投稿元:
レビューを見る
冒頭でストーリーの一本の紐を渡される。
読み進めていくと紐がどんどん増えて複雑に絡まりあう。
そして、いずれその紐は再びほぐされ、一本、また一本と分れていく。
最後に残るのは冒頭渡された紐の答えだった。
この長いストーリーを読み終えたときの心境はそんな感じでした。
長い長い、とても長いストーリー。
そこに疾走はなく、時間は現実の時間と同じではないかと思えるくらいゆっくりと進みます。
そう、ゆっくりと着実。あらゆるミステリーの素材を贅沢に盛り込みながら。
アメリカはニューイングランドの田舎町。
そんな地方で死者が蘇る現象が多発。
同時期に、街の名士である霊園経営者一族を核として起こる殺人事件。
殺人事件と蘇り。
この矛盾した組み合わせが複雑に混ざり合い、事態は混乱を極めて行く。
そこで、事件の真相を調べるパンク的風貌の主人公達。
とんでもない災難に見舞われながらもたどり着いた真相は?
人間にとって生きること、そして死ぬこととはいったい何なのか。
死者が蘇ったという、通常ありえない設定だからこそ、そこに生まれる普通ではない物語やトリック。
実験的でありながら、同時に完成もしてしまった大作です。
【読書羅針盤】
秋の夜長にじっくりと時間をかけて読みたい一冊度☆☆
投稿元:
レビューを見る
粗筋(アマゾンから引用)
ニューイングランドの片田舎で死者が相次いで甦った! この怪現象の中、霊園経営者一族の上に殺人者の魔手が伸びる。死んだ筈の人間が生き還ってくる状況下で展開される殺人劇の必然性とは何なのか? 自らも死者となったことを隠しつつ事件を追うパンク探偵グリンは、果たして肉体が崩壊するまでに真相を手に入れることができるか?
投稿元:
レビューを見る
ニューイングランドの片田舎。
死者が蘇る現象が起きる中、埋葬業者の一族に連続殺人が巻き起こる!
自らも生ける死者となったグリンは、肉体の崩壊の前に謎を解けるのか?
死の真相を隠し、グリンが挑む著者渾身の初長編大作、堂々登場!
投稿元:
レビューを見る
「死を想え(メメント・モリ)」という単語がよく似合う本。
面白いが、この長さは活字中毒者じゃないと読みきれない気がする。
投稿元:
レビューを見る
最初はちょっと苦手かな~と思ってたんですが。
まず、日本人の著者なのに、海外ものの訳したような文体で書かれてるのですよ。
設定も館やら一族やら警部やら、なんとなく古い時代を思い浮かべたくなる設定で。(実際は現代)
それに名前もジョンだのジェイムズだのジェイスンだの分かりにくいし…登場人物は多いし…
でも、すぐに気にならなくなったなあ。
霊園で交錯する登場人物たちの思惑がすごく細かく描かれてて読んでて飽きないし、何より膨大な伏線を一個一個拾っていくところがすごいと思う。
死人が蘇るという設定を、すっごく良く生かしていると思った。
読み終わったら、絶対すごい!って思うはず。
そして、蘇った死人がどうなるのか……
大作でした。面白かった。
投稿元:
レビューを見る
死人が生き返る世界では殺人事件はどうなるのか。
ミステリーは通常、生きている人間の心理しか考えないが、ここでは死人の心理も重要になってくるのだ。翻訳めいた文体や軽いノリを織り交ぜつつ、この世界観の中で見事に論理が構成されている。
投稿元:
レビューを見る
人が死んでも生き返る、という特殊な世界で、それも条件に含めたうえで、ミステリ的な解決をつけたという点が評価されているのだと思う。
でも、読んでて面白くなかった。
投稿元:
レビューを見る
再読。名作と呼ばれるにふさわしいボリュームと内容。
えっと、昔の覚書を漁りまして、初読が2003年8月であることを突き止めました。約12年の間を空けて再読。干支が一周してる……。
ちなみにそのときの感想メモ。
↓
面白かった。舞台がアメリカで、登場人物が一人を除いてアメリカ人で。
名前が全部片仮名で、しかも二十人ぐらい名前が並んでて。
読む前はヤバイな、これはと思ってたけど、読み始めたらあっさり読破。
面白かったからだろうね。
うん、地味に面白い。綾辻とかみたいにあっと驚いて「これはいい!」じゃないけど、
「んー、これ、いいねぇ」って感じ。
改めて、山口雅也の実力を痛感。この人、凄いね。
↑
この印象が今でもずっと続いていて、再読しても改めてそう思いました。すごいわ、このひと。
文庫で、結構な厚さがあって、ほんとずっしり。葬儀屋をメインにしたお話で、「死」というものについての薀蓄がいたるところに。ひとによってはそれらが少し冗長と感じられるかもしれないけど、最終的に真犯人を説明しようと思えば、予め読者に知識を与えておかなければ「納得」というレベルに持っていけないんだよな。そこばかり書いてしまうと読者の目が真犯人に向かってしまうから、ヒース博士やグリンの薀蓄は「散らし」の意味もあったんだろうねって今なら思う。
まず前提として「死者が生き返ることがある」っていう世界での出来事で、その点については明確な説明はないままなんだよな。どうして生き返るのか、生き返ったものになんらかの共通点があったのか。分からないけれど、とにかく「生き返るものがある」っていう。
だからこそ登場人物たちも混乱しているし困惑しているし。
いやでもそこから、「生き返るなら殺しても仕方ない」って発展させて、「それでも殺そうとする動機を持つ人物は誰か」という方向へ持って行くのはすごく面白い。それを「推理小説」の中でやったってのが、やっぱ天才だなぁって思うわ。
抜粋。
えーっと、何番目かの被害者のセリフ。
「すまん、ちょっと、死んでたんでな、全然聞いていなかった。悪いがもう一度最初から繰り返してくれないか?」
トレイシー警部の心に平穏が訪れることを祈っております。
投稿元:
レビューを見る
異色のミステリー。
舞台やキャラクターなどの設定が面白かった。
あり得ない状況のなかでの殺人事件は一体誰が犯人で動機は何なのか?
先が気になるストーリーだった。
しかし、中盤はストーリー展開が遅く、少し間延びした印象。
派手な展開になるまでがたいくつだった。
でも、問題解決には実はその中盤もかなり重要だったり。
本格推理の新たな可能性を提示した作品らしい。
投稿元:
レビューを見る
結構読了まで時間がかかりました
なかなか進まなかった理由に自分のカタカナの名前に対する苦手意識があります。
誰だっけ?この人?みたいな
死人がよみがえる、主人公も死んでよみがえる(笑)
そんな設定がばかばかしいようで、
読み進めると納得の結末
とんでもではなく、いろんな要素がまじったミステリの王道に近いかな。謎解きの気持ちよさがあります。
投稿元:
レビューを見る
設定がどんなに嘘っぽくても、その世界のロジックが正しく展開されていればそれが「リアル」ということ。解決編における、前代未聞のロジックに胸踊らせない人がいるだろうか。ミステリーの未来がここにある。
投稿元:
レビューを見る
いや~この本は読んでも読んでも先に進まなくて、読み疲れました。
表現とかが冗長でちょっと厳しかったっす。
投稿元:
レビューを見る
2011年12月29日読了。「このミステリーがすごい!」1989年度版の第8位、総合でも第2位の作品。アメリカ中南部にて広大な霊園を経営するバーリイコーン一族。突然発生した説明不能の「死体が甦る」現象が頻発する中、不可思議な殺人事件が発生し・・・。物言わぬ死者がなぜ・どうやって殺されたか?を探偵が解き明かすのが一般的なミステリのスタイルだが、「甦った死者の言い分を、生者に向かって甦った死者が説明する」というこの小説の形式は、単にアイデアだけの馬鹿ミステリに終わっておらず首尾一貫しているあたり驚異的で、面白い。薀蓄の多さと古きよき欧米ミステリのようなかび臭いすじ運びに中盤はだれるが、終盤の謎解きの面白さは抜群。「ミステリの暗黙的なルール」を了解した上で、それを超えるルールを提示し、なおかつそれに則って話を進めるミステリ。そーいうのが一番面白いミステリなのかもなあ。
投稿元:
レビューを見る
死者がゾンビと化す怪事件が発生。となるとホラーかFTかと言いたくなるが、これは物凄く本格的なミステリなのだ。奇想天外な前提条件のもと、厳密に構築されたロジックと、その間隙をつくトリック、どんでん返し。ミステリの本質を突きつけられた気がする。
投稿元:
レビューを見る
パラレル英国、リビングデッド、パンクな登場人物その他と、
これでもかとのトンデモ設定。
違和感ありきの小説なので何でもアリなのに、
主題が骨太のため、
大事なところは論理的。
かつ人間的。
上手い。