紙の本
映画化希望
2014/04/26 00:18
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投稿者:avalon - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の事にまだ自身が持てない主人公、自分が此の世に生を受けたいきさつから殻を作っていた。偶然の事で合唱と出会い、殻が破れて行くところが清々しい。舞台は九州長崎なので丁度、年齢が同じHKT48の子たちで映画を作って頂けると小説から飛び出したリアルとなることとおもいます。
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投稿者:K - この投稿者のレビュー一覧を見る
全ての伏線が綺麗に回収され、後半にかけて一気に読み進めたお話でした。大人のイメージする「中学生」らしい中学生ではなく、誰の心のなかにもいる「中学生の頃の自分」を思い出しながら読んでいました。とても心地の良い青春小説です。
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サトルには10代の自分の一部が重なっているように思えて感情移入してしまう
2020/04/18 22:02
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者は「機動警察パトレイバー」や「うる星やつら」の監督として有名な押尾守氏の娘婿として有名なのだが、彼は押尾氏の娘婿としてではなく「くちびるに歌を」の作者として存在を主張できる人であることがはっきりとこの小説を読むと理解できる。恩田陸氏の「夜のピクニック」や村上龍氏の「69」と同じくこの作品に出てくる少年、少女たちは熱い。それに引きかえての私の10代を考えると後悔ばかりなのだが、私も10代の頃の自分を取り戻していくように彼らとまるで一緒に行動をしているかのような気分になっていく。とくに主人公の一人、サトルには10代の自分の一部が重なっているように思えて感情移入してしまい、最後は涙までだしそうになった
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投稿者:saya - この投稿者のレビュー一覧を見る
合唱部に男子が入ってきたことで生まれる男子と女子の対立。それぞれの子が抱えている悩み。合唱を通して成長していく子供達。最後ナズナがサトルのお兄さんに会えて良かったです。感動でした。
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映画「くちびるに歌を」に感動
2016/03/27 15:08
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投稿者:hiroyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画「くちびるに歌を」を先に見て非常に感動したので、記念の意味もあって購入。より深く、映画の世界を味わえる。
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島を思い出しました
2021/06/29 21:11
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投稿者:もこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は長崎出身で、離島で過ごしました。
五島ではありませんでしたが、島での生活や風景が思い出され、読む手が止まりませんでした。
とても良いお話でした。
部員のそれぞれの秘密や問題も有り、でも重たくなく、何度も読み返したいし、Nコンも聴きたいなあと思いました。
皆、大人になって、自分への手紙を優しい気持ちで読んで欲しいなあ。
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歌はいいよねえ、若い子はいいよねえ
2018/05/09 23:04
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
『くちびるに歌を』は、中学校の合唱部の話。
NHK合唱コンクールの課題曲が「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」の年の話。 舞台は長崎の五島。
歌はいいよねえ、若い子はいいよねえ、というのが、おじさんの感想。
映画化もされていて、主役はガッキー。
そんな音楽の先生がいたら、男の子も合唱部に入るかもね、というのもおじさんの感想。
ラストの数十ページは途中でやめられなくて、電車の中で最後まで読んでしまいました。
コンクールのステージが終わってからほんとうに感動的な場面があるのがいい。なんか、五島に行きたくなったなあ。おいしいもなかもあるしねえ。
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織りなすエピソードのひとつひとつが輝いていて、自分にはなかった美しい思春期の思い出に締め付けられるような気持ちになった。
現実にはあり得ないほどの純粋な物語なのかもしれない。そう知りつつも素直に受け入れ、ひとときの感動や共感に浸る…それが正しい読み方なのだろう。
それでも私は、きらめくような美しい心を持つ少年少女がこの日本のどこかにいることを信じたままで成長してしまった。
私もそんな時代を過ごしたかった…という後悔と自省に苛まれながらも、私は美しい魂の存在を信じたい。
長年音楽には専門的にも関わってきたので、多くの楽器(合唱では、声)が共鳴し合う一瞬、すべてが溶け合って、ひとつの音になる時の陶酔こそが、演奏者の喜びで目的なのだということを、体で経験して知っているので、県大会の彼らのステージは、本当に一つになれたのだろうと思って、なんだかニヤニヤしてしまった。
客席で聴いていたら私も涙を流したかもしれないなあ。爽やかに読了。
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五島列島の中学校の合唱部を舞台にした物語。コンクール出場に向けての練習、女子と男子の諍い、15年後の自分へ送る手紙、それぞれの想い。実に真っ直ぐな青春小説でした。
自閉症の兄をもち「ぼっち」でいようとする少年、病気の母と自分を捨てた父親の影響で男性不信に陥っている少女、自らを「ニート」と称する女性教師、表裏のありそうな清楚な少女。いかにもこの作者らしい人物が並んでいます。そしてどの人物の心境も胸に迫ります。でも、いつもほど尖っていないんですね。それはコミュニティから外れた人物を描くことが目的でないからでしょうか。みんなそれぞれ色々な想いを胸に秘め、それぞれ違った「自分」を生きている。そんな「みんな」が合唱を通じて「ひとつ」になる様が素敵です。
また少年視点のパートと少女視点のパートが交互に示されるのですが、あまり接点のないふたりなんですね。なので、それぞれのパートにもう片方の主人公はちらりとしか出てきません。それがラスト一体となる。この構成の妙も素敵です。そこに至る伏線の張り方などは、この作者ならではの味わいでしょう。
泣けるというよりは自然に背筋が伸びる、そんな読後感でした。
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面白かったー!!
青春小説の王道ながらも、ひとりひとりの登場人物丁寧に描かれています。もう二度と戻らない一瞬が丁寧に切り取られ、読んでいてすごーく懐かしい気持ちになりました。登場人物たちが話す方言も、歌の標準語とは違った暗い響きや優しい響きがあり、その切ないような、あったかいような雰囲気がとても好みでした。
特に印象的なのはNコンが終わり、サトルの家族とコトミやナズナが会うシーン。最後に3人で歌い始めるシーンは、現実ではあり得ないけれど、歌のすばらしさが詰まったワンシーンです。
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白オツ(←これで分かる人はわかる!)よりも更に爽やかな作品。最後の泣かせ方の巧さは一級品。だからこの作者のファンはやめられません。
実はアンジェラアキの歌はどれもイマイチ好きになれなかったんだけど、この小説の底を流れるツールとしての役割を経ると、『手紙』も悪くないなと思えてきた。これも作者の巧さのおかげだろう。
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おもしろかったー。
飛行での移動中にさらっと読める本が欲しくて空港で手に入れたこの小説。とても読みやすくて、登場人物はそれぞれ個性的で青春していて気持ちいいし、最後はしっかり感動できるし、とても良かった。
他に何を書いてる作者なのだろうと思ったら、乙一の別名義とのこと。どうりで。
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五島列島の、とある中学校の合唱部が舞台。
まるで五島に住んでたかのような生活の描写が素敵。
読みやすくて、どんどん続きが読みたくなる物語だった。
Nコンのシーンは泣けた。
すがすがしい青春!
別名義の乙一さんの作品は読んだことないから、早く挑戦してみたいな。
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今回の中田永一はずいぶんと抑え気味だ。
NHKの合唱コンクールを目指す長崎は五島列島に生きる中学生たちの青春群像劇だ。
田舎の中学生が家族の問題に悩み、恋をし、部活に青春を捧げる姿が美しい。
過去の作品である「百瀬、こっちを向いて」「吉祥寺の朝日奈くん」の両方があまりに胸キュンでしかもトリックの切れ味が鋭かったため、今回も少し期待していた。トリックは今回は控えめで、至極真っ当な青春ストーリーになっていた。著者の素直な物語は初めてに近かったので、少しだけ戸惑った。というか、いつ来るか?と身構えながら読んでいた。
クライマックスのNHK合唱コンクールの長崎大会での本番シーンの緊張感はなかなかのものだ。彼らの順番が近づくたびに、私の鼓動も高まる。中学・高校時代は、部活もクラブ活動もなにもしていなかった私は、もう取り戻すことの出来ない遠い日への憧れを募らせる。
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長崎は五島列島の中学校の合唱部を舞台にしたストーリー。課題曲となった「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」が中核となっていいるのですが、その中で本作主人公の一人、桑原サトルの壮絶に孤独な告白に胸を打たれます。
後半、彼の(十五年後の自分への)手紙の内容が明らかになりますが、その場面が一番胸を打たれました。齢十五の彼が、ただ兄のために生きる目的で生を受け、それを受け入れ、この世にあるはずの悦びすべてをあきらめているその思考に… コミュ障という一言で片付けられない問題に、それを胸の内に秘め、周囲に流されながらも一瞬一瞬懸命に対応しようとする彼の姿に自分が重なり、とても引き込まれたように思います。
そしてひとりぼっちだったはずの彼が、エピローグで「ひとりじゃなかったけん」と語る場面で、ホントにマジ泣きしそうになってしまいました。それに続く周囲を巻き込んでの合唱、そしてもう一人の主人公、ナズナのトラウマが解消される?ような場面も、個人的にグッときました。
映画化されるというミーハーな気持ちで手に取った本作でしたが、思いのほかすばらしい作品で驚きました。中田永一氏という聞き慣れない新人作家の作品…と思いきや、実はあの乙一氏の別名義作品と知って、再度驚かされました。と同時に、それならこのクオリティも納得してしまいましたが。