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江戸時代、女性から離婚を申し出るのが難しい時代の駆け込み寺の話。
短編でそれぞれに事情を抱えた女性が出てくるが、その事情が笑える話。
読んだ後に何も残らない話の短編集でした
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確かに女性は強い、でもやはり不条理が多い気がして純粋に楽しめなかった。強くならざるを得ない、夫側のダメさのような感じ。
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かけこみ寺に駆け込むにも、作法がある。その作法、江戸時代にどんな風に広まっていったのだろう。
駆け込み寺に入るには、手続きが必要だ。その手続きを担う門前の宿。情を「なさけ」と読むか「情」と読むか。それ以上に細やかな気遣いがあり、人情がある。
したたかなのは男なのか女なのか。踊らされているのは、いったい誰なのか。
人という字は、人が一人ではなく他人と寄りかかるように助け合って生きている形を表わしている、と聞いたことがある。駆け込んで、切れる縁もあれば、つながる縁もある。これもまた人の世の常。
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江戸時代の史実に基づきながら、古くからの男尊女卑社会においても様々な救済の仕組みがあり、女性たちがそれを利用していかに逞しく生きていたかということがわかる本だった。
人間模様がリアルで、江戸時代バージョンのゴシップ雑誌を読んでいる感覚だった笑
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2010年4月に亡くなられた井上ひさしさんの遺作
単行本は 2010年11月に出版
鎌倉の「かけこみ寺」東慶寺の御用宿の居候が語る話15編
女性の名と季節の花を織り込んで江戸時代を写し取っている
それぞれ興味深い話だけれど
どの人物も独り立ちしてるなあと
あとがきで作者が「江戸時代から女性は十分強かった」
そう書いているが
うーん、そうならざるを得なかった時代背景
妻から離婚を要求するのも命がけだった
東慶寺の院主様が痛快だった
≪ 境内の 花と季節が 巡り来て ≫
≪
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ひと月前に読了、感想を書けてなかったので備忘録程度に。
映画を随分前に観て、今回読んで、また映画を観ました。別物なのですが、粋な時代だったんですね。
自分の身につけているモノを境内に投げ込んだら、追っ手に掴まれていても駆け込み成立だなんて、今の時代だったらあり得ない。
お話としては映画の方がお吟さんと堀切屋のお互いを想う気持ちに心打たれました。
そして、季節ごとの描写が美しく、それぞれの花が気になって調べてみると季節感のない自分の生活に少し反省です。
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まさに名人芸のような井上ひさしさんの遺作。素直に面白いと思いました。
本書は「縁切寺」と呼ばれた北鎌倉の東慶寺が舞台。妻の側からの離婚が難しい時代、寺の境内に身につけているものを投げ込めば、駆け込みは成立。そして駆け込み人が東慶寺で24か月過ごせば、夫は絶縁状を書かねばならないというシステム。井上さんは、このシステムを女性のためのアジール(聖域)として「素晴らしい発明」と評しています。井上さんは居を鎌倉に定めていることもあり、東慶寺を愛しているのでしょうね。楽しんで書かれたのがわかる作品となっています。
本書は「オール讀物」に1998年から足かけ11年にわたって連載された全15話をまとめた短編連作集。全編を通じての主人公は中村信次郎。医者の見習いから転じた新米の戯作者。信次郎は縁あって身を寄せた東慶寺の御用宿「柏屋」の布団部屋に篭って、創作に苦しんでいます。一方では柏屋の番頭手伝いと駆け込み審議の書記を任せられています。本書は15人の駆け込み人と中村との交流、駆け込みの顛末を1話完結で描きます。
本書のすごいのは1話1話の起承転結がはっきりと描かれていて、まるで落語の人情噺を読んでいるようです。話の展開はミステリー仕立て。それぞれにひねられたオチが準備されています。
また、鎌倉の自然、地理が描かれていて絵画的な作品です。
個人的には読み終えるのがもったいないような作品。ただ、時代小説ですので趣味に合わない読者もいらっしゃると思います。最初の1編が趣味に合えば、たぶんハマるのではないかと。
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井上ひさしの連作時代小説『東慶寺花だより』を読みました。
ここのところ、時代小説が続いています… 井上ひさしの作品は、6~7年前に読んだ『井上ひさしの日本語相談』以来なので久し振りですね。
-----story-------------
江戸の離婚は現代の二倍?
寺の境内に身につけているものを投げ込めば、駆け込みは成立する――。
離婚をのぞみ、寺に駆け込む女たち。
夫婦のもめ事を解きほぐすと現れるのは、経済事情、まさかの思惑、そして人情の切なさ、温かさ。
鎌倉の四季を背景にふっくらと描かれる、笑いと涙の傑作時代連作集。
十年の歳月をかけて書きつむいだ感動の遺作。
著者自身による特別講義を巻末に収録する。
原田眞人監督、大泉洋、満島ひかり出演で『駆込み女と駆出し男』という題で映画化。解説・長部日出雄
<東慶寺にはどんな女性が、何人駆け込んだか。正確にはわかりませんが、江戸後期までに少なくとも3千人と言われています>(井上ひさし「東慶寺とは何だったのか」より)
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1998年(平成10年)から2008年(平成20年)に、文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に発表された作品… 女たちの「駆け込み寺」を描く、涙と笑いの人情譚、井上ひさしの遺作となる作品です。
■梅の章ーおせん
■桜の章ーおぎん
■花菖蒲の章ーおきん
■岩莨の章ーおみつ
■花槐の章ー惣右衛門
■柳の章ーおせつ
■蛍袋の章ーおけい
■鬼五加の章ーおこう
■白萩の章ーおはま
■竹の章ー菊次
■石蕗の章ーおゆう
■落陽の章ー珠江
■黄蘗の章ーおゆき
■蓼の章ーおそめ
■薮椿の章ーおゆう
■特別収録 東慶寺とは何だったのか 井上ひさし
■「東慶寺の本棚」
■解説 女性は江戸時代から強かった 長部日出雄
井上ひさしが十年をかけて紡いだ、感動の遺作! 江戸時代、女たちが不幸な結婚から逃れるための「駆け込み寺」であった鎌倉の東慶寺… その門前に建つ御用宿の居候で、戯作者志望の青年・中村信次郎の目を通し、救いを求めて寺に身を寄せる女たちの物語が描かれる、、、
駆け込む理由はどれもこれも一筋縄ではいかなくて… ただ虐げられるばかりではない、怒り、抵抗し、許し、受け入れる。
夫婦のもめ事を解きほぐすと現れるのは、経済事情、まさかの思惑、そして人情の切なさ、温かさ… 名もなき人々の弱さと強さを優しい視線で見つめた井上文学の到達点とも言うべき、静かな感動に満ちた連作短篇集。
駆け込みという言葉から連想される暗さはなく、ほのぼのとした温かい気持ちにさせてもらえる物語でした… 落語の人情噺のような印象の作品でしたね、、、
ミステリ的な要素もあり、駆け込み至った謎を解いていく愉しみもあったし、エピソード毎に鎌倉の四季折々の美しい情景が浮かんでくるような展開も良かったですね… 個人的には、『柳の章ーおせつ』や『蛍袋の章ーおけい』でイイ役どころを演じている仁八そばのトラばあさんが良かったなー
当時の女性は男性に虐げられていたという勝手なイメージがあったのですが、東慶寺へ駆け込んだ女性は三千人と言われており、再婚率は80%だったそうですし、自分で稼いで、自分で生きていく力をもっていて、女性もやられっぱなしじゃなかったようですね… 著者自身による特別講義は、歴史の勉強になりました。
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離婚を望む女が駆け込む寺での様々な事情を描く短編連作集。駆け込み寺、三行半などの言葉は知っていてもこのような寺が実在することすら知らなかったので、これは作者の創作された設定かもと思うほどよくできている仕組みだなぁと。中盤くらいまでは面白く読み進めたが、後半は話の筋立てにやや無理があったりで長く感じるものもあった。主人公が医者の心得があり、小説を書くという設定かもを活かした章をもっと読みたかった。作中で書いた本は結局どうなったのだろうか。東慶寺とは関係なく主人公の話を読みたい気持ちになる。
巻末の「東慶寺とは何だったのか」も中々興味深く読ませていただきました。やはり女性は働き者で強いですね。