とてもわかりやすい
2017/07/10 04:43
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:プロビデンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
知らない人を信用できるか?のような問題での「安心」と「信頼」の違いについて、また、これらと、社会的知性との関連などが、集団社会構造という視点から解説される。素人に大変わかりやすい文章で、読みやすい。専門家による大衆への啓蒙書として素晴らしい。一方で、実験データとして示されているグラフは、それほど条件に差があるようにも見えなかったのが印象的。効果量の非常に小さいフェイスブックユーザを使った悪名高き社会心理学の研究を思い出してしまった。
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図書館で借りた本。
信頼と安心を区別し、信頼した方が有益であるということを実験で証明した。
信頼と安心を分ける視点が僕には新しかった。
実験の信頼性云々というのは、大学の先生がやっていることなんだから、大丈夫だと思っている。視聴率のサンプル数だって少ないのだから。
最後の方では、信頼を築くためには情報の公開が必要だと結論づけているが、それは一歩間違えば、息苦しい相互監視社会になってしまわないかな。
もう何度か読みたい。
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いろいろと考えさせられた。信頼モデルの想定する射程をどう考えるのかがそれ程明確でないところが気になる。
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リストラ、転職、キレる若者たち―日本はいま「安心社会」の解体に直面し、自分の将来に、また日本の社会と経済に大きな不安を感じている。集団主義的な「安心社会」の解体はわれわれにどのような社会をもたらそうとしているのか。本書は、社会心理学の実験手法と進化ゲーム理論を併用し、新しい環境への適応戦略としての社会性知性の展開と、開かれた信頼社会の構築をめざす、社会科学的文明論であり、斬新な「日本文化論」である。
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信頼の解き放ち理論に痺れました。信頼が既存の関係を強化するだけでなく、もっと大きな世界へ目を向けさせるために機能するという新たな視点は、とても興味深い。自文化の限界を認識するからこそ、信頼が生まれるのかもしれないな。
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この本、たぶん世の中的には評価が高いんでしょうね。日本社会の「集団主義」的特質が、仲間内の輪の中での不確実性低下を目的として保たれてきたものだ、という指摘自体は、確かに納得できます。そして、メンバーを輪の中に固定しようとすることには機会費用が発生する、という点もわかります。しかし、だからと言って、輪がばらけていくことを単純素朴に歓迎して済まされる問題なのでしょうか? どうも筆者は、輪がばらけて人々の流動性が高まっていけば「信頼」を軸とした個人の行動原理が立ち上がってくる、とでも考えているように思えますが、本当にそうなのでしょうか。私はそんなに単純に「救い」があるようには思えません。すでに世界には、容易には乗り越えがたい「力」の格差が存在しており、そのことを無視して単純に輪をばらけさせるだけでは、その巨大な「力」の影響下に個々人が再編成されておしまい、という気がしてならないのです。そんなわけで、本書は真ん中あたりから眉唾で読みました。かなり胡散臭い気がしますけど、どうでしょう?
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最近の治安の悪化や隣人同士のトラブル、常軌を逸したクレーマーなどの問題は、信頼社会の崩壊なのか、安心社会の崩壊なのか。そのあたりの、とかく曖昧になりやすい「安心」と「信頼」を、本書では明確に峻別し、その違いを対照的かつ明確に描き出してみせる。
http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20080325#p1
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近々読む予定です。
オバマが選ばれたアメリカや、ここ数年で感じてる
日本の荒波のヒントになる気がして。
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なかなか面白い。
延々と「信頼」に対する議論と実験の話をしている。
心理学を用いた近視眼的なテクニック系の本と違って、一つの結果が出るまでのプロセスが一本の糸でつながっていて、重要な事項は何度も実験して確かめているので、内容が頭に入りやすい。
いわく、「他者一般を信頼する人」は決して「損をするお人よし」
ではない。むしろ、他人を信頼しない人より他人をよく観察した上で的確に意思決定をしているとのこと。
最後に、「だからお互いに信じあえる社会ができるといいね!」的な内容で終わっている。
それにしても、この本を読んでいると今までろくに人を信用していなかったんだなぁって感じます。人間不信の気がある人には心苦しい内容。
実験内容あたりまではよかったんだけど、最終章の結論のところがちょっとぶっ飛びすぎていると思う。おい、最初で「信頼」という言葉を「相手の善意に対する期待」と定義した(相手の技術に対する信頼を議論から除外した)のに、最後のほうがなんかいっしょくたになってるぞ。
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集団の利益に反するように行動するのを妨げる社会のしくみ、とくに相互監視と相互規制の存在。
行動を規制する社会のしくみを取り去ると、日本人はアメリカ人に比べて集団主義的に行動しなくなる。
日本では取引相手との間にまず「信頼関係」を作り上げることが大事で、時間はかかるが、一度そういった関係が確立すればいちいち面倒な契約書を取り交わさなくとも電話一本で取引が成立する。(…)つまりその内部で安心していられる関係。
安心を生み出す集団主義的な行動原理は、集団の枠を超えて人々を広く結びつけるのに必要な一般的信頼を育成する土壌を破壊してしまう可能性がある。
閉鎖的な集団における仲間うちでの安心が、よそ者の対する不信感と表裏一体の関係を形成。
高信頼者が他人が信頼できる人間であるかどうかに敏感に気を配って、また信頼を必要とする場面で他人の行動を正確に予測できる。
高信頼者は社会的な楽観主義者であって、他人とつきあいを積極的に追求すると考えることができる。
これまでの日本社会はコミットメント関係を中心的な組織原理とする集団主義的社会で、安定した集団や関係の内部では社会的不確実性の小さな安心社会が維持。
現在の日本社会が直面する根本的な変化のひとつは、コミットメント関係の形成による「安心社会」の維持が、機会費用の急速な上昇によって「高くつきすぎる」ようになったために生じた変化。
社会的嘘発見器、つまり政治活動や経済活動を含む様々な社会的活動の透明化。情報の独占による非対称性を減少させ、社会的不確実性の水準を引き下げる。
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インターネット的(糸井重里・著/PHP新書)で紹介されていました。「ほぼ日刊イトイ新聞」の生みの母だそうです。
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社会心理学の実験を通して、信頼について論じた書物。日本型のシステムは組織内のコミットメントを高めて「安心」を生み出すには有効だが、未知の可能性のある相手を「信頼」するものではなく、またそのために必要な能力も醸成しづらいことを述べている。人間が持つ社会的知性には、少なくとも2種があり、一定の集団のなかの人間関係を把握する関係性検知能力と、相手が信頼できるかどうかを判断するための人間性検知能力があるそうである。関係性検知能力の高い人は孤独感がつよく、「社会的びくびく人間」であるそうだ。人間性検知能力の高いは人を信頼する傾向が高いそうである。また、偏差値の低い大学の学生は、関係性検知能力に長け「人をみたら泥棒と思え」を信条としており、偏差値の高い大学の学生は、人間性検知能力に長け「渡る世間に鬼はない」を信条としている傾向がつよいそうだ。これは大学に入って形成される要因だそうである。つまり、社会的知性の適応のしかたが違うという話である。なんとなく「バカは可哀想」と言われているようでいやな感じだ。これが筆者のいう情報の開示と「ヘッドライト型知性」(人間性検知能力)で、「信頼」社会になるのかは疑問が残るところである。1999年の本なので、まだ勝ち組・負け組といった言葉もなかったろうし、深刻な格差の問題もまだ議論されていないころである。現代社会の処方箋としては、著者の新しい著作もよんでみたいものである。信頼する度合いが高い人が単に「お人好し」なのではなく、相手が信頼できるかどうかを見抜く能力に長けているという下りは面白い部分であるが、「どうやって?」という部分は語られていない。いずれにしろ、現代の搾取されている派遣労働者や田舎の年寄りがこの本を読んでも、じゃあ「信頼を解き放って、可能性を広げよう」となるか疑問も残る。この辺りが人類の進化の99%を占めている狩猟文化の歴史の抜きがたい所であろう。いろいろ魅力的な観点が含まれている本であり、実験結果は蓋然性があり、現代の構造改革路線にもつながっている本であるが、結局は、「信頼を解きはなつ」ことができるエリートむけの新しい型の「安心」本なのではないだろうか。
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これからの日本が向かうべき方向性を、社会学者の立場から記されています。例えば、日本人がアメリカ人よりも個人主義的だったりするところが面白いです。丹念な実験に基づいた記述は説得力があります。
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図書館で借りて読んだ
糸井重里の「インターネット的」の中で紹介されており、正直者が最終的には得をするという内容に興味を持って読んでみた。
最近読んだ本の中では、読むのに時間がかかった本だった。
読んでみると内容的には解りやすい内容だが、自分にとって初めて知る事ばかりだったので、理解しながら読むとこれぐらい時間がかかるんだなぁと再認識した。
人を信じやすい人が、人と協力する事の重要性を知っているため、逆に人を見る目が養われているという部分はなるほどなと思った。
逆に、人を見たら泥棒と思えという考えの人は、全く知らない人との関係では逆にだまされやすいというのは、面白かった。
昔読んだ、複雑系という本のなかで、人工生命体のシュミレーションにおいて、協力的だが害を及ぼす相手には徹底的に戦うという正確付けをされたプログラムが一番繁栄したという箇所があったのが、ふと思い出された。
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[ 内容 ]
リストラ、転職、キレる若者たち―日本はいま「安心社会」の解体に直面し、自分の将来に、また日本の社会と経済に大きな不安を感じている。
集団主義的な「安心社会」の解体はわれわれにどのような社会をもたらそうとしているのか。
本書は、社会心理学の実験手法と進化ゲーム理論を併用し、新しい環境への適応戦略としての社会性知性の展開と、開かれた信頼社会の構築をめざす、社会科学的文明論であり、斬新な「日本文化論」である。
[ 目次 ]
第1章 安心社会と信頼社会
第2章 安心の日本と信頼のアメリカ
第3章 信頼の解き放ち理論
第4章 信じる者はだまされる?
第5章 社会的知性と社会的適応
第6章 開かれた社会と社会的知性
後書き(研究の舞台裏)
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