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みんなのレビュー174件

みんなの評価3.7

評価内訳

163 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

第134回芥川賞受賞作『沖で待つ』

2010/02/22 11:51

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

第134回芥川賞を受賞した表題作を含む三篇の短編集。


『勤労感謝の日』
書き出しはそのタイトルに全くそぐわない――――
「何が勤労感謝だ、無職者にとっては単なる名無しの一日だ。それともこの 私に、世間様に感謝しろ、とでも言うのか。」

このちょっと口の悪い独白を披露してくれたのは恭子という36歳の女性。父親の通夜で「奥さん淋しかったらいつでも」と母親に触れようとした上司の顔をビール瓶で殴りつけたことがきっかけで退職届を出さざる状況に陥り、会社を「自己都合退職」し、現在、無職。

ご近所さんに結婚するつもりはないの?」と尋ねられ、みなさん口ではそうおっしゃいますが、つもりとか主義とかじゃ世の中動きませんのよ。と思いながらも「ええ、でもこればっかりはご縁ですから」と返せるほどの大人だ。しかしこのご近所さんには大人の口上は通用せず、「いい人」とお見合いすることになる。



『沖で待つ』
この作品も冒頭から引き込まれる―――
「私はなんとも言えない気持ちになる。なぜかと言うと、太っちゃんは三カ 月前に死んでいたからです。」


住宅設備機器メーカーで働く私にとって同期の太っちゃんは特別な存在。男でも女でも親友でもなく「同期」。同期という単語には何か特別な響きがある。そんな太っちゃんが突然死んだ。私は太っちゃんとの約束を果たすため、誰よりも早く太っちゃんのマンションに忍び込んだ――三か月前に死んだ太っちゃんを前に私は、太っちゃんとの出会いから今日までのことを回想し始める。


解説によると、『勤労感謝の日』及び『沖で待つ』には著者の実体験がふんだんに込められているらしい。どちらの作品も主人公は作品男女雇用機会均等法の施行(1986年)から間もない頃に女性総合職に就いた女性。そして共に主人公の独白によりストーリーが進行する。

『勤労感謝の日』に登場するエピソードで入社試験の最終面接で「あなたの人生の目標はなんですか」と尋ねられて「長生きです」と答えたら即採用されたとあるから、わたしの世代(1980年代生まれ)からは想像もできない仕事環境だったのだと思う。

簡単に言ってしまえば、そんな大変な環境で仕事をしてきた女性総合職のお話だ。しかし、ただそれだけで終わらせないのが絲山流。だけど…その「それだけじゃない」っていうところが上手く書き表せない。なぜだろう。既読の絲山作品三冊すべて、漠然といい、なんだか好き、と言えるのに具体的に「どこ」が「どう」よくって好きなのか、自分でもわからない。

共感できる描写が多いからかな。たとえば『沖で待つ』の主人公の独白―――
「学生の時に一緒に感じていたものって、なんだったんだろう、考えてもあ まり思い出せなくなりました。世界が狭いようですが心置きなく話せるの は、やっぱり会社の人でした。」


たとえば『勤労感謝の日』の主人公のお見合い相手への文句(心の中で)――「一番気になるのは、我々が絶賛した長谷川さんの手作り料理を美味しいと 一言も云わなかったことだった。もし口にあわなくても、手料理っていい ですねとか、言い方ってものがあるだろう。」


こういう細かいところがすーっと入ってくる。そしてその細かいお気に入りで構成された作品は全体としても愛おしい。

本書も先に読んだ『エスケイプ/アブセント』及び『袋小路の男』と同じく、同時収録の短篇を対比させてひとつ(一冊)の作品に仕上げるという構成だ。この対比がとても旨い。

さて本書にはもう一篇『みなみのしまのぶんたろう』というカタカナと平仮名だけで構成された、非常に読み難い短篇が収められている。この短篇の主人公しいはらぶんたろうという男だ。


ぶんたろうは、さまざまなさいのうにめぐまれ、ブンガクをやったり、ヨ ットにのったり、マツリゴトをしたりしていました。(略)ぶんたろう  は、だいにほんブンガクしょうというたいへんなしょうのせんこういいん をしていました。(略)ぶんたろうはいつもましなしょうせつをえらぶの にくしんさんたんしていました。
「どうしておれごのみのしょうせつがないんだ!」


順風満帆な日々を送っていたぶんたろうだが、ある時大きな失敗をし、「おきのすずめしま」という「たくさんのゴミでうめたてて、ぶんたろうがおおきなしまにつくりなおしてしまった」島に左遷されてしまう。

と、ここまで色々なエッセンスを書き出せば大概のひとはある結論に行きつくだろう。この作品はおそらく、ある人物への痛烈な皮肉だ。


あぁ、このシニカルな表現力も好きだなぁ。
あぁやっぱりいいなぁ絲山作品。


『沖で待つ』収録作品
・勤労感謝の日
・沖で待つ
・みなみのしまのぶんたろう

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電子書籍

同期ってそういうものだよね

2017/07/31 21:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ケイ - この投稿者のレビュー一覧を見る

こんな例え、怒られるかもしれないが、一緒に苦労し成長を共にしてきた同期って「戦友」みたいなものじゃないかと思う。
年齢も性別も超えた絆がある。
幽霊に会っても怖くないし約束を果たすためには多少の逸脱も厭わない。
でもその覚悟も結果として「何だかな〜」になるんだけど、そこがまた可笑しいような、物悲しいような…。
じんわり心に沁みる話。

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紙の本

「無職です」は笑った

2017/05/26 21:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る

初見の作家さんです。

私が読んだことのある芥川賞受賞作の中では一番話しとして分かりやすかったです。
自分のいる日常と作品の中で描かれている日常がとても近い世界に感じられて、読者として読むのは易しいだろうけれど、こうして小説として形にできるのはやっぱり選ばれた才能なんでしょうね。

全部で3編の短編からなっているのですが、最初の1編「勤労感謝の日」が一番好きでした。
読んでいる時に画が浮かぶような作品ではなかったです。

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2009/02/22 14:52

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