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知的読み物として、なかなかおもしろいと思う。深すぎず、浅すぎず。
日本のことわざだとか、中国の故事だとか、なんでこんなにも的を得ているのだろう。
まあ、ある真実があれば、その逆もまた真なり、というのがいちばんの実感やけど。
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老荘思想には少なからず興味があるので、ちょっと前に加島祥造氏の「荘子 ヒア・ナウ」を読んだのですが、それに続く“道家入門”の著作として手にとってみました。
巷間で耳にする老子・荘子を元とした言葉を材料に、その背後にある思想を心理学的視点を含めて、わかりやすく解説していきます。ただ、入門書としてはあまり相応しくないかもしれません。たとえば、老荘思想の基本概念である“タオ”について、本書を読んでも理解できないでしょう。企画の着眼としては面白いのですが、内容に関してはちょっと物足りないですね。
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叢小榕編著『老荘思想の心理学』(新潮新書、2013)
福島県のいわき明星大学教授を務める著者が、同大学の心理学者との会話から老荘と現代心理学の類似に気づきまとめあげたもの。元東北大教授の國分振氏などが共同執筆者として名を連ねています。
内容は道家の古典のエピソード紹介→心理学理論に照らしたコメント、という構成になっており、新潮新書らしくサラッと読めます。かなりあっさり風味なので、古典好きだと物足りない感が強い印象です。
例えば『老子』の「足るを知る」を取り上げ、心理学における「欲望」の位置づけについて解説しています。
【本文より】
◯欲を出すことより大きな罪悪はなく、足ることを知らぬことより大きな禍はなく、厭きなくむさぼることより甚だしい不幸はない。ゆえに、足ることを知って満足すれば、常に満足である。(『老子』第64章)(p.128)
◯心理学では、欲求は欠乏や必要を満たしたい、という緊張状態だと考えられている。行動することによって、欠乏や必要が満たされれば、緊張は解消するが、続いて新たな欲求が生じ、その緊張を解消するため、また行動が生起する。この際限のない欲求による緊張の連続こそが、悩みのもとである。(p.130)
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完全に表題負けしてる内容。
老荘思想の触りは理解できたような気がするが、それが心理学として応用するのにはちょっと難解な気がする。
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理解と誤解の裏に何があるか:
朝三暮四ー差異と同一
窃鉄の疑い—思っているものが見える
白と黒―人は見かけによらないか
枯れ木ー意図の解釈1
管飽の交わりー意図の解釈2
誤って流した涙―感情の不条理
どうすれば価値を見極められるか:
無の用ー無と有の相関作用
無用の用―図と地の分化
物は使いようー大知と小知
美醜二妾ー本当の美しさが宿るところ
車大工の書物論―糟粕の価値
西施の穀みに倣うー真似する心のメカニズム
海鳥に宴―人の身になって考える
轍の鮒ー価値の共有は可能か
何が自然で何が不自然か:
上普は水の若しー「道」と「超意味」
木鶏―究極の境地に達した姿
生と死—どちらも自然のなりゆき
死にたくない君主ー生きるべくして生き、死ぬぺくして死ぬ
君主になりたくない王子ー命の重さ
酒と純粋な精神状態ー心身の弛緩から見える自然な生き方
注意という心的資源をどう使うべきか:
狙う者が狙われるーメタ認知を促すアナロジー
馬鑑定の名人ー本質を見極める眼力
金しか見えない男―欲望のスポットライト
なぜ忘れる能力は必要か:
物忘れのありがたさー忘却という防衛機制
子を亡くした子煩悩ー「適応的無意識」と道家の死生観
どうすれば欲望から解放されるか:
足るを知るー心の豊かさが悩みを吹き飛ばす
恩賞を辞退した羊殺しーなりたい自分よりなりうる自分
何を判断の基準とすべきか:
杞人の憂いー予知の限界を乗り越える
禍と福・塞翁が馬ー禍福転化のしくみ
倒錯ー「常識」と「非常識」の誤謬
時界なれば事殊なりー心を読む
夢と現とはどんな関係にあるか:
胡蝶の拶ー夢と現実の境界
現実の鹿と双夕の鹿ー幻想を共有すれば「現実」になる
主僕の夢ー物極まれば必ず反る