- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
読むべき本であり、できれば出会いたくなかった本
2010/03/09 21:32
15人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:パンちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜ誰も止めてくれなかったのだろう。
本書を開こうとする私に、「ダメだ、やめておけ。読まない方がいい」強い眼差しでそんな言葉をかけてくれる人がいたなら、どんなによかったか。
ただホラーが読みたくていつものように気楽に手に取っただけなのに、まさかこんなに後悔することになるなんて。しかも、帯コピーでS・キングが絶賛していたから尚のこと油断していた。事前に他の人達の感想を読んでいたなら絶対に読まなかったはずだ。
今までにも開いて後悔してしまった本は幾つかあるが、面白くなければ途中で読むのを放棄すればいいだけのこと。
だが本書はそういうわけにはいかない類のものだった。面白いとか面白くないとかそういう次元ではないのだ。読み始めたからには最後まで読まないわけにはいかないのだ。決して抗えないのだ。
本を持つ手だけでなく、体までもが震える程の本に出会ったのはこれが初めてだ。もし立ち読みしていたなら足までガクガク震えていたと思う。
怖くて恐ろしくて、息苦しくて、涙も滲んだ。読後の精神状態も最悪だ。しばらく食欲も戻りそうにない。
そして、主人公に対してこんなにも苛立ち、怒りを感じた作品も初めてかもしれない。
彼は暴力行為は一切していない。ただ見ていただけ、悩み苦しみながらもただ見ていただけ。唯一の希望の光は彼だけだったと本人も分かっていたはずなのに。直接暴力行為をしていた連中以上に、傍観者の主人公の少年に対して激しい怒りを感じてしまう。
だが、自分がもし少年の立場だったらちゃんと救えただろうか。通報すればいいだけ、声を上げるだけでいいはずなのに、それがちゃんとできたか不安になるのはなぜだろう。
本書は1960年代に実際に起きた事件がきっかけで書かれた作品らしい。フィクションであってフィクションではないということがまた一つ心を重くする。日本で過去に起きた衝撃的な事件も思い出される。そして少年法についても改めて考えずにはいられない。
虐待のニュースを頻繁に耳にする今の世の中、目を逸らしてはいけない大事なテーマが盛り込まれているとは分かっているが、できれば出会いたくなかった本だ。
唯一良かったと思うのは、被害者の少女が主人公ではなかったことだ。もし彼女の視点で語られていたなら、私は最後まで耐えられなかったと思う。
どんなに恐ろしくても、目を逸らし考えたくなくても、考えなければならない問題がこの世にはまだまだ溢れている。
ああ、頭痛が治まらない。
真のホラー、これだけ読者に衝撃を与えるフィクションは、そうはない。
2010/05/04 02:18
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書も、色々噂はずーっと聞いていたんですが、
それに全く違わぬ、すごい作品でした。
構成の妙で、最初から伏線といいますか、暗示を充分二分に示したのち、
アメリカの50年代、60年代のノスタルジックな雰囲気いっぱいに
少年の思い出として、叙情的に作品は始まります。
少年期の甘酸っぱい思い出として、隣に引っ越してきた、思春期真っ只中の美しい少女。
河原での出会い、お祭りに行ったり、楽しい出会いと楽しい会話、、、。
こういう少年を描いた成長小説、青春小説は、たくさん名作があります。
それが、、、、。
善良な一般の読者は、どうしてこっちに行っちゃうの?止めて!!。と叫んでしまうでしょう。
私も善良かはわかりませんが、そうでした。
悪役に徹っし加害者となる隣の母子家庭の一家の行動の理由もわからないまま、それに付き合わされる、主人公、いや、読者。
それを止めることが出来ない、主人公、いや、読者。
ここも、作者もテクというか、構成の、妙だと思いますが、
主人公を傍観者(一部違いますが)にとどめその罪悪感を目いっぱいあじあわせる。
見てみぬふりが、一番悪いことではないかと。
恐らく、そこまで、しなくても、そうなる可能性はあんたたちにもあるだろうとケッチャムは語りかけているようです。
心がかき乱されて、心の不協和音がなり続ける、正に、真のホラーです。
ホラーというのは、基本的に嫌で悲しいお話し多く、読者に最後まで読ませるには、相当、感情曲線のラストでのプラスマイナスの一致を行わないといけないのですが、
本書は、最低レベルで一応、プラスマイナスは整えられるものの
読後感も最悪です。(というより、内容が、凄すぎて尾を引くだけかもしれませんが)
これ、解説をキングが書いているのですが、なぜキングが書くか、めちゃめちゃわかります。
このケッチャム、この壮絶なテーマだけがすごいんじゃなくて、
書き手作家としてもすごい書き手です。
キングほど、文芸表現というテクに溺れている感じじゃないですが、相当なレベルで正に、キング・スタイルでキングが書いたって言われても、やっちゃったかと理解できます。
又、キングは、自作の序文なんかで、内容如何を問わず、本を通じて読者をわしづかみその心になんらかを与えるのが、傑作だし、そういうものを書きたいって言っていましたが、
これが、それなんじゃないでしょうか?。
多分、ケッチャムは、これしか読んでいませんが、
子供を絶対的な弱者でありながら残虐さをもつ不可思議な存在として描きたい、もしくは、そんなことを一番育ってくる時に感じたのだと思います。
この話に恐怖し、こんな話を書いた著者に恐怖し、
そしてこんな話を読み続ける自分に恐怖する小説です。
(最後にもう一回この書評を書いている自分に恐怖します)
万人にオススメできませんが、小説なんてたいしたことねぇなぁとか、思っていて、小説でガツン言わされたいあなたにオススメします。
面白かった
2017/01/16 00:42
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sorari - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語ラスト数ページの、怒涛の展開が面白かった、最高のバッドエンドだった。未読の方はぜひ読んでほしい。
救いなんてない
2015/09/12 14:22
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けy - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでいて非常に不愉快になり、何度も何度ももうやめてくれ・・・・・・とつぶやいてしまった。後味も最悪。なのに読み手を引き込む魔性の作品。もう二度と読みたいとは思えない。
最もありうる可能性を秘めた現代の童話?
2003/02/26 10:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:クラリス - この投稿者のレビュー一覧を見る
すでに、本の内容を、何となく書評などで知ってから読んだが、これはまた、予想を超えた。ページをめくるたびに、まさかここまでしないだろうという予想を超えた展開に再びページをめくる。何か救いはあるだろうと、期待しながらページをめくり、再び裏切られる。救いはない。にもかかわらず、読み続けてしまう。やめることは不可能。すばらしい?小説だ。十数年前の、あの事件を思い出すのは、日本人だからだ。プロローグは、現実を彷彿とさせる。なぜなら、あの事件の少年たちは、結婚して家庭を築いたもの、居酒屋を開き、客に「おれ、あの事件の少年なんだ」と自慢げにうそぶくもの、自宅に引きこもっているものなど、さまざまだ。小説は終わっても、現実は終わらない。きっと♂なら、必ず、こういう願望を一度は持つのかも…それが怖い。
自分な中にいる加害者
2005/07/23 19:03
8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:de_chocolat - この投稿者のレビュー一覧を見る
最悪です。特に三分の二くらいまでは。その後はどうだろう。もちろん虐待その他はむちゃくちゃになってくるんだが、同時に読んでいて冷静にもなります。この図式〈暴力への憧れ+性的なものを内包しながら、それを安易に提供しない存在への怒り→暴力への正当性〉て、わりと日常にもあるじゃんねぇ、な気持ちになってくるからです。自分が痛いわけではないわけだし『あんなもったいぶった奴はやられちまえばいい』という感情(主人公サイド)は、わりと見覚えがあるものだし(というかそっちの方が怖い感情だと思いました。主人公の最初は少女に好感を持つが、彼女の裸を見たいという好奇心が満足できなかった時に、彼女に反感を抱いてしまうシーン。実はここが一一番怖かった)、子供が『大人には取るに足らないもの』という自覚のもとでつまらない思いをしているので『一人前扱いしてくれる大人はいいやつ』と(特にそれが親友のママなら)繰り広げられる異常な行為に共感めいたものでもって〈ゲーム〉と呼んでしまうこともわかるさそりゃ、な。でもそれが小説であるなら、どこかにもっと救いはあっていいはずだし、途中どこまで酷いことになっても最後にはなぁ、絶対なぁ、という希望を持って読んでしまうのは無理からぬことよだと思う。そうだよね(涙)。
これは一人の少女が同じ年頃の複数の少年たちに虐待を受ける(リーダーがその子供たちの母親であるというのはある意味興味深いですが)というお話ではあるのだけども、これはもっと他の図式、たとえばこの瞬間にも虐殺を受けている民族と、『自分はそれを知っているけども、直接手を下しているわけではないから自分は罪を犯しているわけではない。また虐殺されている方にもそれなりの原因はあるはず』と、平気でご飯を食べている例えば平和な国々(両親が離婚寸前であってもなお、子供の自分は愛されていると自覚できる家庭)とたとえれば、今現在この瞬間にもどこにでもある風景と見られれるのじゃないだろうか。読後感が最悪で読んでる間もむかむかするのは、決してその虐待そのものではなく、それを見ている主人公の目線(=自分)だと言う気がする。
恐怖だけではなかった読後
2001/09/22 01:06
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こふきいも - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭の記述者による苦痛とはなにかうんぬんにはじまり、少女の死に至るまで残虐尽くしなこの物語り。前触れも、内容も、その結末も、どこを見ても、取っても、救いとか希望とか癒しなどという連想はみじんもない。でもその中にあって、それだけではない何かがあるようにも思う。そう思わせられるのがこの小説の、魅力といってはこの悲惨な物語には語弊かもしれないが、いやたしかに魅力なのだ。ケッチャムという男は偉大な作家である。随所に見られる緊張感、涙なしには決して読めないどこからわいたか知れない高揚で読者を巧みに導く筆力に圧倒されるとき、彼の優れた才能に舌を巻く。この作品はただの恐怖小説などではない。この作品が読者にもたらすものは、閉じられた世界の恐怖ばかりでなく、恐怖でもって開かれる人間の生の感情の方にあり、それをつむぐケッチャムが意図するのは恐怖の連鎖ではなしに、そこかしこにばらまかれた不思議な感情の粒、そのひそかな作用ではなかろうか、とさえ思わせる。一読を薦める。
何もしない罪
2001/06/03 00:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:どぶねずみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
隣家の少女の虐待に、傍観を決め込む少年に自分を見てしまう。少年が傍観者も同罪だと気がつくまでに、読み進めるのが辛いほどの凄惨な描写が続く。怖いというより、気持ち悪いホラー小説。
ノンフィクションとは思えない残酷さ
2019/01/03 23:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くるまえび - この投稿者のレビュー一覧を見る
この話が現実で起こったとは到底思えませんでした。それ程この本の内容は陰鬱で陰惨です。道徳観念が欠けた登場人物達の中で善良な主人公の心情が複雑に変化していきますが、その過程が私にとってはもどかしく感じました。
思っていた話と違ったが…
2017/10/13 00:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:神林 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いきなり意地悪い展開になるのかと思っていたが、最初はなかなかなごやかな雰囲気。ただここからじわじわと壊れていく様は見ていて胸がむかむかする。後味は悪いが救いが全くないわけではなかったのですこし消化不良ではあった。
面白いが
2016/01/11 18:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:猫目太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
隣で何が起きているかわからない。わかったところで何が出来るか。心に引っかかる物が残る。読後「面白いが読者を選ぶ」と人に進めようか迷う。
読後感最悪
2015/01/26 18:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もも - この投稿者のレビュー一覧を見る
読後感最悪という帯に惹かれました。
なんだかなんだか、読むのが辛いお話でした。
実際にあった事件だとか?
それを知ってさらにムカムカ、、、。
日本でも同じような事件があったので
やっぱり読後感は悪かったです。
実話をもとにして、こういうお話をつくることで
このような酷いことに嫌悪感を抱く人が増えて
このような犯罪が起こらないようになるといいです。
苦悩のナイフ
2003/12/22 03:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紺乃卓海 - この投稿者のレビュー一覧を見る
健康的な体、ふくらみ始めた胸を持つ少女と
主人公少年の出会いは美しく描写されている。
晴れた日の川辺
その穏やかな物語の始まりが
「隣の家」に入り込むはめになってしまった
少女のむごたらしき日々のなかに夢のように現れては消える
希望の切なさを助長している。
主人公の少女に対する思いと、行動の伴わない葛藤は
狭いコミューンの中で生活している人々の持つある種の
冷たさ、だらしなくもたれあう姿をも描写している。
コミューンの中に一滴しずくが落ちる。波紋が広がる。ゆるやかに。
そのゆるやかで残虐極まりない時間、出来事は詳細に書かれているので
脳に焼きつくイメージは相当グロテスクなものになる。
それは筆者と訳者のうまさだと思う。
狭く穏やかな輪のなかで、隣の家で何かが起こっている。
知ってしまった少年の苦悩は自ら手を下し残酷な仕打ちをしたものより
深く、突き刺さる。
少年は大人になりこの物語を語り始めた。
大人になってもまだ生々しく突き刺さっている苦悩のナイフを
どうにもできないでいる。
隣の家の少女は
見て見ぬ振りをしてこなかったかと問いかけてくる、読者に。
そして、苦悩のナイフに気づくか気づかぬかは
多分読者それぞれの生き様に依っている。
と、思わせられた一冊だった。
偶像破壊者
2002/04/25 09:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「隣の家の少女」が虐待されゆく様子を執拗に描いた、ただそれだけの説。文章は平板で読みやすいのだが、内容は残虐極まりない。
これほど好悪の評価が激しくわかれる作品も珍しいんじゃないでしょうか。嫌悪感を抱く人も多いと思う。陰惨な話が嫌いな人は読まないほうがいい。
スティーブン・キングが絶賛しているので、キングのファンは読んでみてはどうでしょう。
ただ、キングのホラーは希望がどこかにあるけど、本書は希望なんてカケラもないので、そこのところ注意。間違っても鬱状態のときに読んではいけません。気が滅入ります。
目を背けたくなるような内容だが
2023/03/30 19:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とんと - この投稿者のレビュー一覧を見る
実話を元にしたという、少女を監禁して数々の非道な拷問をする友人家族たちを傍観していた少年視点で語られるお話。
他の方もレビューしておられるように、読みたくない!目を背けたい!となるような話なのですが、最後がどうなるのか気になって読了。
こういうお話、ほかにも小説や映画で目にすることもあり、また日本で昔起きた某事件をも思い出させる。が、この小説の特徴は、暴行に加わらないものの途中まで見ているだけだった少年の視点で描かれているということと、少年が途中でその罪悪に気づくということ。何故そこまで気づかない?という不思議さがあるのですが、恐怖からなのか、そこまで関心がないからなのか理解に苦しむ。
とんでもなく辛い内容ですが、少年にそこまで共感はできませんでした。