留学する人への一冊
2004/09/26 18:15
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Masa - この投稿者のレビュー一覧を見る
この著者、アメリカの大学に呼ばれるほどの数学の才能をもち、
英語でネイティブの学生に講義をし、
読者をあきさせないこんなエッセイをかけるほどの表現力をもってます。
こんな嫉妬するほどの才気あふれる人でも、若いころは傍からみると
何でもないようなことに、苦悩したり、一喜一憂する様をみて
応援したくなりました。また、数学者ってこんなことで落ち込むのかとか、
アメリカの学者の習性なんかも垣間見れ、最後まで一気に読み終えました。
これから留学を考えている人は、この本から勇気がもらえるかもしれません。
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投稿者:North Shin - この投稿者のレビュー一覧を見る
『若き数学者のアメリカ』は、とても刺激的な本です。
インターネットなどもない時代に、アメリカにわたり、アメリカの大学で
研究や教育をした体験談です。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MFTR - この投稿者のレビュー一覧を見る
数学者(大学教授)の目を通したアメリカ人の観察記録ともいえる本である。著者の専門は数学で、本書の舞台は旅行途上のホテルや職場であるキャンパスなのだが、そこでの日常の出来事をつづっただけで、ある種の文化論のようになってしまうのは、著者の鋭い感性によるものなのであろう。文章も非常に読みやすく。出来る人は違うのねと感心。
「ネタバレ」 アメリカでの研究・教育生活が、情緒的に書かれている
2015/03/21 13:36
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投稿者:osozakisugakusha - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、著者が若いころに、ミシガンの大学に招聘されて飛行機でアメリカに向かうシーンに始まり、精神的な葛藤を含む様々な経験が情緒的に語られている。アメリカへの対抗意識や、アメリカ人が日本人である自分に敵意を持っているあるいは馬鹿にしているのではという被妄想的な心情によって精神を病んでいく苦しみが、フロリダへ行ったことで解消されてから、コロラドへ移り、教員として授業や教授会で様々な場面に遭遇する様子が、著者の日常生活とともに情緒的に描写されている。
アメリカで暮らす日本人としての著者なりのアイデンティティを確立し、より良くアメリカを(好意的に)理解するようになってから日本へ帰国する際の心情を綴った情景描写は、圧巻である。
ともかく面白かった
2006/07/15 01:42
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
1 ハワイ——私の第一歩
2 ラスヴェガス I can’t believe it.
3 ミシガンのキャンパス
4 太陽のない季節
5 フロリダ——新生
6 ロッキー山脈の麓へ
7 ストラトフォード・パーク・アパートメント
8 コロラドの学者たち
9 精気溢るる学制群像
10 アメリカ,そして私
1943年(満州国)生まれ。新田次郎(作家)と藤原てい(『流れる星は生きている』)の次男。東京都立西高等学校卒業(62年,19歳)。東大理学部数学科卒後,同大大学院修士課程修了。東京都立大学理学部助手(68年,25歳)。ミシガン大学研究員(72年,29歳)。理学博士(73年,東大,30歳)。専門は数論。数学分野なのに,数論ってなに? コロラド大学助教授(73年)。お茶の水女子大学理学部数学科助教授(76年,33歳)。同教授(88年,45歳)。同付属図書館館長兼任(00年)。本書は,第26回日本エッセイストクラブ賞受賞(78年)。 著者が茶大在就職直後に刊行した作品(34歳)。作家夫婦の子に生まれると,随筆刊行の機会もめぐってくるという好例。
石油危機直後の合衆国の大学における留学・就職・従業体験記。当時の為替だけ考えても,やっぱ東大生は恵まれてるなぁという印象を禁じえない。しかし,まぁ東大なので仕方がない。しかし,なぜ東大で博士号を取得したのだろうか? どうせなら,当時在籍していたミシガン大学でとっていてよさそうなものなのに・・・・。たとえ女子学生だといっても,どうせ最近の茶大生なんて,普通の女子高生がそのまんま大学生になったようなもんだろうから(といってもうちの大学なんかよりいいのかな?),羨ましくはないが,奥さん(美子『子育てより面白いものが他にあるだろうか?』)は美人らしい。これは羨ましい。
エッセイストクラブ賞を受賞する価値があるかどうかはわかりませんが,ともかく面白かったです。昔っから読んでみたかった本なので,納得しました。(814字)
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以前、海外で数年間生活して帰国した方から、はじめて
の海外の生活では誰もがノイローゼ状態を味わうと聞き
ました。この本では、まさしくそのことが著者の実体験
に基づき描かれていました。
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オヤジの書棚にあったので読んでみたら面白かった。文才のある数学者って。。。さすがに父に新田次郎氏を、母に藤原てい氏を(といってもこちらのお母様の方は私は良く知りませんが)持つ生まれだというかんじか。無論、氏が良くものを見、聞き、お考えになっているからこそ、体験を人が興味深く読めるレベルで語れるのであろうが。
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若き日にアメリカに渡った著者が感じた、当時のアメリカや日本のお話。一種の紀行文のようなものと考えると、けっこう面白かった。
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優秀な若手数学者だった彼が渡米し,アメリカでの生活とその葛藤を描いたエッセイ.描写の綺麗さと藤原正彦一流のユーモアが随所にちりばめられた一冊.読んでいて考えさせられることがいっぱいあった.
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一番印象にのこったのはここでした.
「人気者でありながらも,誰からも好かれながらも淋しかった
原因,それは愛の心を持たなかったためだと思った.
それがいかなる愛であろうと愛なしで人間は人間であり得ない.
人間はその心の最も奥深い部分を通わすことのできる「何か」が
必要だ.その「何か」は人でも物でも何でもよい.それが愛
なのではないだろうか.私は思った」
藤原先生がアメリカに長く住む中で色んな人と出会い,そして
愛に触れ,最後には真の意味でアメリカ人を好きになったと
書いてらっしゃることは,はじめの文章から想像もしなかった
けれどここに共に生きていく中での愛の重要性がめきめきっと
表れてるなあと感じました.
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「国家の品格」の著者の藤原正彦さんの
若き日のアメリカ滞在記。
数学大嫌い、数学におぞましき思い出しかない私は、
数学者というのは、頭の中が数字で埋まっている、
心からご尊敬申し上げるが、
まったく硬い、論理的な発想でものを考えるのだろう・・・・
というような、勝手な印象があった。
日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士道精神であるという「国家の品格」で、ちょっとちがうなとは感じていた。
そして、この若き日のアメリカ滞在記は、より文学的な、泥臭い人間的なにおいがしたのだ。
彼は、理性と欲望のはざまで行動し、
悩み、つまずき、はまり込み、
妙に哲学的で(哲学的って具体的にどういうこと?
とつっこまれると、アハハ、イメージでもの言っているだけで
そんな感じというだけ・・・)さえある。
彼は、まさしく作家の血を受け継いでいると感じたのだ。
これは全く数学者ではなくて、文学者の本だ。
あの、お顔、髪型からして、若い青春時代があったのかしら・・・(失礼)
と思ってしまうが、今から30年以上前、ミシガン大学に研究員として招かれ、難関を乗り越えてコロラド大学の助教授となる。
冬のミシガンで孤独に苛まれ、不安、コンプレックスに彼の心の奥深くが病んでいった様子が、雪と一緒に語られる。
そして、フロリダでの転地で元気を回復し、
アメリカを愛し、その上でアメリカを、再び冷静に見つめていくことになる。
「国家の品格」はこの導線があったのだな・・・・
と思った。
続いてイギリス版も読んでみたい。
お父さんの遺作も出筆中と聞く。
こちらも完成するのが楽しみだ。
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物語のような文章と、普通知られたら赤面もの(笑)なところも書き出されているからか、体験記なのに小説のように読めます。若き日の藤原さんにとても好感が持てました。
数学で認められたり人に好かれたり…ってなんて羨ましい
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一昔前のベストセラーらしいが,正直前半は面白くなかった.著者の内面的な葛藤(しかもグジグジしている・・)の話ばかり.が,後半は雰囲気が一転し,タイトルから期待される通りの追体験を楽しめる.
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「国家の品格」の著者の藤原正彦さんの若き日のアメリカ滞在記。 数学大嫌い、数学におぞましき思い出しかない私は、数学者というのは、頭の中が数字で埋まっている、心からご尊敬申し上げるが、まったく硬い、論理的な発想でものを考えるのだろう・・・・というような、勝手な印象があった。 日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士道精神であるという「国家の品格」で、ちょっとちがうなとは感じていた。 そして、この若き日のアメリカ滞在記は、より文学的な、泥臭い人間的なにおいがしたのだ。 彼は、理性と欲望のはざまで行動し、悩み、つまずき、はまり込み、妙に哲学的で(哲学的って具体的にどういうこと?とつっこまれると、アハハ、イメージでもの言っているだけでそんな感じというだけ・・・)さえある。彼は、まさしく作家の血を受け継いでいると感じたのだ。これは全く数学者ではなくて、文学者の本だ。 あの、お顔、髪型からして、若い青春時代があったのかしら・・・(失礼)と思ってしまうが、今から30年以上前、ミシガン大学に研究員として招かれ、難関を乗り越えてコロラド大学の助教授となる。 冬のミシガンで孤独に苛まれ、不安、コンプレックスに彼の心の奥深くが病んでいった様子が、雪と一緒に語られる。そして、フロリダでの転地で元気を回復し、アメリカを愛し、その上でアメリカを、再び冷静に見つめていくことになる。 「国家の品格」はこの導線があったのだな・・・・と思った。 続いてイギリス版も読んでみたい。お父さんの遺作も出筆中と聞く。こちらも完成するのが楽しみだ。
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藤原氏は数学者であるが非常に文章がうまい。
数学自体にはほとんど興味がなかったが、「国家の品格」が評判になっていたので(そっちではなく)この本を読んでみた。
もともとエッセーが好きだったのと、自分が数年米国生活をしたことも手伝って、非常に楽しく読めた。
その後、小川洋子さんが、私の大好きな「博士の愛した数式」を書くにあたって取材をした数学者が藤原氏であることを知り、ますます藤原氏にはまり、そこから山本夏彦氏にもはまっていったという記念すべき(?)一冊。