とんでもない代物である
2005/09/26 22:05
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投稿者:yu-I - この投稿者のレビュー一覧を見る
コアな本格ミステリファンの中では、アンチミステリの傑作として超有名な作品。
正直、誰が読んでも面白いという小説ではないと思う。
でも、ハマる人は本気でヤバイくらいハマる。
凄まじく異形の本格ミステリであると同時に、幾重にも重なり絡み合う論理の美しさを愛でる、ある意味では耽美小説ともいえる。
本格ミステリとは、悪い夢のような理論に溺れる幻想文学である、とこの小説を読むと思ってしまう。
そして、読者をも息苦しくさせるほど強く著者を縛る呪い。本格ミステリとは「業」だとか「スピリット」なのだとか言う人がいるが、これはまぎれもなく「呪縛」だ。
ミステリ史上に燦然と輝き続けるであろう、とんでもない代物なのである。
どちらも『現実』な2つの世界
2001/11/08 06:01
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投稿者:八尋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
推理小説マニアが自然に集まってできた『ファミリー』。そのメンバーであるナイルズが、メンバー全員が登場する実名推理小説を書くところから物語が始まる。
謎が解き明かされないまま次章へ、次章へと続いていくのだが、第2章では第1章こそがナイルズによって書かれた小説であり、第3章では第1〜2章こそが小説の中の出来事である……という、一風変わったストーリー展開。微妙に交わる2つの『現実』だが、どちらが本当の現実なのかは、最後まで読んでみないとわかりません。
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投稿者:クロデ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ドグラマグラ」的な入れ子構造、「黒死館殺人事件」的な衒学趣味、「虚無への供物」的な推理比べと皮肉。アンチミステリの三大奇書を経て生み出された、奇妙な推理小説だ。内容自体の面白さもさることながら、西尾維新や舞城王太郎などの現代の作家にも強い影響を与えたことも伺える内容で、ミステリ史的にとても重要な一作だと思われる。小説に振り回されたいときにおすすめ。
読むだけで頭が良くなる?!
2002/03/12 03:21
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投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る
さすがに4大ミステリの一角を占める作品! 難解でした(笑)。まさに正統な新本格と言うか…。これを読破したと言うだけで、頭が良くなったような気がします(気だけなのが、哀しい…)。
作品中で展開される話題は、高等数学、密教、黒魔術、心理学、物理学、化学など、もう縦横無尽、ものすごい情報量ですね。肝心なストーリーも、密室、暗号、連続殺人、お館と、もうお腹一杯と言う位の大サービス。ものすごく力技でひっぱっているので、いったいどうなるのか? と思っていたら(ラストで失速する作品が多いですし…)、これがものすごく美しい納得の行くラスト! さすがに名作と言われる作品は違いますね(ラストの展開はちょっと「そして二人だけになった/森博嗣」に似てるかも? あ、逆か(笑)?)。ただラストまで辿り着くには、体力と根気と時間がものすごくかかります(笑)。
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竹本健治は20代前半でこの作品を引っさげてデビューしたわけですが、これがデビュー作かと思うと凄いなあ、の一言に尽きます。
推理小説の要素だけでなく、様々な知識を詰め込んだ作品なので、その世界の中に入り込むまではとっつきにくさが否めないのですが(多少解説が冗長過ぎるかな、という箇所もありますし)、ただ、いざ物語に入り込んでしまうと二転、三転する展開にどきどきしてしまいます。
また、その物語構造も面白いと思います。
綾辻行人はこの作品はあえて「本格ミステリ」の名で呼びたい、と解説に書いてありますがわたしはやっぱりアンチ・ミステリの要素が強いなあと感じました。終章の感じが特にそう思わせるのです。
読後感は、『虚無への供物』を読み終わった後と似ている気がしました。『虚無への供物』からの系譜を引き継いでいるからこそ、読後感が似ているのかな、とも思います。『虚無への供物』を読んだ人にはぜひ併せて読んで欲しい作品です。
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奇数章と偶数章に別れ、前の章で起きた事件が次の章になると、実は作中作であったとなる。これを繰り返されると「じゃあ、一体現実はどちらなのか?」と頭が痛くなってくる。
おかしな話だ。自分が今読んでいるのは小説であって、全てが虚構に決まっているのに。それなのに現実と虚構を求め始める。こうなると、見事作者の術中に嵌っているわけで。密室談義、数学、物理学。衒学趣味に満ち溢れた作品が物語ることは、ひとつ。「じゃあ、そもそも自分がいる現実って何?」
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本格ミステリを書くというナイルズ、その宣言の通りに密室で死ぬその仲間である曳間。供養の変わりに推理合戦を開くのだが次の章ではこれが作中作(ナイルズの)であることが明かされる。ここでも事件(今度は密室からの消失)がおきて推理合戦が行われる。
しかし次の章に移るとこれが第一章の続きであり第二章が作中作であるということになってる。この繰り返しが最終章まで続き、結局どちらが現実でどちらが虚構なのかが明らかにされないまま物語は終わる。感想サイトを回ると「注意深く読まないとどちらが現実か分からなくなる」とか書いてあるところもあるけど、作中にはどちらが現実とはどこにも書いてないよね。ただ最終章が第一章と同じ空間らしいからそちらが現実で「あろう」というだけで。どちらの空間でも明かされる犯人は意外な人物。トリックも綺麗に決まってるしこれを良く出来た本格としてみることも出来る。また現実?のほうには更なるどんでん返しもあってかなり意表を突かれる。
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ミステリー界では何かと評判の高い作品である。アンチミステリーら先駆け?ともいえる作品だとは…思うが。
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めくるめく本格ミステリの世界。
2つのシチュエーションで物語は展開され、物語は混沌をきわめていく・・・。
数多くの新本格派作家が薦める本格テイストブック
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ベースは『虚無への供物』の猿真似。ラストで『ドグラ・マグラ』が顔を出す。欲張ってアレコレ詰め込むなら、有無を言わせないパワーとメリハリが必要だがこの作者には無理。垂れ流し状態の無意味な講釈。不快極まりない的外れの引用。そして、凝った割に個性も共感も見出せない多過ぎるキャラと、彼らの無責任で野暮ったい会話。慣れないモノを食べて全身にアレルギー症状が出たような感じ。強いて評価するなら、本作品のお陰で斜め読みが上達したことだろうか。「奇書」というより「忌書」
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『虚無への供物』の流れを組む作品なので、かなり雰囲気が似てます。
トリックや犯人探しに頭を使いながら読むよりも、ひたすら字だけを追って、
混沌とした世界観に身を任せるのをオススメする作品。
読み進めるにつれ、小説内の「現実」と「虚構」の区別が
曖昧になってくるのですが、登場人物達の不安と疑惑に引きずられて
いい感じに「匣の中の世界」に浸れます。
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話が進むにつれて、段段と深みに入っていくように感じられて、読んでて夢中になりました!双子が可愛かったです。
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長らくの間絶版状態で、一部のマニア以外には知られることのない"幻の名作"が、
装いも新たに復活。探偵小説のマニアたちが、密室殺人にまきこまれる…。
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<きっかけ>某ミステリー小説を読んでいて知った、戦後4大ミステリー小説のひとつ。「虚無への供物」を悪戦苦闘しながら読んで次にこれでもと買ったけどもいまだ読む予定がないのが…
い、いつか読むかも。。。
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長らくの間絶版状態で、一部のマニア以外には知られることのない"幻の名作"が、装いも新たに復活。探偵小説のマニアたちが、密室殺人にまきこまれる…。