時間的な拡張を試みた秀作
2013/10/27 22:33
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は浅見光彦シリーズの1冊である。ただし、33歳の浅見ではない。小学生の頃の浅見を描いている。ということは北区立滝野川小学校ということになる。すなわち、番外編とでもいうべき内容である。小学生の頃の浅見を描いて何が面白いのかという疑問が湧いてくる。
そう、子供なんて誰でも同じようなもので、特に記すべき点はないように思われる。しかし、浅見はルポライター兼探偵である。ルポライターも探偵も相応の才能がなければ、大人になっても小説のネタにはならない。
小学生であっても、浅見には将来の大探偵の片鱗があったというわけである。小学生の浅見を描くにはそれなりの苦労がある。たとえば、すでに公開されている小説の中での情報との矛盾があってはならない。矛盾がある場合には、直ちに読者からの矛盾発見の投書が来るであろう。
面白くするために、本書ではすでに公開されている若かりし頃のある人物が登場する。また、仕事関係はもちろん、家族構成然り、友人関係然りである。この辺りは本書のストーリーとともに、作家の苦労がしのばれるのである。
活躍の場は軽井沢である。浅見家の別荘が軽井沢にあり、毎夏そこで過ごすことになっている。時間的には別荘で過ごしている間の出来事である。軽井沢といえば、長野県である。登場人物も推して知るべしであろう。
本書で初めて登場する人物もいるが、その人物がこれから発表される浅見光彦シリーズに再登場する可能性も当然ある。これまでは各地方で発生した殺人事件に対応していた浅見である。すなわち、空間を活躍の場としてきたが、本書は時間を舞台にしている。この2つを組み合わせれば、まだまだストーリーの時空は広がっていく。
内田康夫もまだまだ創作意欲は衰えていない。最近は歴史モノなどにも関心があるようだが、浅見シリーズを使ってエンターテイメントの新たな角度を切り出して欲しいものだ。そういう点で本書はなかなか興味深かった。
浅見探偵の少年時代
2016/01/31 10:52
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投稿者:hiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅見少年の軽井沢でのほろ苦い夏の思い出。好奇心、着想、創造力、行動力、正義感、そして無謀さ・・・名探偵浅見光彦のルーツがそこに見えてきます。
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投稿者:ちょびリッチ君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みました。
浅見光彦シリーズは大好きです。
子供の頃からもう一人前の探偵だってんですね。
面白かったです。
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さて、最近買った内田康夫さんの2冊目。
名探偵浅見光彦が小学校のときに解決した事件のおはなし。
小学生という設定だが、いつもの33歳の浅見探偵の事件解決プロセスとあまり変わらない。
舞台が軽井沢なので、若き日の竹村警部が登場。実際の捜査を竹村が進めながら、かなりの部分を浅見少年が解決してしまうという設定は良かったのでは・・・。凶悪事件を解決した割には、小学生なのでほのぼのとした話でよかった。
このふたりは、大人になってから一緒にいくつか事件を解決しているが、竹村警部が「君はあの時の少年かぁ?」などと回想して懐かしむ場面が今までなかったので、つまらないところで突っ込んでしまいそうになりました。
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浅見光彦シリーズの、その少年期の話。
夏を軽井沢で過ごしているある日、光彦は友達二人と連れ立って”妖精の森”と呼ばれている所に遊びに行く。すると、そこには怪しげな三人組がお棺のような箱を埋めていて・・・。
オーソドックスなミステリーだったように思える。
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浅見光彦、小学5年生の夏休み。
軽井沢の別荘でお棺のような箱を埋める怪しい三人組を目撃。
信濃のコロンボこと竹村岩男刑事(当時20歳)も登場して、最後には事件解決となって、これが浅見光彦、最初の事件簿!ということになるらしい。
小学5年生という設定の割に、考え方や、話しっぷりが老成しているところがリアリティに欠けて退屈するところもあったが、
浅見光彦に、妹が二人いるとか、作家の内村センセも登場するが、当時はまだルポライター。
などなど、おなじみ登場人物のサイドストーリー的なところもあって、ファンサービス本というところかな。
(2013/9/22)
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浅見光彦くん、小学校5年の夏。
軽井沢の別荘に、避暑。
って、もう、やはり、おぼっちゃまですね。
小学生のわりには、すごく考えが大人ですが。
どこか、あきらめているところがなんか、おかしい。
これって、なんというか、光彦くんの初恋?
なんてことも思ったけど、違ったね。
しかし、どーしても、殺人事件とかにしたいのか?
と思いつつも、おもしろく読めた。
浅見ファンなら楽しいけど、推理小説を求めているなら、ちょっと、だめかな?
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小学5年生の浅見光彦は、夏休みを軽井沢の別荘で過ごしていた。
そこで、光彦は思いもよらぬ人物と再会する。
父親の仕事の都合で夏休み前に転校してきた本島衣理だ。
転校前の彼女はこの地に住んでいたという。父方の実家が残っているため、夏休みを利用して、彼女もこの地にやって来ていたのだ。
衣理と共通の友人である峰男と3人で夏休みの時間を共有することになった光彦は、女性が姿を消したという森の謎に挑むことになる。
2014年10月6日読了。
主人公の光彦が子供ということもあって、児童向けの小説としても読める軽いタッチに仕上がっています。
子供の頃、図書館で探偵小説を借りていた頃を思い出しました。
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初の内田康夫作品でしたが、非常に読みやすく、面白かった。主人公の言動がほんとに子供?と言いたくなるような場面が多々出てきて、少し興ざめ。でも、最後まで楽しく読めた作品でした。
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小学生の浅見光彦が出会う、最初の事件。
子ども向けのものでもあるので、文脈や言葉選びはとても優しく、内容もソフト。
ただ、大人が読んでも面白い。物足りなさがないわけではないが、シンプルで丁寧な読み物。
シリーズの一つとして読めば、なおよい。
3-
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面白かった。
主人公の名前が分かった途端、閉じようかと思ったが思いとどまり、読み続けた。
中盤で内田康夫が出てきたときも閉じようかと、、、、思いとどまり読了。
面白かった。
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本書は,かの有名な名探偵・浅見光彦の解決した最初の事件。
ルポライターとして全国をかけ回るずっと前の,小学5年生・浅見少年の物語である。
と,知ったような口を利いてみたが,実は内田康夫作品を読むのはこれが初めてである。
少年のひと夏の思い出,仲間との絆,そして成長。
私はこの作品を一つの青春ミステリとして読んだが,内田康夫ファンの方々にとっては,本書はなじみ深い登場人物との邂逅の場として,親しみを込めて読まれたことと思う。
少年の出会った夏の思い出は,内田氏の言葉によって語り継がれ,こうして読者の心のなかで永遠に生き続ける。
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元は少年少女向き叢書「講談社ミステリーランド」の一冊。浅見光彦少年(小学5年生),避暑のために毎年訪れる軽井沢にて友人たちと小さな冒険。女性が森で行方不明になったが後に東京で発見されたという噂話,男たちが庭に大きな穴を掘っているのを見てしまう,その男たちに後を追われるといった一連の事件の顛末。後に浅見探偵の記録者となる内田先生(作者の分身)も駆け出しのルポライターとして登場。他にもすでに発表されている浅見光彦シリーズ(時代的にはこの物語よりも後)の登場人物の名前が多数。(とは言え,私自身はあまり読んでいないのですが)
(乃木坂文庫版,表紙は大園桃子さん)
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「ぼくが探偵だった夏」
光彦、小5。
アウトデラックスで強いクセを放った中村俊介も記憶に新しい浅見光彦シリーズ。本書は、光彦小5の話。子供らしくスリルに興味を見出し、好奇心丸出しで冒険気分で森に繰り出す光彦。女の子とつんつんどんどんな光彦、でも、気持ちは素直な光彦である。そんな光彦の最初の事件簿。
読みどころはたくさんある。まずは、浅見家全員集合となっているところだろう。シリーズファンならば当たり前かもしれないが、お手伝いさんまで含めたメンツが揃っているものがあるとは知らなかった。ルポライター兼小説家志望のぼんくら息子の内田氏、若き頃の信濃のコロンボ・竹村岩男も登場する点もポイント。若き光彦に影響を与えたのは間違いないな、と読めば分かる。
子供らしい光彦も良い。兄に比べられたり、父とちょっと距離があったり、母の頑固さに辟易したりする。また、衣理との初めての出会いも初々しく子供らしい。「ぼっちゃん」音読事件こそ、光彦の初の事件簿ではないだろうか。そんな衣理と距離が縮まっていくのも、良い夏の思い出となるのだ。そもそも、軽井沢の山の友達である峰男は、衣理を可愛い女の子として光彦を紹介するのだ。この頃から、光彦のなんか良い感じで可愛い女子と巡り合う運命が始まっていたわけだ。
ちなみに、衣理と気まずくなった(というか光彦が一方的に勘違いしただけ)事件には、光彦の面白設定が関わっている。それは空想癖だ。時々頭の中が空っぽになってしまうのだ。この空想癖は、青年になっていく中で、果たして無くなっていったのか。大変気になる。シリーズを読み始めたい人にはオススメである。
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小学生の光彦少年は、恒例の軽井沢の別荘での夏休みを満喫していた。軽井沢での友達の峰男に紹介された喫茶店の娘は、なんと夏休み前に光彦の隣の席にきた、転校生の衣理だった。
最初は気まずかった2人だが、妖精の道で行方不明になった女性がいるという噂を聞き、確かめに行くことに。暗く不気味な妖精の森を奥にある「緑の館」で男が庭に大きな穴を掘っているのを見て、3人は逃げ帰る。
その夜、ホタルを口実にふたたび館を覗き見た光彦は、何かを埋めている男女を目撃した。
埋められたのは死体?
長野県警の新人刑事、竹村刑事に事情を話した光彦は、事件に巻き込まれていく。
冷静で半分大人な光彦少年のトムソーヤのような冒険譚。
早朝にカブトムシを追いながら、怪しげな噂の現場に自転車で乗りつける。
氷メロン、アイスココア、あー!夏休み!
優秀な兄と比べられつつ、自分は何者になるんだろうと言うぼんやりとした不安と、普段は周りに居ないような大人たちとの会話に、光彦少年の夢は広がっていく。