我輩は漱石である。
2002/08/25 12:32
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投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『我輩は猫である』(以下、『猫』と略す)を読めば、作中人物の苦沙弥先生や独仙は、漱石自身がモデルになっているということにすぐに気が付くだろう。彼らは人間社会を風刺する知識人ではあるが、彼らもまた人間社会のしがらみの中で生きざるをえない者たちである。それを猫は風刺する。漱石は名も無い猫の目を通して、自分自身を含む人間たちを笑いものにしているのである。
だが、それでは猫は完璧な存在かというと、そんなことはない。猫は餅と格闘して「踊りを踊っている」と人間たちに笑われたりもする。猫もまた笑われる存在なのだ。そして猫もまた漱石なのである。
冒頭の「我輩は猫である」という一文で読者は否応無く猫と同レベルになり、作品内へ引きずり込まれることとなるが、漱石も全く独立した立場で『猫』を書いているわけではない。『猫』の猫の視点は漱石の視点なのである。それは苦沙弥先生や独仙とは違った意味で漱石が作品内へ取り込まれていることを意味する。
漱石は苦沙弥先生や独仙といった形の自分を笑いものにし、猫の形の自分をも笑いものにしているのだ。あたかも漱石が現実世界の自分を笑いものにしているようで、そこには漱石の屈折した心情も窺われる。『猫』自体、イギリス留学で神経衰弱にかかった漱石の気分転換になるようにと、高浜虚子が執筆を勧めたものだという。
『猫』の中で『猫』を書いているのは苦沙弥先生である。現実世界で『猫』を書いているのは漱石だが、漱石は『猫』における猫である。そこにはさながらループのような関係が生じている。『猫』という作品は作品として独立したものではなく、漱石という作者を抜きにしては考えられない。『猫』の中に漱石があるのではなく、『猫』は漱石の鏡なのである。
漱石は当初、タイトルを『猫伝』にしようかとも思っていたそうだが、虚子と話し合って『吾輩は猫である』の方を取ったという。タイトルが『猫伝』となってしまえば、作品世界は作品として独立してしまったことだろう。
猫に名前が無い結果生じた効果も、タイトルの場合と似たように考えることが出来る。猫にたとえば「タマ」という名前がついてしまえば、猫はあくまでもタマとなり、人間の所有物となってしまう。また逆に、漱石から離れてあまりにも独立した存在となりすぎる。
作品の最後、猫(漱石)は「人間の運命は自殺に帰する」ことを悟るが、この思想は後に『こころ』で結実することとなる。猫は苦沙弥先生の死を予言し、自らも死ぬことによって語り手としての役目を終えた。
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猫好きがばれてきたかもですな。この猫はカワイイ。もちを噛んで踊ったり、しっぽを拝むためにぐるぐるまわったり。主人もなかなかイイ感じの人だし。なんといっても働いている感じがほとんどしない。漱石は実はとってもユーモアにあふれた人だ。
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漱石の作品の中で多分一番有名な作品。今の時代に読んでみても猫の目を通してアイロニカルに社会を批判するという形は面白い。ちなみに英訳のタイトルは 'I am a Cat'。イギリス人もうちょっと努力しようよ。
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永久にこれだけしか読んじゃ駄目!
っていう、無意味な定義に、応えるならこの一冊!
本当に素晴らしく面白い。
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淡々と面白い。でも、ラストはちょっと切ない。漱石らしいな、と思えるユーモラスな日記と言った感じです。
うちの猫も、こんな具合でしゃべったらなぁ……。なかなか長いですが、日課のようにちまちまと毎日読むと楽しく読めるかも。
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「我輩は猫である」と「夢十夜」が夏目漱石の最高傑作なのではないか?寒月君の「首くくりの力学」や苦沙弥先生が細君の禿げに驚くあたりでクスクスと笑ってしまいます。
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猫を通して人とか社会を皮肉ってるんやけど、それと似た内容のことがけっこう最近言われてません?くすくす笑って読める本。 それにしても最後まで名前付けてもらえんかったなぁ、この猫。
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言わずと知れた名作です。猫が踊ります。猫がネズミ捕りで大苦戦でします。猫が酒飲んで酔っ払います。とにかく猫がいろいろします。ただこっけいなのではなく、その中で猫がいろいろ考えます、猫の目を通してさまざまな人間関係が描かれます。それがまた面白いのです。やや女性批判的な側面もありますが、わりと面白い作品です。最後の方の哲学になってくると現代にも通ずる部分がある気がします。
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面白かった。素敵www
小学4年くらいのときに読んだときはこの物語の半分も理解できてなかったけれど、読み返すと「こんなに面白かったの!?」とビックリしますww
人間の生活をちょっと皮肉っているようにも思えました。
物語の結末、猫の最期が切ない・・・・orz
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猫を語り手に苦沙弥・迷亭ら太平の逸民たちに滑稽と諷刺を存分に演じさせ語らせたこの小説の特徴は溢れるような言語の湧出と歯切れのいい文体にある
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中1の時に読んだのですが、当時の僕には難しすぎてよく理解できませんでした...それでも面白いと思ったのは覚えています。もう一回ちゃんと読み直したいなぁ
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くしゃみ先生の家の猫(主人公)がお餅を盗み食いするシーンの描写がおもしろい。かなり想像できる(笑)。
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夏目漱石の処女作にして、『坊ちゃん』と並ぶ代表作。飼い猫を語り手として、英語教師をしているその主の周りに起こることを風刺的に描いている。主人の友人の迷亭や寒月君、東風(こち)君との会話を中心に描写されており、また猫自身の哲学的思想もしばしば顔を見せる。主人は漱石自身がモデルになっており、馬鹿正直で短気、非活動的で胃弱な英語教師として滑稽に描き出されている。猫の主人に対する批評は爆笑。まじうける。ウハ^^ と適当な感想ですが、その文体といい猫の語り口といい、間違いなく今まで読んだ漱石の作品の中で一番おもしろいというか、単純明快でよかったです。それはブログの記事にしてしまうくらいでしたヘ(゚∀゚ヘ)アヒャ
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風太郎先生がバイブルにしていたとゆー『我輩は猫である』を読み返したくなった。
しかし子供の頃読んだのがこんなに分厚かったわけはないから、子供向けに端折ってあったんだろーか?
安さの岩波か、慣れ親しんだ読みやすさの新潮かで迷うが、100円の誘惑に魅入られ岩波に決す。
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家に袋とじのままの我輩は猫であるがあります。
昔の本は袋とじのままで、ペーパーナイフで1ページずつ開きながら
読んでいたそうです。
もったいなくて、1ページもやぶれませんが。