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楽しく読めました。
2020/01/16 17:21
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投稿者:satonoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
好みの問題かと思いますが、『鬼平犯科帳』のシリーズは、あまり好きではないのです。
非常に有名な作品ですけど。
『乳房』は番外編とのことなので、読んでみました。
なぜ『乳房』というタイトルにしたのかが明かされるのは、最後の数行になってからのこと。
小説上のこととはいえ、お松のような生き方もあることに驚きました。
場面の切り替えのうまい池上さんの、洒落た作品だと思います。
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全1巻。
鬼平犯科張番外編。
火付盗賊改方就任ちょっと前の鬼平と、
一人の女の人生の絡み合いの話。
剣客番外編の「ないしょないしょ」に近いのかも。
人情もの。
善人の冷たさと、
グレーな人達の暖かさ。
ただ。
題名が官能小説。
本編で少し話される
豆岩が登場します。
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『鬼平犯科帳』の番外編。
『鬼平』は至福の時間をくれる娯楽作品だ。
自分を捨てた男を殺したお松の人生を物語の柱に据えて、火付け盗賊改方に就任したばかりの鬼平を描く。
TVドラマでおなじみの密偵「小房の粂八」「大滝の五郎蔵」「おまさ」にはまだ出あっていない頃で、唯一「相模の彦十」が登場するのみの、まさに「駆け出しの鬼平」だ。
かつて愛した男に「お前は不作の生大根だ」とののしられた事からの女としての諦めと、その男を殺してしまった罪の重さとで 若い頃に我欲を捨てきったが為に、己ではそうと気付かずに 周りの人たちに救われ愛されるようになったお松。
そのお松の横顔を思い「女というものはまこともってしぶとく生きるものよ」と 夕餉でつぶやく鬼平の最後のシーンでは、やっぱり中村吉右衛門の笑顔が浮び、ジプシーキングスの「インスピレーション」が確かに聞こえて来たよ。
お蕎麦と岩魚の塩焼きで冷酒が飲みたい。
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若いうちに我欲を捨てきれたことで、幸せな結果となったお松。彼女の話と並行し、火付盗賊改方就任前後の鬼平を描くシリーズ番外編。12.4.7
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すーっと一気に読める小説が読みたくて,手に取りました。ちょっと前に古本屋で手に入れていた,鬼平犯科帳の番外編です。とにかく面白いです。解説で常盤新平さんが「この小説を読んだら,『鬼平犯科帳』をはじめから再読する読者がきっと多いことだろうとだけ最後に申し上げておく。」と書かれてました。確かに,ふつふつとそんな気持が湧いてきます。でも,仕事に差し支えるんだよなぁ。困りました。
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軽い気持ちで読んでみたら、まさかの鬼平犯科帳番外編ではないか!!
という驚きから読み始めた「乳房」
一冊短編だけど、お松というまぁ不幸な女が主人公なわけで。
美しいとは言えない外見、奉公している大店との確執
そして昔の男が言い放ったきつい一言。
そんな昔の男を殺してしまうのだけど、そこからお松がどんどん美しくなり、いろんな人と関わり合うにつれ
罪悪感がありつつもしあわせだなぁ〜みたいな。
まぁそんなお松の周りの人が盗賊であったり
鬼平と親しい人々であったり。
しかしなんて面白いんだろう。
お松が最後の最後、幸せになって良かった。
女は男次第、男は女次第
なんだそうです。
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鬼平犯科帳 番外編。
鬼平犯科帳を読み終えたので、次は?と考え、とりあえず、番外編に手を出した。
鬼平犯科帳シリーズ前の平蔵さんがいる。
面白かった。
若い頃から不幸だったお松。
辛い過去をたくさん背負いながらも、最後は、幸せになっている。
お松は、もともと、人に好かれるものを持っていたのに、若い頃は、それに気づかずに、居場所を探していたのだろう。
そして、人は、人で変わるものだ。
女は男次第。男も女次第。と、平蔵さんは語る。
どんな人に出会えて、縁するかは、その人自身が持っているもの次第だとも思う。
お松さん、よかったね。
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役名:薬舗回生堂の主、松浦屋尚三郎。
自分を介抱してくれたお松を見初め、粘り強く想いを伝え後添いに迎えた誠実な人。
子が出来るか心配するお松に「おまえ、こんなによいものをもっているのだから生まれぬはずはない」と胸に手を入れるシーンが佳き哉…
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鬼平犯科帳・番外編「乳房」は火付盗賊改方のお頭となった長谷川平蔵が不思議な縁でお松という裏切った男を殺した女とつながる人情噺である。
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「まるで不作の生大根をかじっているようだ」と初めての男に、もてあそばれ捨てられたお松。ある日偶然見かけて、お松はその男を絞殺してしまいます。男のその言葉が頭から離れないお松は自分に自信が持てず、危機を救ってくれた長次郎の勧めで“倉ヶ野の旦那”の世話になることにします。並行して話は鬼平と呼ばれる前の平蔵に移ります。平蔵はお松の話を耳にし興味を持ちます。そして勘蔵を殺したのはお松だと気付くのですが…。
お松が捕まってしまうのか、平蔵がどうするのか気になりましたが、落ち着くところに落ち着きました。
大店の後添えや医者の養女に、と望まれるお松は謙虚であり、罪を犯した分償いのため何事も一生懸命やる姿勢が幸せを呼び込んだのかもしれません。
お松は“倉ケ野の旦那”の正体も行く末も知りません。
火盗になりたての鬼平が如何にして自分の配下を心酔させたか。お松の話と並行して平蔵の活躍も見られて面白かったです。
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鬼平犯科帳の番外編とも言えるお話。
両親がおらず、陰気で不美人でコンプレックスの塊でダメ男にも捨てられたお松さんが、偶然の出逢いから人の縁に助けられ、最後は立派な商家のおかみさんにになるまでのお話。
人殺しをしたことで人生に対して無欲になったのが良かったようにも思うけれど、やはり良き人に良きタイミングで出会え、その良縁を細く長く生かすだけの強運が彼女あったってことだよね。
ただ、物語としては、お松さんのお話と鬼平さんの捕り物帳が交互に出て来るので、それらに多少の関係があるとは言え、どちらのお話もやや中途半端に思える感がありました。
鬼平さんはシリーズ化されているんだから、もっとお松さんのほうを掘り下げて描いて欲しかったなぁ…。
いずれにしても出逢った人に対しては、その都度誠実に対応しなくては、良い運も逃してしまうな…と思ったお話でした。
我が強すぎてもダメかな?(笑)
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悔しいけれど、という言い方はおかしいのですがやっぱり池波正太郎さん作品は引き込まれるなあ。
不幸な人生を送るかもしれない定めだったお松、阿呆烏の長次郎、実は盗人三箇条を頑なに守る大泥棒倉ヶ野の旦那、そして長谷川平蔵。それぞれがまるでお互いの本当の素性を知らずに、けれど実は深く絡み合い、それぞれの人生を送る。
世の中は狭いって事ですね。
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久しぶりに池波正太郎の小説を読みたくなってランダムに選んだ一冊。火付盗賊改方になる長谷川平蔵とお松という裏切った男を殺してしまった女が老盗賊の庇護の元に送る人生が絶妙に絡む人情噺。鬼平犯科帳番外編とも取れる作品で面白かった。