みごとなできばえのファーストコンタクトSF
2005/06/04 17:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
異星人とのファーストコンタクトものSF。解説にもあるとおりオーソドックスなハードSFといえる。このてのものは、如何に異質な異星人を創造するかが、第一の焦点である。その異質な存在が科学的・論理的に読者を納得させるように、構成されなければならない。そして、その異質さの為に地球人との間の相互の理解がいかに困難か、その困難をいかに解決していくか、が読みどころとなる。この作品は、どちらの点でもみごとにできあがっている。異星人の驚異的科学技術についても、詳細まで良く考えられている。2002年の星雲賞受賞、ベストSFになったというが、もっともである。
エンターテイメント!
2023/05/03 15:11
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投稿者:ダタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初から最後までずっと面白い。
この感じはちょっと凄いと思う。
一気読みでした。
ジャンルとしてはハードSFですが、
あまり知識がなくても
置いてきぼりにされない感じです。
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不幸な出会い頭。
物語の多くは、異星人を通して人間の内面や人間社会を描くことにさかれている。
近未来物のSFではあるが、現代の社会情勢についても考えさせられる部分がある。
個人的にはもう少し分厚くてもよかったんじゃないか?と思う。
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2006年11月9日早朝。水星の太陽面通過を観察していた天文部部長の白石亜紀は、水星から塔のような細長い物体が伸びていることに気がつく。突如現れた水星の異変に世界中の注目が集まる。水星から噴出される物質は、やがて太陽を取り囲む巨大なリングを形成した。そのリングによって太陽光がさえぎられ、地球の気温が下がり農作物が育たなくなった。リングの正体はなんなのか、何者によってなんの目的で作られたものなのか。度重なる調査によって、リングが自己修復機能を持ち、身近なものを侵食する特性がある事がわかった。水星に向けられた探査機は、防衛線を越えることができずに撃ち落とされてしまった。
水星太陽面通過の観察以来、水星とリングに関心を奪われた白石亜紀は、そのまま“リング学”のエリートコースに進む。そしてリングへの有人飛行クルーに選抜される。異星人とのファーストコンタクトの夢を胸に抱いたまま。
しかし実際のところリングへの有人飛行プロジェクトに課せられた課題は、異星人とのファーストコンタクトではなく、リングの破壊である。リングを破壊しない限り、地球に明るい未来は来ない。4人の選抜されたクルーはリングに接近、破壊を試みる。リングの観察によりその役目は、オリオン座の方向から来る異星人のレーザー帆船を減速させることにあるのではないかと推測された。リングの物質に侵食されたクルー一人を失いつつも、白石の思いつきでリングを破壊することができた。
太陽を遮るリングという脅威を取り除いた人類は、次なる脅威に身構える。異星人の大船団は、減速装置を壊されてどのような行動に出るのだろうか。目的地に止まれないまま、行きずりに報復攻撃を仕掛けてはこないだろうか。人類は太陽系に向かいつつある未知の異星人とコンタクトを取ろうと、あらゆるチャンネルを通して呼びかける。だが応答はない。
リング発見から29年後、44光年先の宇宙からやってきた船の姿を捕らえた。減速装置を壊されたことに気がついた宇宙船は、その質量エネルギーを持ってして、自力で太陽系に止まらんとしていた。それを地球側は9隻の宇宙戦艦で迎え撃つ。うち1隻は白石亜紀の指揮するコンタクト船だ。異星人との交渉が成功しなければ、残りの8隻が迎撃する。今まで地球人に無関心を貫いてきた異星人とコンタクトする余地はあるのか。もし交渉が失敗した場合、異星人と対等に戦うことができるのか。人類の存亡を賭けた接触が始まった・・・。
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太陽の簒奪者はハードSF。無駄のない文章は、無機質で硬質な印象を与えるが、それが殺伐しすぎないのは、本編の主人公が女性科学者だからだろうか。とは言うものの、白石亜紀は華やかな女性ではない。無口、無表情でつまらない、「リングと結婚した女」と陰口されるような人物だ。それがかえって私のような人間には共感できる。頑張れ女性科学者!
著者インタビューの中で野尻抱介本人が言っているが「計算したり絵に描いたりしてなるべく具体的に構築してから、新聞記者になった気持ちで文章化してい」るそうだ。どうりでさっぱりしていると思った。クルーの一人マークが侵食され死ぬ時なんか、ハリウッド映画だっ���ら情緒的な音楽で盛り上げていく一番の泣かせる場面になるはずなのに、そんな描写は微塵もなくあっけなく逝ってしまったものな。
少ない限られた情報から未知なる文明や生命体を推測していく過程って言うのは、ファーストコンタクトものハードSFの醍醐味かもしれない。ホーガンの『星を継ぐもの』のように。水星に突然現れた人工物の登場から、コンタクトの取れない異星人との試行錯誤まで、ぐいぐい引き込まれるようにして読んでしまった。
意思の疎通ができない異星人とどう関わるのか、っていうのは結構よくあるSFのテーマだけど、SF作家の描く宇宙人が幾通りもあればその幾通りもの解があるわけで、SF読者としては毎回楽しめるのでなんの問題はないと思う。
人間関係が細やかに描写されているわけでも、キャラクターが深く掘り下げられているわけでもないので、そういうのを求める人には向かない本かも知れないけれど。でも冷静な文章の1枚下に、白石亜紀の苦悩とか感情とかがきちんと読み取れる気がする。このキャラクターとの距離感が丁度いい。
そういえば白石亜紀って字面が白亜紀を思い出させる。確か恐竜が隕石で絶滅したのが白亜紀末期じゃなかったっけ。白亜紀+石っていう名前に何か裏がありそうな気がする。・・・結果的に白石亜紀が宇宙人の減速装置を壊したわけだから、そこらへんと関係しているのかも。白石の所為で、異星人は目的地を奪われ、二度と止まれない宇宙旅行を続ける羽目になったかも知れないからな。
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西暦2006年(去年じゃん!)、彗星軌道に突如発生した巨大環状構造物により日照が遮られ、人類に危機が。しかしそれはファースト・コンタクトの始まりに過ぎなかった……いやもう、科学考証のハードさ具合とセンスオブワンダーが良い具合に溶けあった良作ハードSFですな。
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映画「サンシャイン2057」とも設定が似ていますが、こちらの方が最後のやりきれなさが味わい深く、いいと思います。
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<poka>
壮大なハードSFです。
「2001年」や「ソラリス」にも匹敵する興奮と驚きを味わえます。
テーマはファーストコンタクト、ナノテク、人工知能など目新しくはないが、展開は飽きることがなく、ドラマは次々と進んでいく。
欲を言えば白石亜紀の「こだわり」をもっと深く描いて欲しかった。
<だいこんまる>
おもしろかったけれど、異星人があんな感じとは…。
もっと夢のある異星人がよかったですぅ。
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地球外知的生命体コンタクトものハードSF。ワープ航法や重力制御装置といった空想装置は一切登場しない。それ言ったらナノマシンやレーザー推進だって空想の域を出てないのだが、物理的には不可能でない分、ストーリーのリアリティに貢献している。好奇心を満たすために何でもするし、目的が達成すれば後はどうでもいい主人公が、プログラムを遂行するだけの非情なシステムと対峙し、結果的に人類を救う話とでも言えばいいか。言いたいことは山ほどあるが、まとめられない。
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新幹線に乗る機会があって、その間暇だから、って適当にえらんだのがこれ。
思えば本作が初めて読んだSFだったなー。
やっぱ宇宙って、ひいてはファーストコンタクトって男の浪漫ですよね。
水星軌道上に太陽を取り巻くように形成されたリング。
そしてそこに降り立った場面なんて、想像するだけで興奮しますよね。
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リアリティのあるSFってかんじで面白かった。
宇宙人とのファーストコンタクト物はどれも基本的に
相手との意思疎通ができないって設定のものが多いけど
マンネリになんないのが素敵ね。
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異星人とのファーストコンタクト物。専門的なSF用語が説明無しにポンポン出てきますが、多少読み飛ばしても何とか読み進められました。
速いテンポでストーリーが展開し、グイグイ物語に引き込まれます。
特にナノ建築のテクノロジーや異星人の知性に対する考察が燃えます!
対して登場人物の心理描写は少な目で、ちょっと物足りなく感じました。筆者の別の著書は人物を深く描いているものもあるので、本書はハードSFに寄っていると思われます。
惜しむべくは読み飛ばしてしまった断片。そこを楽しめれば読後の感想も違った物になる気がします。いつかSF経験値が貯まったら、再読してみたいです。
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突如出現した太陽を取りま巨大なレンズと、そのレンズを創造した<ビルダー>とのファースト・コンタクトを描いたハードSF。社会情勢や登場人物たちの内面描写をあえて省略したことで、物語がコンパクトにまとまり圧倒的な疾走感が生まれている。ひとつの謎の解明が新たな謎へと繋がり最後まで飽きさせない構成も素晴らしい。
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私のようなSF初心者には、用語や理論が何の説明もなしにポンポン飛び出してくると云ったハードルの高さは痛感したが(これがハードSFなのか!)、それでも力強くスピーディーなストーリー展開に呑み込まれ面白く読むことが叶った。作者あとがきによると、この分野では使い古されている(らしいのだが、初心者には知るべくもなく)、異星人とのファーストコンタクトという題材を再度吟味して書き上げられたものだという。そういう意味でも、「今の」初心者向けとも言えるのでは。古典読むより、情報は新鮮かつ膨大だと思うがどうだろう。
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これまでの人生の中で全然SFは読んでなくて、それで今さらながらボチボチ読んでいこうと思い立つ。
異星人とのコンタクトを巡るハードSFな物語であります。いかにもハードSFらしい記述や内容は実は苦手であったりしますが、究極的に進化した異星人の「知」のあり様は非常に興味深く読みました。
「知」のネットワーク化により深まる他者への無関心。素晴らしく深淵なテーマになりうると思うので、このへんをもうちょっとじっくり描いてあれば非SFファンでものめり込めそう、などと感想を持つ。
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置かれた状況にどうしよう。
太陽が簒奪されるなんて考えたこともなかった。
主人公にいまいち感情移入出来なかったことだけが残念。