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言葉の魔力
2015/09/17 16:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
指輪の守護者である少年の榊森羅に寄せられる謎を解決するミステリーシリーズ。物にしみ込んだ思いを代弁し、断罪していく。
「12月27日」
クラスのみんなの都合をつけて、忘年会シーズンにクリスマスパーティをすることになった。その参加者である八合目暁彦は悩みを抱えて来た。友人の野辺由可にメッセンジャーを頼んで告白した福山理佐から、色よい返事がもらえないのだ。だが未だに諦めきれない。
その相談を受けた榊森羅は、彼が宝物にしているフズリナの化石を利用して、一計を案じることを提案する。
手に入らなかった宝物に固執していると、本当に大事な宝物を失くしてしまうよ、という様なエピソードで、殺人は起きないので安心。
「転落」
粉飾決算をしているベンチャー社長の江頭正介は、それを告発しようとしている経理主任の手形飛夫を殺そうとしていた。そしてその舞台に、社員旅行先の鄙びた旅館を選択した。
一方、七瀬立樹とその祖父の理事長に連れられ、その旅館にやって来た榊森羅は、一人の男性が寄って風呂に入った結果の事故死に疑問を抱くのだった。
自分の言葉が人を傷つけることに気づかなければ、そのしっぺ返しで足元をすくわれるよ、という様なエピソードで、考古学は特に関係ない。
「木片」
森羅博物館に呪われた木片を持って現れた木野藍理は、謎を解けば宝がもらえると誘惑し、榊森羅をとある寺の本堂に連れていく。そして夜中に彼を起こした彼女は、現世と幽世を分かつ境をまたがせ、森羅の精神を捕えてしまった。
連れて行かれた先は、江戸時代の在野の仏師である木片のもと。そこらに落ちている木切れの中に仏を見出すという彼は、仏師に理想の仏が埋まっている木を与える龍慶の噂を聞き、彼に会いたいと思う。
珍しくレッドヘリングが仕込まれているエピソード。短編という構成上、こういう無駄なことをすると本来描きたいことが描けなくなってしまいやすいと思うが、今回はそれがあって初めてミステリーとして成立している気がする。
だけど、過去の罪を断罪するというのは、取り返しがつかなさ過ぎて気が引けるな。
「犀の図」
榊森羅の養父の一人である元指輪の三賢者モーリス・ランドに呼び出され向かった先は拘置所だった。本当に必要なこと以外は話さないという彼は、森羅を呼んだ理由も話さず、七瀬立樹を困惑させてしまう。
助手のジーノ・ホワイトから聞いたところによると、親の遺産を整理中の金持ちから預かった版画が紛失してしまい、モーリスはその盗難の犯人として自首したらしい。森羅が捜査の結果手に入れる、モーリスが彼を呼んだ理由とは?
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