訳本であるが、源氏に初挑戦
2019/01/28 12:52
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
飛ばし飛ばしに訳本を読んでいた記憶があるのだが、源氏周辺のそれぞれの女性がどんな人だったの記憶もあやふや。これは、読んでいないに等しいということで、林氏の訳本で完読。改めて読んでみて、どうしてこの古典が日本の、ひょっとすると世界で一番の古典であると言われている所以が理解できた。ただたんに煌びやかな宮廷の絵巻物というだけでは1000年も古典の頂点としての地位を保つことはできなかっただろう。そこには、熟女源典侍、鼻が象のような末摘花、人違いで一夜を供にする軒端の荻、痛い女近江の君などのサブの登場人物がいきいきと描かれている事実があるのだと思う
和歌の解釈に格段の細やかな配慮を示している
2010/05/18 20:55
13人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
りんぼう博士による源氏物語の現代語訳の刊行がはじまりました。
第一巻では桐壺から若紫までを取り扱っていますが、橋本治による前代未聞の自由奔放訳をのぞけば、これまでに発表されたどの翻訳よりもフレキシブルな現代日本語を軽快に駆使して、なにやらりんぼう博士お手製の小説のような趣で語りだされています。
この本の二番目の特色は、類書と比較して和歌の解釈に格段の細やかな配慮を示していることです。頻出する歌のやり取りは懇切丁寧に噛み砕かれ、かゆいところに手が届くように本文の中で解説されているので、男女のひめやかな交情の裏の裏が手に取るように理会されるのです。
しかしなんですね、源氏という男はどうしてこれほど好色なのでしょうか。一七歳の男子はポケットの中の手がちょっとあそこに触れただけですぐにやりたくなると多くのインテリゲンチャが語っており、私自身の経験に照らしてもそれは半面の真理なのですが、この光の君は、そういう平均レベルをはるかに超え、二七歳になっても四七歳になっても超簡単勃起型の陰茎を常備していたに違いありません。
まだ年端もゆかぬ若紫をやってしまおうかと思いながら、やはりそれは早すぎると自制した嵐の夜の帰り道、その代わりにさる女のところへ忍び込もうとして門をたたかせるが誰も出てこないので、
朝ぼらけ霧立つ空のまよひにも 行き過ぎがたき妹が門かな
などというシュプレヒコールを投げかけるというあたりに、この貴君子の本領が発揮されているような気が致しますが、はていかに。異常なまでの好色を追及した男が、その好色の咎で手痛い復讐受け、終生癒されぬ苦悩のうちに世を去るという因果応報の手の込んだプロットの裏側に、この偉大な文学者の、男って所詮はどうしようもない奴というねじれた心情が隠されているようです。
♪鶯の囃し疲れて休むかな 茫洋
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何度読んでも源氏物語はすばらしい!
しかし、いってはならぬが雑魚キャラとの夜が浅はか過ぎて、でも文章量は多くて、
2巻以降を買いたいという気持ちになるかは不明。。。
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文章がかなり平易になってて、頭に入りやすい分、「若紫」の回での源氏の変態度が際立ちすぎる。なにをやってるのかがわかりすぎてしまって…。
どちらかといえば時代も時代だし、彼の背景鑑みれば源氏のあれに関しては擁護派なんだけど、それでも擁護できないぜコレwと苦笑したとかしないとか。
考えてみると、男性の訳文源氏は始めて読んだのかも知れない。円地源氏や瀬戸内源氏とは、だいぶ違う印象を受ける。
男性が描いた「源氏」的には、窯変源氏物語があるし、あれはちょっと比べようがないほどにすごいし大好きだけど、それともかなりちがう印象は受ける…まぁ橋本さんのは純粋な訳ではなくて、むしろ解釈なんだろうけど。
とりあえずまぁ……源氏物語という物語が面白くなるのは、まだまだ先の巻ではあるよなー。うん。
追記。
「夕顔」のところで、源氏が夕顔に正体を明かした際の夕顔からの返歌を「理解しがたいし、下手な歌だけど急なことだし多めにみてやろう」的な源氏の反応は、他源氏物ではみられない反応なんだけど(むしろあの返歌は「見事」な部類ではないだろか?)コレは夕顔がお好きらしいリンボウ先生感?おっとりと従順な娘が、男を苦笑させかねないような「エスプリのきいた」歌を返すなんて、考えたくないということ?
製本と、祖父江さんのレイアウトが絶妙で素晴らしいなぁ。これはおそらく編集者の意図通りの効果があると思う。
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林望先生は、リンボウ先生という愛称で親しまれています。
原作の「源氏物語」を正確に味わいながら、
現代小説を読むような感じですらすら読めます。
これまで現代語訳を手掛けたのは、
与謝野、谷崎、円地、田辺、寂聴という作家たちですが、
ここまで噛み砕いた文ではありませんでした。
一巻は、桐壺 帚木 空蝉 夕顔 若紫を収録しています。
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リンボウ先生の愛称で知られる林望先生の作品。原文を重視した逐語訳的な現代語訳ではなく、「謹訳」の『源氏物語』。壇ふみさんは【推薦の言葉】に次のように記している。
《「名訳」と謳われる「源氏物語」は数あれど、「謹訳」はその範疇には入りません(多分)。だって、これはどう考えても小説なのです。しかも、とびきり面白い。つねづね、源氏はとんでもないヤツと睨んでいましたが、リンボウ先生の目は、源氏の魅力にもくらんでいません。いやはや、面白い!》と。つまり、『謹訳 源氏物語』は現代語訳ではなくて、『源氏物語』を素材にした翻案小説に近い作品だと。
また著者は、現代語訳ではなく「謹訳」とした理由を、《題して「謹訳源氏物語」としたのは、原典の持つ深く豊かな文学世界を、忠実謹直なる態度で解釈し味わい尽くして、作者の「言いたかったこと」を、その行間までも掬い取りたいという思いを込めたのである。それは、私の古典学者としての責任である。その上で、面白くどんどん読めてしまう自然な現代語で表現するのは、作家としての責任である。》・・・と述べている。
これは一つひとつの言葉を現代語に置き換える逐語訳ではなく、平安時代の言葉で書かれた『源氏物語』という物語であるということを念頭において、この物語の流れを今の言葉で映し出しているのだ。それでありながら、『源氏物語』のイメージが大きく崩れることなく映し出されている。名文家として名高い林望先生だからこそなし得る、まさに面目躍如たる作品であり、『源氏物語』の翻案作品として、新しいモデルが登場した。
【各巻の内容と刊行予定】
一巻(桐壺 帚木 空蝉 夕顔 若紫)2010年3月
二巻(末摘花 紅葉賀 花宴 葵 賢木 花散里)2010年4月
三巻(須磨 明石 澪標 蓬生 関屋 絵合)2010年6月
四巻(薄雲 朝顔 少女 玉鬘 初音 胡蝶 松風)2010年10月
五巻(蛍 常夏 篝火 野分 行幸 藤袴 真木柱 梅枝 藤裏葉)2011年1月
六巻(若菜上 若菜下)2011年4月
七巻(柏木 横笛 鈴虫 夕霧 御法 幻)2011年7月
八巻(匂宮 紅梅 竹河 橋姫 椎本 総角)2011年10月
九巻(早蕨 宿木 東屋)2012年1月
十巻(浮舟 蜻蛉 手習 夢浮橋)2012年4月
(出版社レビュー)
全54帖の完全現代語訳、全十巻刊行予定。本シリーズは、すべて書き下ろし。一巻は、桐壺 帚木 空蝉 夕顔 若紫を収録。
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初めて源氏物語を若紫まで読んだー!
どうにものめり込めないのは、謹訳だからなのかなー、作品自体は面白いはずなのだけど・・・。
源氏はニヤニヤしてほしくない、な、とか・・・。
他の現代語訳も読んでみたい。
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噂どおり読みやすい訳でした!!
すらすら読めるものの品の良い文章なので、心地よかったです。
あまりに読みやすいものだから、ついつい光源氏の言動に現代感覚でツッコミを入れてしまう自分が・・・お前、「前世からの因縁」って言葉を一体何人の女性に言えば気が済むんだ!とか(笑)
それにしても古典の授業やマンガなどで「源氏物語」は結構知った気になってたのですが、細部を全然知らなかったことに気付かされました。
この巻は「桐壺」から「若紫」の章が収録されてますが、「桐壺」「夕顔」「若紫」の章は大体知っていたものの、「箒木」「空蝉」の章はほとんど知らず新鮮でした。
特に空蝉という女性のエピソードが面白かったです。空蝉は光源氏に言い寄られたものの、頑なに会うことを拒み、結局手紙のやりとりだけで去っていってしまうのですが、光源氏にも落とせなかった女性がいるのかと思うと、なんかニヤリとしてしまいます(笑)
他にも源氏が紫の君を自分の屋敷に連れて行く方法が誘拐っぽくて衝撃を受けました。昔読んだマンガにはそんな描かれ方はしてなかったので。
まぁ、我ながらかなり俗っぽい穿った見方で読んでしまったような気がしますね・・・。
この時代は、男女が接する機会があまりなく、男は女に、女は男にそれぞれ幻想を抱いてるような感じがなんとなく伝わってきました。
しかしそんな男性目線な物語を女性である紫式部が書いてるというところに面白さを感じます。
前々から源氏物語に興味はあったのですが、現代語訳にしてもなかなか全部を読む機会はありませんでした。でもこれを機に林望訳を全部読んでみたいと思います。
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思った以上に読みやすかったです。かといって内容に省略があったり、文体が崩れていたりということもなく、上品な雰囲気で非常によかった。見開きやすいという装丁の工夫も良。しかし価値観が違うのだとわかってはいても源氏は気に食わんな(笑)。君をいかで思はむ人に忘らせて問はぬはつらきものと知らせむ(あなたに、なんとかして好きな人に忘れられるという経験をさせたい。そうしたら、来てくださらないのがどれほど辛いかお分かりになるから)いやはや、まったく。
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初めてここまで読んだ~
読み易かった\(^o^)/
それだけでうれしい。
特に和歌、漢詩に説明があって、とっても読みやすい~
源氏のイメージなんて、イケメンだけだったけど、
ここまで読むと、源氏がぐっと近づいた感じだ。
遊びまくりのおぼっちゃま!でも、
なんだか憎めないのは、イケメンだからでしょうか?
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初めてかの「源氏物語」を開いて読む。あの物知りで日本文化に造詣の深いインテリ、リンボウ先生が書いたというのでその気になったという次第。とりあえず、林望訳「謹訳源氏物語」第一巻を読んだというわけだ。
物語中に出てくる短歌はともかく、ほぼ完全な現代語訳と云っていいだろう。判りやすく読みやすい。原文対訳方式ではなく、すらすらと現代語訳だけの流れなので古典の言い回しを気にすることもない。これまで源氏物語くらい日本人として一度は読んでおきたいとは思いつつ、玉石混交と云えるほどにピンキリの現代語訳本があって、やはり重たい古典文を引きずったような現代語訳版にはとてもではないが敷居が高かったわけだ。まあ、軽い読み物に仕上げてあるという感じとは云え、それはそれ、内容は原典に沿っているわけで逸脱しているものでは決してない。これぞ待望の源氏物語とでも云えようか。
まだ十巻のうち第一巻を読んだだけだが、源氏の女性攻略法、女との微妙な駆け引き、当時の文化風習など、実に興味深い話がつぎつぎと出てくる。とりわけこの第一巻の「帚木(ははきぎ)」編で男同士が女性論を戦わす場面、女性が書いたものとは思えないほど男の本音やら願望やらの描写がなかなかに本質を突いていると云えそうだ。まったく現代でもそのまま通じる女性論と云っても差し支えなく、ほんに話に聞くとおりにすごいオナゴと云わねばなりませんですぞ、紫式部という女性は。
それにしても、物知りリンボウ先生が源氏物語にまで手を染めるとは、よくもまあ筆達者な人と云わなくてはなりませんなあ。全十巻、この際一気に読んでしまおうかというところだが、上手く図書館から借り出しができるかしらんね。
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課外活動長寿イベント、現代語訳で読む源氏物語の会、略して源氏会もついに最終回を迎えました。
紫式部の人物描写力は奥ゆかしく、一見するとどの姫君も同じように思えてしまいますが、行動や選択でしっかりと彼女たちの生きざまを描きわけています。
日本人として、ありきたりになりがちな恋バナのスパイスとしても必読本。
2月までに読んでいただければ、ともさん企画の源氏会京都旅も行けちゃいます。
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逐語訳ではない『源氏物語』。
読みやすい。
短歌の解説はていねい。
「雨夜の品定め」は、後の登場人物たちの布石とするためもあるのだろうが、結構長くて冗漫だった。ただし、これは林望訳の責任ではない。
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+++
■古典学者であり、作家である林望氏の畢生の大作、ついに刊行開始!
原作の『源氏物語』を正確に味わいながら、現代小説を読むようにすらすら読める。
「名訳」を超えた完全現代語訳が、ここに誕生。
■装訂は林望氏
装訂には、「コデックス装」という装本スタイルを採用。どのページもきれいに開いてとても読みやすく、平安から中世にかけて日本の貴族の写本に用いられた「綴葉装」という奥ゆかしい装訂を彷彿とさせる造り。
■各界絶賛!
「新しい読み方の出現」――黒井千次氏 「いやはや、とびきり面白い!」――檀ふみ氏
■全54帖の完全現代語訳、全十巻刊行予定
本シリーズは、すべて書き下ろし。
一巻は、桐壺 帚木 空蝉 夕顔 若紫を収録。
+++
原文の趣を損なわずに現代語に置き換えて、現代小説を読むように読ませる、という趣旨である。たしかに読みやすくすらすら読める。でも、いっそのこともっと一足飛びに完全に現代風の口語で書かれていたらもっと面白かったかも、と思わないでもない。いまの日本の世の中では顰蹙ものの男女のやり取りの実態や、屈折したナルシストの光源氏が、どんな言葉で嘆いたり口説いたりするのか、ちょっと興味があると思うのはわたしだけだろうか。別のところにも興味が飛んで行く一冊である。
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リンボウ先生が描く源氏物語が完結したと知り、早く読まなきゃと思いつつ、長編なので始めるのをちょっと躊躇してました(笑)
だって全十巻もある・・・
第一巻は、桐壷・帚木・空蝉・夕顔・若紫。
丁寧な解説が本文中に入り、癖がなくわかりやすい文章です。古文特有のまわりくどさもないし。
そのあたりが、小説家というより学者さんの描かれた訳本だなあと感じました。
特に和歌に対する扱いが丁寧で、解釈から技法までちゃんとわかるように説明してくれているのです!
それから、この巻で個人的に気にいったのは空蝉の章。
二度目の逢瀬に失敗した後の源氏と空蝉の文のやり取りでの空蝉の巧さがいいし、冷静を装った源氏が実は振り回されてたり、伊予の介が上京し引見したときの源氏のうしろめたさとかまだ源氏の幼さが表現されててとてもよかった。この後どんどん憎らしいヤツになるからね。まだまだかわいい源氏がほほえましかったです☆
2巻以降も楽しみ。ゆっくり読もう。