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ハーバード大学で日本史を教える若い女性の先生。
異例の若さでハーバード大学の日本史教師になり、当初、学生の登録者が16人だったのを3年で251人もの学生が押し掛ける大人気クラスに。
ハーバード大学の
「ティーチングアワード」受賞
「ベスト・ドレッサー賞」受賞
「思い出に残る教授」選出
と大人気。
本書は、その先生のクラス『Lady Samurai(レディ・サムライ)』と『KYOTO(京都)』の概要を紹介、そして、先生がここに至るまでの話や授業に対する思いなどをハーバード大学の生活を含めて紹介されている。
ハーバード大学の学生という天才・秀才達の前での授業や生活について、いろいろな苦悩もあろうかとおもったが、常に活発な取り組みで、学生とともに先生自身も楽しんでおられる姿が活き活きと描かれていた。
歴史というものについてのイメージはなんとなく暗い地味な印象があったのだけども、新たな枠組みで、身近な歴史、自分と一体にある、タイムトラベル可能な歴史として講義されている様子。
あるところかrあ、その土地の歴史を俯瞰し、「印象派歴史学」として、ご自身の歴史研究を位置づけられている。
これがどのような影響を生むのか、今後も楽しみである。
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≪目次≫
まえがき
第1章 ハーバードの先生になるまで
第2章 ハーバード大学の日本史講義1 LADY SAMURAI
第3章 先生の通知表
第4章 ハーバード大学の日本史講義2 KYOTO
第5章 3年目の春
あとがき
≪内容≫
日本の高校を出て、カナダの大学で数学と生命科学で専攻し、何の間違えか、日本史の教授のアシスタントをしたことから、日本史を学ぶ羽目になり(まさに"破目")、それが幸いとなり、ハーバードのサマースクールに行って、そのまま日本史を教えることになった30代前半の女性のお話…。
って、元も子もない解説ですが、読んだ感想も何かそんな感じです。
「AERA」で、「こんな先生が日本史を教えていて、大丈夫か?」っていう記事が載っていた(本を読む前に、この記事を読んでしまった私…)が、「AERA」の東大本郷教授のコメントを、私も読後感想として残したいです。
教えてる内容は「ちょっと困る」けど、日本でもこうした教え方(学生を動かす、たとえば、当時の地図を基に自分で地図描く、ラジオ番組を作る、動画を作る、など。また、一緒に「盆踊り」を踊ったり、歌ったり)は参考になるし、最後に言っている「海外で日本史を魅力的に教えることで、外交官と同じ仕事をする」ってのは、なかなかチャーミングな一言でした。
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表紙折り返しの「若き歴史学者のアメリカ」とのフレーズに惹かれて購入。
藤原さんの『若き数学者のアメリカ』へのオマージュなんでしょうか、なんて。
著者の北川さんは、ハーバード大学にて「日本史」を教えている方です。
その講義は年を重ねることに人気を集め、今では200人を超える受講生がいるとのこと。
面白いのは、文系ではなく理系、それも数学畑出身の方との点でしょうか。
因習の強い日本ではなくアメリカだからこそできたのかもしれませんが、とても新鮮に思えました。
そんな北川さんが実際に受け持たれている講義は、次の2種類。
一つは、女性の視点から歴史を紐解いている「LADY SAMURAI」。
- サムライだらけの土壌に女性の話を植え込んで
全体像を書き換えようと挑戦した歴史研究家が未だいない
なかなか耳に痛いフレーズですが、この辺りは塩野七生さんの『ルネサンスの女たち』にも通じます。
講義の中でメインになるのは、豊臣秀吉の正室で、北政所ねね(ねい)。
- 当時の認識では夫婦どちらもが尊敬の対象になる存在
として、戦国時代に領国に対して夫婦で向かい合う共同の統治者、ペアルーラーとして、
決して「サムライ」のお飾りな存在だけではなかったとの見解を示しています。
もう一つは、京都の100年をアクティブ・ラーニングで体験させる「KYOTO」。
人格を持たない都市の歴史を題材に、学生が主体的に入り込んでいけるような構成としています。
- 私は出来事を説明する役割に過ぎず、私の解釈は踏み台にすぎません。
- 歴史事実を貪欲に学び、自分なりの解釈を持ち、そして自分の言葉で日本史を説明する
参加する学生は自分自身の言葉、感性で"京"の100年間(1542-1642)にアプローチしていきます。
そして、そんな風に得た知識と印象は、将来アメリカを背負っていく学生たちへの種蒔きにもなるとしています。
- 実際に外交に貢献しうるような歴史学の試みはほとんどありません
これまた耳に痛いフレーズですが、日本史(国史)にある種の外交官的役割を付加し、
歴史学の社会的有用性を見出しているのは、非常に興味深く感じました。
そして、どちらの講義にも共通しているのは、「大きな物語」を作ろうという試み。
- 日本のイデオロギーを目に見える形で作る事
- イデオロギーというと固い話に聞こえますが、ここでは
「日本とは何か、という質問に対してしっかりとした答えを構築すること」
歴史学の本流は、歴史的事実を整理するための手法に偏っていて、現実社会への還元の観点が薄く、
それ故に、"歴史学は諸学の基礎となるが、それ単体だけ何も成し得ない"との認識もあったりします。
- 「印象派歴史学」として自分の歴史研究を位置づける
そんな学会に、印象派歴史学という新しい風を吹き込んでいるのはとても、面白いです。
そして、自分の言葉で「日本とは何か」をエクスフォーメーションしてほしいとの課題が、
私自身の心の中にも重く根付きました、燦然たる輝きと共に。
- No proof needed; your possibilities are ∞.
証明などいらない。あなたの可能性は無限大。
ん、ちょっと前に観た映画「幸せの教室」とも被って、とても楽しく読めました。
そして勇気をもらいました、久方ぶりに学問へのアプローチを見つめなおそうと思います。
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想像していた内容と違って面白かった
大学にいったことがないので、ハーバードとの違いは、わからないけど楽しく授業ができるとかんじた
こうした工夫が、学校だけでなく会社もふくめた社会に必要なんだと思う
『将来に必要な歴史』に考えてみたいです(^∇^)
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新書なので、よくまとめられていて、さくさく読める本。
版元は新潮社なので、チャラチャラと日本人の対米コンプレックスを逆手にとることもなく、自己啓発書にすることもない。
若々しさにあふれていながらも、「日本とはなにか」「グローバル時代にあって日本のアイデンティティとは?一体何を私達は発信するべきなのか」といった課題にも触れている硬派なメッセージ・課題を綴っている。
ユニークな教授法を読むのも面白いし、教養科目としてなんとなく日本史の講義を履修しているアメリカ人学生に何を提供するかをとことん突き詰めている理性も尊敬しちゃう。
でも一番感銘をうけたのは、先生が学生を愛していること!ほんとうに学生のことを想っていて、温かい目を向けていて、自分が何をしてあげられるかを常に考え、燃えている。
自分より2つ年上なだけなのにとってもオトナ!
とってもエネルギッシュ!
とってもステキ!
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ハーバードで日本史教えてる日本人の先生のお話。
なんというか、『準備』の大切さを思い知らされる本。
すごい面白そうな授業だけど、
日本の大学でこの授業をやってもそんなに人集まらないんだろうなー。
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ハーバード大で活躍されている北川先生の姿が、本当に良く伝わってきますね。「Lady Samurai」に関する記述は、とても興味深い考察です。本日の、日本経済新聞の書評に取り上げられています。
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賛否両論あるようですが、私は彼女のようにダイナミックに学問にアプローチする姿勢に1票。
確かに専門家、この道うん十年のアカデミックな研究者からすれば、つっこみたくなるところはあるのかもしれませんが、いろいろなアプローチがあっていいのでは? 誰もが地味に正確に史実を研究するだけでは、退屈。
どういう姿勢で学問と向き合うべきか、の一つの物怖じしない提案として、とても潔く素晴らしいと思いました。
こういう取り組みをいちいちつぶしにかかっていたら、本当に、学問のための学問しか残らなくなっちゃうし、世界にどころか国内にさえ、何も発信できない学者の巣窟になっちゃうかもですよ!!
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テキストいっぱい読んで、ペーパーテストで評価してという古い学校の評価制度は、ITが発達した現代では役立たないという主張に賛成。
ビジネスの世界というか社会では、一人で何かを成し遂げるより、みんなと協同して何かを成し遂げる能力のある人が評価される。
参加型の授業、対話型の授業、音楽や運動も活用し、学生たちでプレゼンを企画したり、ラジオ番組を作ったり、映画を撮ったり。それをインターネットにあげて、成果を共有しあう。新しく、めいっぱいソーシャルメディア化している、ハーバードの人気日本史教室。
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コロンビアの数学マスターである著者がハーバードで日本史を教授?という異色の経歴に至るプロセスと実績を書き綴っている。
一言でいえば、学生の知的好奇心を掴むのが巧い!
ハーバードで不人気だった日本史を満員御礼の履修科目にしたのは、著者の研究を重ねて得た独自の視点に基づく知見はもちろん、その授業スタイルが大きい。
日本史のwhatを教えつつも、日本史がhowどのようにあなたの人生とリンクするか、それを巧みに考えさせる。
また、本書を通して読み取れるハーバード生の学生生活に、こんな学生時代を送ってみたかった!と一種の憧憬さえ感じてしまう。
相手にいかに興味を持ってもらえる授業を準備するか…この姿勢は教鞭をとる人、ビジネスマンに通じる。
のみならず、ぜひ向学心ある中高生に読んでもらい、海外で研鑽しようとする契機になるんじゃないかと思う。
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若くしてハーバード大学の日本史講座を担当して大成功しているという著者が、講座を受け持つまでの回顧と、授業の内容の紹介などからなっている。2004年にカナダの理系の学部を卒業してからの経緯が凄い。その時々の選択とそれを可能にしたアイデアと努力により、3年でプリンストン大の博士号を取得し、2009年の秋からハーバード大で「Lady Samurai」という講座を開設したという。日本の大学で、29歳の他大学出身者が講座を持つという例があるだろうか。先日読んだ「選択の科学」に選択の自由がアメリカンドリームの中心的価値と有ったが、このような例を見せられると納得できる。北川さんは、今後の抱負として、女性が登場しない日本史(半分史)の書き換え、俯瞰的な印象派歴史学の確立と日本の大きな物語を紡ぐこと等を挙げている。それぞれ大変なテーマだが、恐れを知らない彼女の推進力で、是非成功させて欲しい。
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超おもしろかった!
1980年生まれの若干32歳の日本人女性。
学生と見間違えられるほど若くてかわいい、ハーバードの超人気教授。
ものすごくイノベーティブでクリエイティブ。
既存の枠にとらわれない新しさ。
世界の超エリート校の学生を引きつける魅力の授業。
著者がものすごいパワフルなスーパー天才であることは間違いないと思うけれど、その発想力、実行力、熱い想いがあふれていて、本当に魅力的。
福岡県育ちで、カナダの大学で数学専攻してから、プリンストン大学で歴史で博士号をとった日本中世史と中世数学史の専門家。
超異色な経歴。
誰からも興味をもたれなかった「日本史」の授業が、どのようにしてハーバードを熱狂させる授業になったのか。
大学や授業に限らない話。クリエイティビティとイノベーションの実践のマインドセットという点からとても刺激を受けた。
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ちょっと前の日経の書評で取り上げられていたので、買って読んでみました。
タイトルはちょっと大げさ、というかサンデル先生の印象が強くなっちゃうんですよね。
でも、内容はただの授業紹介でもなければ、サクセスストーリーというわけでもなく、教育とは何か、何が大切なのか、という非常に興味深く読みました。
教育者、学者、関係なく、「どういうことを考えて、こういうことをしたのか」ということに焦点を置いて読むといいと思います。
実際、この著者の人はいわゆる「天才」が努力したタイプなので、通常の人は太刀打ちできないんですけど・・・
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アクティブラーニングの大切さ。従来の講義形式は時代遅れ。
実際に北川さんの講義を受けてみたいものです。
たぶん、講義形式の新しさだけでなく、話し方も相当上手な方なんだと思います。
しかし、超優秀ですね。この著者。
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ハーバード大学で日本史の授業があるというのも驚きでしたが、人気のなかったその日本史の授業を2年目から人気のある授業に変えて3年目には200人以上の学生の前で授業を行うまでになった北川女史の書かれた本です。
本の中に書かれている、5つのハンデ(女性・若い・アジア人種・英語が母国語でない・テニュア(終身在職権)でない)を克服して、学校内で多くの賞を得たとのことです。
理系出身の彼女が日本史に目覚め、ハーバード大学で日本史を教えるまでになった数年の出来事についてもかかれてあり、彼女のエネルギーを感じました。ハーバード大学は、学生によって授業を評価する制度があり、教授もプレッシャーを受けながら授業を行っているようです、日本でそのような制度を取り入れている大学はあるのでしょうか。
ハーバード大学には世界中から(日本からは少ないようですが)優秀な学生が集まってくる魅力があり、まだまだアメリカの底力を垣間見たような気がしました。
以下は気になったポイントです。
・自分のクラスでは他のクラスとは異なって、グループワークを課した(p46)
・歴史がみんなを強くする理由として、1)時に隠された意味を見つける、2)時の重力を感じることを説明した(p52)
・私の研究とクラスが新しく提案するのは、1)戦わずに強く生きた女性に「Lady Samurai」の称号を与える、2)サムライと Lady Samuraiの両サイドから、日本の武士道の再構築を試みる(p61)
・男性のサムライのように、切腹や討死することが Lady Samuraiの美とされず、海に沈んで身を隠す方法がある(p75)
・豊臣秀次の側室たちの三条河原での処刑は、彼女たちが女性である以前にサムライであるがために、サムライのように殺されたといえる(p88)
・誰かに物事を教える仕事をうまくこなす秘訣の99%は、準備段階にある、出たとこ勝負ではすぐに限界がくる(p109)
・実際の社会で輝ける人とは、1)他人と力を合わせられる人間、2)自分のオリジナリティを信じられる人間であり、その2つの資質を育てるように、グループワーク・プレゼン・映画作りを課題として入れる(p110)
・ピアノとお絵描き、スケート、これらは大学教育にスパイスを加える手段である(p119)
・アネンバーグという食堂は、ハリー・ポッターの食堂にそっくりである(p127)
・北川女史の5つのハンデとは、女性・若い・アジア人種・英語が母国語でない・テニュア(終身在職権)でないということ(p129)
・1542年間からの100年間は、京都が劇的な変貌を遂げる時期であり面白い、前半は信長・秀吉・家康が健在で、後半には日本が統一されるという日本史の節目にあたる(p146)
2012年7月8日作成