紙の本
国民が本当の自由と平等を享受するとはどういうことが分かります!
2016/07/31 10:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、フランス革命を導いた哲学者ルソーの作品です。かなり有名な作品ですが、なかなか内容にまで精通した方は珍しいかもしれません。実は、本書とルソーのもう一つの作品『社会契約説』を読むことで、ルソーが目指した国民が真に自由と平等を享受するとはどういうことか、国民が権利を行使する民主主義社会とはどのような社会かが見えてきます。これまでにルソーを読まれた方々も、これから読まれる方々も、こうしたルソーが目指した真の社会制度について考えながら読んでいただければと考えています。
紙の本
差別の起源
2016/12/19 18:31
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投稿者:みそあじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ルソーの読ませる文章が光る1冊ですね!
人間はなぜ不平等になったのか(そのままですね(笑))について書いてあります!
ルソーは自然状態では争いが起きないと仮定し自論を進めていきます。
ルソーの文章は理論に説得力があるのでどんどん読み進めていけます。
こちらがハマったのなら「社会契約論」もぜひ!
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図書館で予約。
「告白」を読もうとしてるんだけど、ルソーの本はここから読むべきだってジェラールが言っとったわ…(なんだそりゃ)
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やっと読めました。1755年!?本当に革命以前で貴族がいた時代とは思えない思想。神様です。現代に甦ってほしい本当に。今なお古さを感じない思想です。本当に素晴らしい。
関係無いですが翻訳本に星をつけるのはとても難しいです。特にこういう既に翻訳されている本の再訳。私はフランス語はできないのでもちろんこの本を原文で読むことはできないからルソーの書いた文章そのものを評価することはできないし、翻訳されると翻訳家の技術を通してこの本を読むことになるので果たしてこの評価はルソー自身についてなのか翻訳家を通じてなのか自分でも分からなくなります。少なくともこの翻訳では真っ直ぐにルソーの文章を受け取った感じはしなかったので星4つは翻訳家の分厚いフィルターを通じてのこの本への評価です。(別に翻訳が悪いとは言ってません。むしろ読みやすかったけど。)
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2010.9.1
ルソー=社会契約論ってイメージはあったけど、中身はきちんと知らなかった。文化人類学的な発想で、現在の不平等がどのような経緯で成り立っているかを考察する。キーコンセプトは野生人という概念。
序文の「ジュネーブが誇るのは人間だけです」は、ぐっときた。
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人間はなぜ互いに憎しみ合ったり、嫉妬しあったりするのだろう。なぜ不平等は生まれたのだろう。そういう骨太な問いに、18世紀を代表する知性が正面から取り組んだ傑作。とても感動した。
この問題を考える上で、ホッブズやロックらの先輩思想家がそうであるように、ルソーもまた社会が成立する前の「自然状態」を考える(ちなみに、なぜ彼らがそろって実際の歴史の探究ではなく理論的に過去を遡及するのか不思議だったが、そういう戦略をとらざるをえない理由が解説に書いてあった)。そして、ルソーはホッブズやロックの「自然状態」について、それらはすでに社会が成立した後の観念を反映させてしまったものだと批判しつつ、彼独自の人類の起源を探究していく。そして次にそこから、どのようにして「社会」が成立し、現在のような不平等に至るのかを説明するのだ。
まさに壮大な思考実験。人間性の本質は何か、私たちはどうしてこのようにふるまうのか、それを考え抜いた思考の軌跡がこの一冊だと言っていい。そして、ルソーが辿りついた結論はよく言われる「自然に帰れ」ではない。僕はこの本で初めてルソーの思想を知って驚いたのだが、ルソーはそんな復古主義的なことは全然言っていない。「わたしのような人間にとっては、あれこれの情念のおかげで、もはや原初の単純な暮らしぶりをすることは永久にかなわないことだ」(p225)といい、「美徳を学び、次にこれを実践する」ことを通じて、人間を高めていくことを決意する。おそらくこの決意が、次の『社会契約論』につながっていくのだろう(執筆時点で未読)。
また、もう一つ強く僕の印象に残ったのが、ルソーが自然状態の原理の一つとして「憐れみの情」をあげていることだった。これは、アダム・スミスが『道徳感情論』で同感能力を人間の基礎に据えたのと似ている。もちろんルソーはそう主張するだけの根拠もあげるのだが、僕はどうしてもそこに人間性に対するルソーの期待のようなものを読み取ってしまう。彼は、不平等な現実社会を見ても、決してあきらめていない。まして「自然に帰れ」などの復古主義を唱えてもいない。人間の現実を見つめながら、それでも希望を失わず、よりよき社会を構想した思想家なのだ。そして実際、彼の思想がフランス革命とアメリカ独立革命を用意していく。それが僕たちの社会へとつながっていくのである。現実社会の中で生きる者として、僕はもっと、こういう思想家の文章を読まねばならないと思う。
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ルソーの意識は、マルクスと同様、今ここの社会の悲惨な現状がいかにして興ったのかを知ることにある。
そのために、社会への成り立ちを、自然状態から説明する。
ルソーは、現代が自己の外=他律的にしか自己の価値が定まらないという、吉本隆明が言うところの〈関係の絶対性〉を問題視するために、
社会状態に移行する前の自然状態では、
誰ともかかわりをもたない「孤独な生活者」として人間を描く。
人に備わっているものは、次の3つ。
自己改善能力、自由意志、憐みの情。
だが、社会性のある生活ではないので、最後の項はほぼ潜伏している状態でしかない。
そこから社会への移行は、天変地異が起らなければありえない、という事態になる。
人類学的な知が進歩しはじめた18世紀ならではの、記述は面白いが、
やはりそれでもロマンチックといわねばならない。
ただ、こういった物事の想定は、寸部たがわず事実である必要はないので、
こういったやり方しかできないことも確認しておくべきである。
人とかかわりだした社会状態こそ、戦争や悪徳などの悲惨さを生んだ原因であると、ルソーは設定する。
裏を返していうと、彼は人間の源型自身を救おうとしているのだ。
さて、この論文は、主な目的は自然状態を描くことにあったから、
〈社会契約〉の具体的記述は『社会契約論』を待たねばならないし、
また関係の絶対性に関しての処方箋も出されていない。
ただ分かるのは、自然状態に戻ればいいというのではないということ、
大きな現代の悲惨さの隅に、一部、哲学や理性が残っていると言っていることから、
この哲学や理性が如何にして、他律中心の社会から自律をちょうどいい場所まで回復させるのか、といったことが私たちに投げ返されているということだ。
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自然法(ドロワ・ナチュレル)という考えは、人間の本性にかかわる概念である。p38
【二つの原理ー自己愛と憐れみの情】p41-43
学問的な書物はどれも、すでにできあがった状態の人間について理解するために役立つだけであり、ここでは無用のものである。それよりも大切なことは、人間の魂の原初的でもっとも素朴な働きについて考察してみると、理性に先立つ二つの原理を見分けることができるということである。一つの原理は、わたしたちにみずからの幸福と自己保存への強い関心をもたせるものである。もう一つの原理は、感情をもったあらゆる存在、とくに同類である他の人間たちが死んだり、苦しんだりするのをみることに、自然な反感を覚えることである。
わたしたちの精神は、この二つの原理を調和させ、組み合わせることができるのであり、そこから自然法(ドロワ・ナチュレル)のすべての規則を導きだせる。ここに必ずしも社会性(ソシアビリテ)の原理を導入する必要はないのである。
<中略>このように、原初の人間(オム・オリジネル)、その真の欲求、その義務の基本的な原則について研究するというこの方法は、道徳的な不平等の起源について、政治体の真の土台について、政治体の成員の相互の権利についてなど、重要でありながら、十分な解明が行われていない多くの問題を考察するときに発生する無数の難問を解決するために役立つ唯一の有効な手段なのである。
「人間の不平等の期限はどのようなものか。それは自然法(ロワ・ナチュレル)のもとで認可されるものか」p48
【二種類の不平等】p49-50
わたしは人類には二種類の不平等があると考えている。一つは自然の不平等、または身体的な不平等と呼びたいものである。これは自然が定めたものであり、年齢、健康状態、体力、精神の質、魂の質の違いによって生まれる。もう一つは社会的(モラル)または政治的な不平等と呼びたいものである。というのも、この不平等はある種の取り決めによって生まれるものであり、人々の同意によって確立されるか、少なくとも認可されるものだからである。この種の不平等はさまざまな特権から生まれるもので、一部の人々が他の人々を犠牲にして、この特権を享受する。たとえば他の人々よりも豊かであるとか、尊敬されているとか、権力をもっているとか、何らかの方法で他の人々を服従させているとかである。
第二部は【所有という観念の発生】から始まる。p123
【約束と共同体の成立】p128
【私有財産の発生】p131
【自尊心の誕生】p135
【所有権の誕生】p143
【社会と法律の起源】p150
【自由は放棄できない】p161
【社会契約】p169
【不平等の激化】p176
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高校時代から気になってたルソーの人間不平等起源論をようやく読んだ。18世紀フランス革命前夜のジュネーブにおける市民社会への真摯な想いに感銘を受けた。自然科学の知見は当然古いが、その思考の過程と導き出した人間社会に関する結論は現代でも褪せてはいないように思う。
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自然状態の解釈に若干の古さはあるものの、やはり社会科学のもっとも基本的な文献の一冊としてあげたい。歴史学も考古学も、ここからはじめるというのもひとつのアプローチかもしれない。
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自然状態=最上の状態、社会性を持つようになったからこそ、人間は不平等になってしまったんだ、という内容。簡単に言うと。
まあ掘り下げたりほかの知識があったりするといろいろもっと意味があるんだろうけど。
2013年前期水曜5限の読書会の、課題図書(?)。
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//5分の2ほど読了。途中放棄。
私たちの使っている観念が、どれほど言葉を利用することに依拠しているかを考えていただきたい。文法が頭脳の働きをどれほど訓練し、容易にしているkを考えていただきたい。そして言語が最初に発明されるまでに、どれほどの長い時間と、想像できないほどの苦労が必要だったか、考えてみていただきたいのだ。これらの考察と、すでに指摘した点を考え併せてみれば、二減の精神の内に最初は単なる可能性として備わっていたものを段階的に発展させていくには、幾千もの世紀が必要だったことが分かるはずである。
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社会契約論よりは読みやすい部類に入るでしょう。
ただし、解説なしで読むのはかなりつらいので
面倒くさくても、解説はきちんと読みましょう。
そもそも私たちが人間としての
人と協力し合う、という選択肢を選び始めてから
不平等というものは生まれてしまったのです。
だけれども、原初に戻る?と聞かれて
私たちはイエスということはできないことでしょう。
もう戻るには遅すぎます。
そして、この本を読んでいて違和感を覚えるでしょう。
これって、今の状態のままじゃないの。
結局富めるものは強いまま、
そうでないものは搾取されるまま。
自由に生きることさえ、許されないわけで。
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PSYCHO-PASSで紹介されてから購入し、だいたい5〜6年間、トライしては挫折を続け、やっとこさ読み終わることができました。
政治哲学に関する素養はないので、あまり大それた感想は書けませんが…
「自然状態」という事実かどうかは当時確かめようのない想定から人類の社会の誕生を考え、言語などをはじめとする文化の誕生に言及し、不平等がいかに誕生したのかという緻密な分析は、読んだ甲斐があると思いました。心理学的な人間理解にも通じるものがあり、1700年代にこのような人間理解をしたルソーはまさに天才であると感じます。
ルソーは他に、『社会契約論』や『エミール 』でも有名ですが、これらの本にもいつかは当たってみたいです。
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人が、土地を柵で囲って私財を主張するようになって以来、不平等は拡大。闘争状態を収めるために、法が導入された。自由を守るためには『腕に傷を負った人が体の残りの部分を守るために腕を切断することに同意するかのように』その一部を犠牲にする必要があった。それがのちに王権国家へと発展する。西欧の民が航海を経て出会った“未開人”はキリスト教の力を以てしても、文明化しなかった。北半球の人々がいち早く手にしてしまった【知恵の実】はいったいどこにあったのだろう。世界史も宗教も、学びなおす必要がある。