紙の本
道尾氏ならでは
2016/01/13 03:00
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
簡単に紹介すれば、絵本をめぐる三様の物語。いずれも孤独な登場人物に惹かれる。中学生の男女が絵本作りを始める序章は、いささか分かりにくいが、じっくり読み進むと道尾氏ならではの世界が見えてくる。読後感は爽やか。
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3つのストーリーからなる連作短編集。
「物語をつくる」ことが一つのテーマになり、それぞれのストーリーが絡み合っていく。
最近の道尾氏はハートウォーミングなものが多い。
本作も、3作の繋がりや展開がよく練られていて読後感もよく、素敵な作品に仕上がっている。
正直言って、著者の作品はほとんど全部読んでいるので、最近のこのパターンに慣れてきてしまった感もあるにはあるけれども。
物語をつくる、という作業は、人が自分の心を整理し浄化するのにとても有用な方法で、カウンセリングなどの心理療法でもその原理を応用していると聞く。
誰かが癒されていくストーリーは、読んでいるほうも癒されるもんなんだな~。
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連作集。
辛かったり寂しかったり、心の隙間をそっと掬ってくれ、救ってくれる。
言葉が繊細で絶望的で、とても切ないけれど。
思った以上に後から堪える作品。
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デビュー当時のホラー色は最近の作風ではすっかり影を潜めて、最近では、すっかり、ほっこりする作品が多くなってきた感があるが、本作は、その傾向が更に強くでた、人情物に近い作品となっている。童話作家を主軸として短編が相互が緩く繋がった連作集となっているが、その中でも最も作者らしいのは最初の作品で、時系列と人の名前を惑わして読者をミスリードして、最後に種明かしをするミステリー風の展開で、暗い目をした不幸な生い立ちの子供たちを主人公と据え、不幸な事件を織り交ぜて、最後に落とすという展開は、読んでいて、ああ、この人らしいなという作品となっており、三つの連作の中で最も小説としての出来は良い。ただし、連作集のモチーフとなっている絵本の童話としては、最も作者らしくない最後のカブトムシの作品の出来が良い。いずれにしても作品世界を表した表紙の装丁が素晴らしく、読む前は何が表現されているか分からないが、読み終わった後で改めて見ると納得の装丁となっているのが良い。
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物語で繋がる連作集。
物語は読んでも、書いても、語っても良しなんだなぁと、改めて感じた。
なんか、この人って妙にツボってくるんだよね。もはや、何でもアリかも。
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物語の中の童話に添うように並べられた短編が連作のようになっている。
タイトルの「ノエル」といい、最初の「光の箱」といい、クリスマスものかと思っていたら、ラテン語で「誕生」を意味からなる作品だったようだ。
童話と本編との間に書かれるカットが伊坂作品のように感じてしまった。
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とてもよかったです。
優しい優しい物語でした。
物語にふれることで、変わりたい自分に変われる。
もっと前を向くことができる。
自分を再生できる。
そんな、強さをもらえた気がします。
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絵本の優しい世界観は好きでした。
本の構成も連作になってて好きですねぇ。
「光の箱」は以前に読んでいましたが、他の2篇との繋がりがまたよかった!
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作中に赤い花のトナカイやカブトムシなどの童話を織りこんだ三つの短編。最近やたらと透明感のあるキラキラした物語が多いような…。今後はこういう雰囲気でいくのかしら?こういうのが好きな人も多いだろうけど、私は昔みたいな話のほうが好きだなぁ。
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だんだん物語がつながっていき、最後感動しました!とても良く出来たストーリーで、さすが道尾先生今後も期待してます(^^)
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内容(「BOOK」データベースより)
物語をつくってごらん。きっと、望む世界が開けるから―暴力を躱すために、絵本作りを始めた中学生の男女。妹の誕生で不安に陥り、絵本に救いをもとめる少女。最愛の妻を喪い、生き甲斐を見失った老境の元教師。切ない人生を繋ぐ奇跡のチェーン・ストーリー。
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ストーリーの流れと物語の流れがリンクしながら進んでいく不思議な感じ。新鮮。
暗い部分を残しつつ、 希望もあり、物語の方のイメージか、昔の道尾作品より文体や言葉の選び方もちょっとホンワカしている気がする。
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一冊の童話が、五人の運命を変えていく――
理不尽な現実に舞い降りた「物語」の力。
最も美しく、最も劇的な道尾マジック!
物語をつくってごらん。きっと、自分の望む世界が開けるから――。
暴力を躱すために、絵本作りを始めた中学生の男女。
妹の誕生で不安に陥り、絵本に救いをもとめる少女。
最愛の妻を喪い、生き甲斐を見失った老境の元教師。
切ない人生を繋ぐ奇跡のチェーン・ストーリー!
第19作。第一中編集。
形式:三人称小説(語り手:卯月圭介・正木弥生(光の箱)、莉子(暗がりの子供)、与沢(物語の夕暮れ))
三つの中編からなる物語には、それぞれに作中作があり、合計十の話が密接に関係し合っている。
「光の箱」(卯月圭介・正木弥生の2視点)には、「リンゴの布ぶくろ」「光の箱」
「暗がりの子供(莉子・真子(エピローグ)の2視点)」には、「空とぶ宝物」
「物語の夕暮れ(与沢の視点)」には、「蛍とかぶと虫(続編と併せて2話分)」
三つの話がそれぞれ三すくみというか輪(三角形?)を形成し響き合う。
ゴシック体の部分はすべて作中作の設定だが、それらが各人物の人生を暗喩している。
軸には「ストーリーズ」という絵本の存在。
「光の箱」では、ペンネームと時間のズレを利用し、結末を鮮やかに好転させる。
「暗がりの子供」では、作中作に同名人物を登場させる叙述で息苦しさが伝わってくる。
「物語の夕暮れ」では、作中作が現実と死の世界を繋ぎ止めている。
物語の力が時間を超え、巡り巡ってみんなを救っている。
ミステリ:☆☆
ストーリー:☆☆☆☆☆
人物:☆☆☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆☆
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道尾氏にはまったきっかけが、ストーリー・セラーで「光の箱」を読んだのだったな~。1年前か。。早い。
「光の箱」、「暗がりの子供」、「物語の夕暮れ」、それぞれ別の世界が、最後の「四つのエピローグ」で繋がる。
暗がりの子供/雛飾り、母のおなかにいる妹
物語の夕暮れ/本の読み聞かせ、故郷のお祭り、電話
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「光の箱」を以前読んで、素敵な物語だなと思っていました。
一つ一つの作品としては素晴らしいものがありますが、通して読んだときに繋がりにいまいちしっくりこなかったのと、前作の「光」と比べて見劣りしてしまった感が否めなかったです。