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見落としてはいけない、沖縄陥落以降の北方守備隊の話。あり得ない召集にもかかわらず前向きな主人公たちに胸が痛む。
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特に意図していたわけではないのですが、8月15日を前に読了しました。
フィクションだと分かっているのに、本を閉じてしばらくは小説世界から抜け出せずにいることもしばしば。やはり浅田次郎、上手いなあ。
45歳にして召集されるサラリーマンの夫とその妻、年老いた母と応召兵士の息子、集団疎開の息子とその帰りを待ちわびる母、内地勤務を拒否して部隊の転地に追随し戦火の満州に後妻を残してきた老士官。家族は互いの身を案じてその無事だけを心から願い、情報が伝わらないことへの不安と苛立ちに堪えながら日日を過ごす。たまたま同じ防空壕に居合わせた相手でも男は身を挺して女性や立場の弱い者を守ろうとする。
立場上声には出せない人たちも含め、生きていた人が皆待ちわびた8月15日の終戦。しかし極北の孤島では束の間の安息を破り再び戦闘の口火が…。
69年前の夏を生きた、今の私たちとなんら変わりない市井の人びとの心持が克明に伝わり、本屋店員さん風に言うと何度も目頭が熱くなりました。
戦争をしてはいけない。実際にその時代を生きた人が繰り返してはならないと言うのだから、それ以上の真実はありません。
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1945年の終戦間近になりながら、本土決戦に向けた準備をする。歴史として知っていることはわずかばかり、知らないことの中に多くの物語がある。上巻では急遽召集された編集者の片岡、医師の菊池、いったんは除隊した鬼熊軍曹がであって北の地へ向かうまで描く。切なく悲しい物語は淡々と力強さをもちながら進んでいく。
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太平洋戦争終戦直後の北海道における、悲劇的な残戦を描く浅田次郎の大作。
静かな序盤から、少しずつ哀しいラストへ向かう雰囲気・臨場感と焦燥感に圧倒され、要所要所での登場人物たちの誇りや生き様の魅力に当てられ、手が止まらない。
書き口も、読み易いながら程よく詩的で、哲学的で、情緒もあり、ストーリーと相まって印象的なシーンは多い。
なにより多くのことを考えさせる、決定的な訴求力がある。小説の力を感じる傑作だと思う。
5+
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【ナツイチ】今年は戦後70年という節目の年に当たる。全3巻を終戦記念記念日まで読み終えたいと思い読んだ。戦争の背景から伝わって来るもの、当時の時代背景、手紙の内容から見える心情、登場人物の背景、人となり、家族の心情などが描かれているのが良い。千和が不遇で居た堪れない気持ちになってしまう。被爆国であり、集団的自衛権や安保法案などで揺れている現状を思い浮かべながら読み進めていった。やはり、根本的な気持ちは戦争反対であり、もうこれ以上戦争は起きて欲しくない気持ちが強いと思う。先がどうなるのか「中」へ。
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この話は、第二次世界大戦末期の最北の島「占守島」の話。
いろいろな立場の人が出てきます。
東京でこの戦争の作戦をまとめている軍人、
東京で働いていて召集されるはずがない45歳の翻訳家、
そして焼け野原に唯一残った近代的なアパートに暮らす妻
父の召集を知り疎開先から脱走した息子と
道を共にした女の子。
二人の疎開先の先生。
二人と夢を介して出会ったロシア兵。
何度も召集されてその度に話を盛り立てられて金鵄勲章をもらった指のない軍人、
召集される人々のため病気を偽って申告し続けた医者、
体が小さくて戦車に乗れない少年兵とそれを教育する老兵、
大本営から終戦の際に立ち回るために占守島にやってきた参謀
などなど
本当にたくさんの人が登場する。
そして最後にはそのほとんどが死んでしまいます。
その死はなんだかとてもあっけない。
終わらざる夏を読んで、
一番に思ったことは
信じていること、想ったことに関わらず
運命が定められた人生が
あの時代にはいくつもあった、ということ。
日本だけじゃない。ロシアだけでもない。
たぶん、戦下ではみんなそう。
戦う理由がわからない。
でも戦わなくては殺されてしまう。
そうお互いが思いあって
言葉を交わしてわかり合う暇もなく殺しあう。
銃を撃つそれぞれの個人は、
相手に家族があることも、ましてや命があることも
お互いにわかっているのに、
戦局のために戦う、殺しあう。
何でもあって安全で自由な現代を
あの戦争で死んだ人たちに見せてあげたい。
この時代に生まれついていれば、
きっとあなたも選ぶことができただろうね。
そして本来はあなたもそうあっていいはずだった。
言葉が通じていれば、わかりあって
殺しあう必要なんて何もなかったはずなんだ。
よく、お国のためにって戦って死んで行く日本兵の映画があるよね。
でも、それは洗脳されていたわけではなく、
心の中にある生きることへの気持ちを
お国のためって言葉で押し隠すために
誰かが言い始めて、広まったんじゃないかなと思った。
何かのためにという理由がないと戦えなくて死ねないから。
命を投げ打って戦えないから。
本の中で、このあとの世界では
人々は戦争なんて愚かな行為はしないだろう。
この戦争でそのことを知るんだと書いてあったの。
きっとあの戦争に関わった人は
一人の例外もなくそれを望んだんだろうな。
こんなことはもう世の中から消える、
そのために今自分は死ぬんだと思って
たくさんの日本人や敵国の人々が死んだんだと思う。
それなら無駄ではないって。
でも、まだしてるよね。
もうすぐ70年になろうとしてるのに
今も地球上には戦争がある。
くだらないね。
愚かだ。
国防軍の話。
自衛隊は盾だと思うのです。
自衛隊の任務は戦うことじゃなくて
「守ること」
災害から人を守る
隣国の脅威から人を守る
もしものときに、攻撃から国民を守る
戦いを仕掛けられないというのは
日本が第二次世界大戦から得た宝物だと思う。
おかげで日本には戦争がないし
たぶんこれからもない。
日本人は戦争が勝っても負けても失うものしかないことを知ってるから。
戦う術がないというのは、それだけで平和への一歩を進んでることになるよね。
今の日本なら、戦後日本がしてきた世界貢献のことを考えたら
戦わない日本に対して戦争を仕掛けた国は
世界から孤立するだろうなと思う。
あの頃の日本とは違うから。
戦後、日本は武力で権力を得るのではなく
優しさで心からの信頼を得る方法を選んだ。
外国の人は決まっていうよね。
日本人はみんな優しいって。
終戦のエンペラー見ようと思います。
今年は終わらざる夏をきっかけに
終戦について考える夏にしよう。
#ブログのコピー
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太平洋戦争末期の話。
思っていたよりも穏やかな空気が流れている作中。
中、下巻でどうなるか。
このまま穏やかにと願うけれど、きっとそうはならないのだろうな。
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戦争に巻き込まれた人たちの哀しい物語。
たくさんの登場人物の視点から、戦争の悲惨さ、理不尽さをあらわした物語です。
千島列島の最北端の占守島の戦い舞台に、さまざまな視点から話が語られることでて、戦争の悲惨さを浮き彫りにする展開となっています。
沖縄戦の悲惨さをよく耳にしますが、このような最北端のそれもポツダム宣言受諾後の哀しい戦いがあったことを覚えておく必要があると思います。
上巻では、翻訳編集者の片岡、医師の菊池、傷痍軍人の鬼熊に赤紙がきて召集され、3人が占守島へわたるところが語られます。
赤紙を発行する側の思いと発行されたそれぞれの思いが語られています。
赤紙を受け取った側の思いの話はよくありますが、召集令状を発行する側のつらい思いも当然あるんですよね。
その辺が丁寧に語らることで、戦争の悲惨さが伝わってきます。
また、妻を満州においてきた戦車隊の段列長、さらには身長150CMの少年兵が軍隊に志願するまでの話などが語れています。
こうしたさまざまな人の生き様が下巻に向けてどうなっていくかがポイントになっていきます。
中巻に続く..
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暗い内容で気が滅入り、読む終えるまでに何ヶ月もかかってしまった。
入れ替わり立ち代わりそれぞれの立場の人間が語り手となっていく手法だったが、読みづらいと感じたときもあった。
占守島の戦いのことは全く知らず、たまたま聞いていたラジオ番組のゲストが著者で本書の紹介をしていたため、手に取った。
日本でこの戦いの知名度は低いが、教科書に載せても良いのではないだろうか。
結末は救いがなく、心が重くなった。
生き残った人々はシベリアに送られ、無事に帰国できたかどうか胸が痛い。
娯楽のための読書はすばらしいが、ときどき本書のようなジャンルを読むことは大事なことなのかもしれない。
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Amazonで評価が高かったので読んだが、まだ良いとは思えない。何より文体が読みづらい。東北弁や昭和初期の太平洋戦争前を扱っているので漢字も古いもので大変読みづらかった。このまま読み進めるかちょっと迷いどころ。
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H30.1.4-H30.5.5
1945年、夏。すでに沖縄は陥落し、本土決戦用の大規模な動員計画に、国民は疲弊していた。東京の出版社に勤める翻訳書編集者・片岡直哉は、45歳の兵役年限直前に赤紙を受け取る。何もわからぬまま、同じく招集された医師の菊池、歴戦の軍曹・鬼熊と、片岡は北の地へと向かった――終戦直後の「知られざる戦い」を舞台に「戦争」の理不尽を描く歴史的大作。
(感想)
舞台はすごくいいのですが、人物の設定、描き方がどうもつまらないと感じます。
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綺麗に書くなら戦争の悲劇が、汚く書くなら戦争のクソッぷりがよく分かる小説です。
年齢や身体の状況などで、本来であれば招集されるはずのない人々に、赤紙が渡され否応なく戦争に巻き込まれていくのです。
不意の招集に衝撃を受けるのは、兵士以上にその家族です。特にこれまで何度も招集に応じ、指を失っているにも関わらず、再び赤紙を渡された鬼熊とその年老いた母。二人のそれぞれを思う心情と、それに関わらず引き裂かれる場面は、戦争の理不尽さや不条理さを、改めて示していると思います。
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千島列島の先端、カムチャッカの目の前にある占守島でおこった8/15より後でのソ連との戦闘に材をとった小説。舞台は占守島だけでなく、出征する兵隊を見送った東京・盛岡や、疎開先の長野にわたる。群像劇仕立て。
直球勝負で好みの作風であり、題材も絶妙。ただ、やや器用さが先行したきらいがあるか。赤軍将校と疎開先の子供との夢幻的な交わりのところも面白い。こういうことができるのは小説ならでは。
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浅田次郎はお約束の「鉄道員」とごく一部の短編集を手に取ったほかはあまりこれまで縁のない作家であったのだが、ほかの多くの人と同様、「終戦後に北方領土に取り残された日本軍がいた」という歴史的背景に興味をひかれて読んでみることになった。
北方領土どころか当時の日本領の最北端、カムチャッカ半島のすぐ南、占守島(しゅむしゅとう)の日本軍は終戦の8月15日以降にソ連軍の猛攻を受け、これを撃退しながら、最期は武装解除されたらしい。この部隊に様々な背景を持った(多くは招集された一般市民が)集まってくる経緯が小説の多くの部分を占める。
大本営が策定する何十万人単位の本土決戦計画が各自治体に下達され、県庁、さらには村役場と降りてくる過程で召集令状の宛先となる個人名が特定されていくシーンは綿密な取材を想像させ非常に読ませる。
また、そうした応召兵だけでなく、満州の精鋭部隊も配置転換されてくる。彼らは行き先を知らされない。(激戦の)南方か北方か、まさかとは思うが本土帰還か。戦車がディーゼル型とガソリン型に分けられ、ガソリン型の隊員が「寒さに強いガソリン部隊は南方はない」とひそかに安どするシーン、港で防寒服を返納する命令がなく兵士たちが喜びにどよめくシーンは胸に迫る。
同時に作者は東京の留守を守る家族も丁寧に記述する。調布から京王線で新宿に通勤する人がいる。新宿の伊勢丹はにぎわっている。が、変電所を爆撃された京王線は新宿手前での折り返し運転となり、伊勢丹の壁には機銃掃射の跡が残る。このあたりの描写は「ついこの間の非日常」を読み手に強く意識させる。
物語終盤では、鉄道員さながらのファンタジーめいた展開が「さあここで泣いてください」とばかりに展開し、そういうのはちょっと、という人もいそうだ。というか私もその一人だったのだが、それでも作者の思い、メッセージは強く訴えかけてくる。浅田次郎は集英社の「戦争×文学」の編纂を担っている。「記録」ではない「記憶」を残そうという意思はこの小説にも強く表れているように思う。
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終戦まじかの市ヶ谷で大営からの隠密指示で終戦交渉に動きつつありその状況下で各戦地に英語通訳の派遣選定を進める。英語通訳の人選では当時45歳上限の赤紙発行対象に苦学で結婚し1男の子を持つ片岡の元に届く。矛盾を感じながら当時おめでとう!!と言われ言わざる得ない状況。。で戦地に赴く。