紙の本
さだまさし版『バカの壁』
2006/08/20 22:00
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある回転寿司店の待合室でのこと、幼い孫を含めた三代が座席が空くのを待っていたが、初老のばあさんがひょいと小さな孫を抱きかかえたかと思うと土足のままベンチに立たせてずり落ちたズボンを引き上げたのである。
その側ではその小さな子の母親と思しき女性も何も気にとめずにおしゃべりしながら、服の乱れを手伝っていた。
親も親なら子も子、と言われるが、これではこの幼い子供はロクでもない餓鬼に育つぞと確信した。
公共におけるマナーを教える立場の年長者が平気でマナー違反を侵して悪気のない顔をしている。金さえ払えば客として何をしても許されるという甘えがそこには見えるが、金を払う側、場を提供する側という需要と供給の原理原則が分からないじじい、ばばあが多すぎる。
平気で歩道をママチャリが走り、歩道を塞ぐなと歩行者にせわしげにベルを鳴らす。
青信号で横断歩道を歩行中の列に突っ込んでくる車の運転席を見ると、助手席に子供を乗せた若い母親が多い。そういう母親に限って、締め切った車内で煙草を吸っているのである。自身の健康管理と美容には人一倍神経質になるのに、守らなければならない子供には配慮がないというか無頓着というか鈍感というか。
著者のさだ まさし氏は今から30年ほど前に歌手デビューをして一躍有名になった人であるが、創る作品の数々は進歩的女性から、市民団体と称する人々からと様々な批判を受けてきた。
その氏が切々と語る内容は多岐にわたっているが、今、社会にかかわって生きている私たちが直面している問題でもある。誰かが口を開くと逃げ場もないほどに叩きつけるのが現代日本の風潮であるが、批判の矢面に立たされるとたちまちに開き直るのが多いのも確かである。
それは犯罪の場面でも、企業不祥事においてもそうである。事なかれ主義というか、なんというか。
そして、追い詰める側もまるで生まれてこの方、聖人君子として生誕したかの如く、他人を批判する。
さだ まさし氏も言及されているが、日本国憲法における自衛隊の対応ひとつをみてもそうである。解釈という言葉で憲法という建前までをも侵してしまうのである。
すでに、海外の大使館に駐在する自衛官の名刺にはアーミー、ネイビー、エアフォースと刷り込んである。これは、海外の諸国に対して軍隊であることを示しているのだが、その実、国内ではセルフ・ディフェンス自衛隊である。こんな本音と建前の国を信用しろと叫んでもどこの国も信用はしないだろう。
そして、現代日本においてもっとも嘆かわしく思うのは、他人の失敗を許さないことである。
それも悪意ではない失敗を許さないのである。
決まりは決まりと、何が何でもマニュアルに添った対応を求めたがるのである。
反面、そういう決まりを求める人間に限って応用力がない、機転が効かない、先が読めずにおたおたするのである。
国政における真の野党が無くなり、与党に対して警告を発する役割が無くなった今、庶民の生活から国政に至るまでうるさいと言われても、意見を述べる人がいなければならない、嫌われてもきつい事を言わなければとさだ まさし氏は意見を述べている。
毎日毎日、殺人事件が報道されない日はなく、これを日常のように思える感覚になったならば、本当にこの日本は終わってしまう。批判されようが、何をしようが、腹をくくったさだ まさし氏の言い分は傾聴に値すると思います。
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さださんは内容は私事だと書いておられますが、まさに今の日本は「これでいいんだろうか」とつくづく考えさせられました
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最近、競争競争と日本のよい部分が失われている。
人間として大事にしてほしいと思うことをさだまさしが語る本。
心が洗われる気がしました。
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親が元気のうちにするのが親孝行である 歴史上大切なのはその国がどれほどお金をもっているかではない。一番大切なことは、その国がどれほどの文化をもっていたかということなのです。 雑学と教養は違う。知識を応用する能力のことを指して教養という。男の道には三道ある。奇道、覇道、王道 王道とはふと気づいたときにみな道を空けてくれているというもの。ネイティブアメリカン 地球環境は先祖から受け継いだものでなく、子孫から借りているものである。
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従兄がカラオケで関白宣言を歌った時に初めてさだまさしのことを好きになる。
そして彼がギター、ヴァイオリンを弾けることを知り、もっともっと好きになる。
そして作家であることを知り、もっともっと好きになった。
そんな人が新書を出したなら、読むしかありません。
彼の世の中の対する想いが込められた一冊。
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図書館で目に入ってきて、読んだ本。
思いのほか読み応えがあって、
読んでよかったです。
<実践すること>
感謝の言葉やねぎらいの言葉は、はっきりと口に出すこと。
相手が家庭の中でどれほど頑張っているかを見つめ、
あるいは想像し、感謝し、尊敬すること。
惜しまないこと。
行動も、気持ちも惜しまないこと。
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著者の主張は正しい。
正しいがしかし、論拠に乏しいところが多い。
その結果どうしても、お父さん世代が、昔はよかった…と懐かしんでいるだけのような印象を受けた。
でもそれでいいのだ。
だってさだまさしだもん。
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耳にいたく 心に響く言葉がたくさんです。さだまさしさんの 心に染み入る歌は こういう思いからきているんですね
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[ 内容 ]
僕はこの国を心から愛している。
でも、自分が好きな「日本」という国は、もしかしたら存在しない幻の国なのかもしれない―。
家族、子育て、礼儀作法、コミュニケーション、戦争、平和、義、人情…。
三十年以上にわたり、全国を隈無く旅して来た著者だからこそ見える、どこかおかしいこの国の今。
時に辛辣に、時にユーモアを交えつつ、しかしあくまで真摯に語り尽くした、日本と日本人への処方箋。
[ 目次 ]
第1部 生命の行方(「生命」は誰のものか?;家族が壊れたのはなぜか? ほか)
第2部 心の在処(神さまは本当にいますか?と聞かれたら;教育とは何だろう? ほか)
第3部 情の構造(「惜しまない」から始めよう;コミュニケーション不全への処方箋)
第4部 義の崩壊(二束三文の正義;想像力はどこへ行った? ほか)
第5部 時間の秘密(未来はどこへ続くか?)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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さだまさしの本です。小説も書いてベストセラーになりましたね。
この本はさだまさしが日本に対して言いたいことをぶつけています。
フォーク歌手というのは歌の中でもぶつけるものですが、
この本でもぶつけています。
読んでいていろいろ考えますね。ほんと・・・
関係ないですが、この人のライブは面白いですよ・・・話が特にね・・・
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さだまさしが語る「日本」
きれいな日本語を遣うことの大切さや、日本文化や伝統を
残そうよ、という彼の想いがひしひしと伝わってくる。
想いが強すぎて過激な発言もあるため、賛否両論もあると思うが
まずは素直な気持ちで読むと、「うんうん」と共感できる。
さださんは言葉遣いも、たとえ話も巧いので、とても読みやすい。
こんなにも日本のことを愛している人こそが、国のトップにたってくれるといいな~、なんて単純に思った。
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タイトルからは強い印象を受けるが、文章は、やわらかくしなやかで、静かな雰囲気。さだまさしさん自身は最後に「敢えて厳しいことや辛辣なことを言ってきた」と書いているが、私には厳しさも辛辣さも感じられなかった。
さだまさしさんの文章は、新書の形ではなくて、CDのジャケットに手がきで書いてあるほうが、ずっと心に染みいる気がする。
ぼたん雪と桜の花びらの散る速さがほとんど同じと知って、では「蛍はどうなんだろう?」と考える感性が、とっても素敵だと思いました。
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3/11の東北地方太平洋沖地震の1年後に 手にとった一冊の本で、さださんのいっぱい思いの詰まった本に巡り合わせてもらって良かった。
色々感じさせて頂き、気づきを頂きました。
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これは社会科学に分類されていました~。
またまた,さださんの本を読んでしまったわけです。
今まで読んだ本にも重複するところも多いのですが,
なるほどふむふむと思うことがたくさんかいてあるのです。
昔いた近所の怖いおじさんのように,
羽目を外した若いもんを一生懸命,諭すような
そんな感じです。
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20130722
さくらの花びらと牡丹雪と蛍のくだりは
すごく素敵な感性だと思う。
未来に生きる人のためにいますべきこと、そういう想像力は、感謝の気持ちからうまれる。感謝の気持ちは、過去からつながる今を大切に思う気持ちからつまれる。今を大切に思う気持ちは過去に生きた人やその考えを大切に思う気持ちからうまれる。