以上のショート・ショートを書かれた星新一さん。中でこの一冊をとりあげたのは、ショート・ショートというには少し長いけれど、個人的ベストだと思う「処刑」という作品が収録されているからです。
塾の授業でこれをとりあげた時には、読後の意見発表がものっそい盛り上がりを見せました。
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この短編集の中の”処刑”が忘れられなくて…主人公と共に歩んできた心の遍歴が読後随分たった今でも心の中に鮮やかです。
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昭和47年6月15日 発行
昭和52年6月30日 15刷
98B
カバー 真鍋博
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星新一大好きです!!
これは、タイトル通り結構SF色が強かったかな?
言葉が通じない宇宙人とのやりとりが面白い!!
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人類の未来に待ちぶせる悲喜劇を、卓抜な着想で描いたショートショート42編。現代メカニズムの清涼剤ともいうべき大人の寓話。
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星さんのショートショートはかなり読みましたが、手元にあるのはこれだけ。
「その祈りはかなえられたでしょう。なぜならキリストは、東の果て日本でも、やはり貧しく悩める者の救い主なのですから。」
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今作は新潮文庫『ボッコちゃん』を読まれた方も話が重複しない構成になっている。(その理由は本書あとがきにも記されている)
テイストの違った作品『小さな十字架』や、星氏には珍しい少し長めの作品『処刑』、『殉教』なども収録されている。
少し長めとは言っても個人的にはどれも長さを感じさせないものだった。
個人的には『思索販売業』、『霧の星で』、『見失った表情』、『テレビ・ショー』、『開拓者たち』、『処刑』などが面白かった。
ウィットの効いた奇想天外な作風が悲劇を皮肉の効いた笑いに換える。
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名前は前々知っていて気になってましたが
遂に手にとって読んでみました.
短い作品がいくつも収録されてますので
時間の合間合間で簡単に1つの作品が読めます.
「殉教」が好きかな.
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ショートショート42篇
デラックスな拳銃 雨 弱点 宇宙通信 桃源郷
証人 患者 たのしみ 天使考 不満
神々の作法 すばらしい天体 セキストラ 宇宙からの客 待機
西部に生きる男 空への門 思索販売業 霧の星で 水音
早春の土 友好使節 蛍 ずれ 愛の鍵
小さな十字架 見失った表情 悪をのろおう ごうまんな客 探検隊
最高の作戦 通信販売 テレビ・ショー 開拓者たち 復讐
最後の事業 しぶといやつ 処刑 食事前の授業 信用ある製品
廃墟 殉教
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星新一か山本周五郎か中里介山で卒論をすごく迷って、「星新一氏はリアルタイムな作家だし(そのときは存命されていた)」「大菩薩峠は未完だし」という理由で山本周五郎で卒論を書きました。結果的に就職時の面接のネタになったので良かったのですが、星新一氏の作品はそのくらいすきです。
この本の白眉は、やはり『処刑』!
火星に島流しされた死刑囚に唯一渡されたのは、水の供給を担う…しかしランダムタイミングで大爆発するという、生死両方を握る銀色の球体でした。この球のボタンを押さないと水が出ない、水を飲めないと乾き死ぬ、でもボタンを押し続けたら、いつか爆発する……その恐怖に囚人の心は壊されていくわけですが。。。
ラスト、私の視界も光に溶けました。涙で文字がぼやけたんです。ううっ。
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ショート・ショート集・
収録は
・デラックスな拳銃
・雨
・弱点
・宇宙通信
・桃源郷
・証人
・患者
・たのしみ
・天使考
・不満
・神々の作法
・すばらしい天体
・セキストラ
・宇宙からの客
・待機
・西部に生きる男
・空への門
・思索販売業
・霧の星で
・水音
・早春の土
・友好施設
・蛍
・ずれ
・愛の鍵
・小さな十字架
・見失った表情
・悪をのろおう
・ごうまんな客
・探検隊
・最高の作戦
・通信販売
・テレビ・ショー
・開拓者たち
・復讐
・最後の事業
・しぶといやつ
・処刑
・食事前の授業
・信用ある製品
・廃墟
・殉教
「処刑」と「殉教」は名作だと思う。
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地球に宇宙人がいっぱい降りてくる
色々な宇宙人がいて
敵意のあるものは友好的なもの
対処のしかたが奇抜でとても楽しい作品
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初期の作品集らしいけど。
また、違った雰囲気のSSで割と面白かったかなー。
『処刑』は人間の生臭い心裡を描いてある気がして、深かった。個人的に。