紙の本
なるほどセンスありの一冊!
2006/03/07 20:18
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済学の本というと、解釈の難しいデータが並んでいたり、説明してもらわないと読みとれない図表がちりばめてあるという先入観がないだろうか。本書は実にやさしく経済学的なものの考え方を教えてくれる。先入観を見事に打破し、読みすすむに連れて経済学的な思考方法をマスターさせてくれるすぐれものの一冊である。
最初は、新書であるし、やさしい反面、手応えがないのではないかと思って手に取ったが、予想と違って実に面白かった。身近な出来事を経済学の視点から理解させてくれる手法は見事である。「イイ男は結婚しているのか?」「賞金とプロゴルファーのやる気」など、直感的に分かっていると思われることがらも、経済学的手法(主に労働経済学だが)で、鮮やかに描ききってみせるところは、感心した。
会社における成果主義の導入の是非についても、自分の職場に当てはめると、どうしてもバイアスのかかった見方(「成果主義なんかで自分の仕事は図れない」とか、「もっと成果を認めて若いうちから高給を得たい」など)をしてしまうが、経済学的手法で客観的に導入のメリット・デメリットを示してくれるので、「なるほど」と手を打ちたくなったほどだ。実際に会社の人事部などで、成果主義を取り入れたものの、運用がうまくいかず困っている人などは目からうろこが落ちるであろう。
そのほかにも、主観を交えずとも、労働経済学を中心とした経済学的思考によって解決できる問題が結構ありそうな気がしてくる。
書き方はやさしいものの、著者は専門分野の研究を相当積み重ねていることが分かる。有能な人ほど、物事をわかりやすく説明できるという好例である。
大学教授を任期制にすると、自分のポジションを奪われないように、自分より劣った人材を採用し、数年後の評価でたしかに業績がよくないので、採用者の任期をうち切りにし、自分は再任されるという戦略をとりがちなので、結局のところ仕事をしない大学教授に仕事させるという目論見ははずれる、という説明など普通の会社にも当てはまるであろう。率直に勉強になった。
速く読めてためになり、新書なので値段も手頃。これはお勧めできる。
紙の本
身近な問題から経済学的に考えることとはどういうことかを解説した書です!
2017/12/11 10:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、私たちの身の回りで起こっている身近な問題を取り上げながら、経済学的に考えるとはどういうことかを丁寧にわかりやすく解説した書です。表題にあるように、「お金がない人を助けるには」という問いは、ある小学校の5年生から出された質問だそうです。この質問に経済学者はどう答えるのか?こうした素朴で、身近な様々な問題を取り上げて解説しているので、とっても読みやすく、理解しやすい内容となっています。
紙の本
NHK「オイコノミア」に出ている大竹先生
2013/05/20 20:24
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投稿者:はるき - この投稿者のレビュー一覧を見る
又吉さんの経済を学ぶ番組「オイコノミア」によく出演している大竹文雄先生が書かれた本という事で気になり購入。しかし内容が難しく読了できませんでした…。次は「脳の中の経済学」に挑戦します。
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「背の高い男はなぜモテる?」そんな日常の疑問を経済学を使って見事に解説。この本によれば、身長1cm高くなると、時間あたりの賃金が約0.8%高くなるらしい(日本の場合)。なぜ、そんなことが起きるのかというと、身長が高い人ほど、高校時代に運動部に入っていて、そのなかでリーダーシップや組織を運営していくノウハウを学ぶ機会が増えるためらしい。そんな感じで、ほかにも「イイ男は結婚しているのか?」「プロ野球は監督の能力によってどれぐらいに勝敗に影響するのか?」など、経済学的に鋭く分析。
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経済学ってこんなことするのか!と開眼しました。FPの勉強以前に考えること観察すること情報をきちんと読み取ること、分析すること…普段から気をつけておかなくちゃ…
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どこかで聞いたことのあるような話がわかりやすく簡便な言葉で語られています。 社会の問題を経済学的思考の「センス」で語っているだけで、特に目新しいものはありません。逆に普段新聞などのメディアにふれない人にはお勧め。
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結婚、スポーツ(プロ野球、ゴルフ)等、非常に気になるテーマが取り上げられています。そう、経済学には統計というツールもあるのです!タイトルから持った印象と実際の中身は違いましたが、面白かったです。(G山)
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1月?
筆者は終わりで、『「経済学的思考のセンス」がある人とは、インセンティブの観点から社会を視る力と因果関係を見つけ出す力だ』と述べているがまさにその前提に立ち様々な話題を展開しており面白かった。たとえば、結婚していいオトコになるのか、結婚しているからいいオトコなのかなど、身近な問題点を取り上げたり、ある制度は人々の合理的な選択に基づくとき、どのようなインセンティブをもたらすかなどが具体的に考察されている。
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「職務発明に宝くじ制度」の項目の話で、青色発行ダイオードの話はこういう見方もあるのか、と新たな視点を得ることができました。
次に、年金未納問題と日本型雇用慣行の部分では、以前に聞いたことのあった話を復習することができ、良かったです。
ただ、一番印象に残った部分は以下の文章でした。「若年者の失業率が高くなることによる潜在的コストは大きい。若者が長期間仕事の経験を積まないでいると、将来の日本の人的資本レベルは低下してしまうかもしれない。」
僕が行きたい業界は多分この主張とは逆行しているけれど。
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この本には、女性は何故背の高い男を好むのか?、フリーエージェントの導入とドラフト制度の弱体化によって有力選手が巨人へ集中したり、球団の赤字、そしてパリーグの衰退化が進んだのか?、大学の教授を真面目に働かせるためにはどうしたらよいか?何故年功賃金制度が好まれるのか?etcといったような身近で興味深いテーマについて、著者が統計学や経済学を用いて、これらの因果関係や真偽について分析している様が描かれている。
分析結果を見ると、我々が普段抱きがちな考えが大半は誤りであったことに気付かされる。本書を通じて、物事に対する思い込みの怖さと客観的に物事を分析することの重要さを実感したと同時に、経済学(経済学的思考)が世にもたらす役割の大きさを改めて思い知った。
一読の価値は十分にあると私は思う。
面白い。
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著者は「インセンティブ」と「因果関係」を経済学を理解するキーワードに挙げている。
その二つを中心においた視点で、実は身近な場所さまざまに経済学は転がっているのだということを語る。
例としては「年功賃金制」、「自然災害対策」など。
詳しく書いてしまうとこれを読むインセンティブを奪うような文しかかけないと思うので割愛するが、
税のかけ方や年功賃金制になる理由などに視点の新しさを感じた。
巷でよく「学部経済学は使えない」と聞くが、使いようひとつである。
実は様々な物事を経済学で考えていくと合理的な説明ができうる。
身近なことをそう考えてみるきっかけに、この本はなる。
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取り扱っているテーマは面白いです。
珍しく訳書ではない行動経済学的な本。
しかし
同じ内容ならもっと魅力的に書ける人がいます。
筆者が勝手に仮説を上げて
他人の研究結果を引用して結論を出しているからかな。
ちょっぴりもやんと残ってしまう新書でした。
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ゼミの教科書(の予定)。ゼミで指定されてる前から偶然にも買っていた本。これは運命と言わざるをえn(ry
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経済学のムズカシイ内容は一切書かれていない。
私たちの身近にある「格差」について、経済的なものの見方で説明をしている。「格差」といっても様々で、「結婚できる女性・できない女性」や「プロ野球における強すぎるチーム・弱いチーム」などが題材として取り上げられていてとっつきやすい。
でも、私がぐいぐい引き込まれたのは、そういうとっつきやすい話題が書かれた前半の2章より、むしろ、後半の2章「年金未納は若者の逆襲である」と「所得格差と再分配」だった。
この2章からは、日本的雇用慣行(終身雇用など)や高齢化について、普段私たちが接している説明がいかに紋切り型で不十分であること、これらのことを経済的に考えれるともっと多面的に捉えられること、が理解できた。
自分が他の人にも説明できるようになるくらい、この2章を繰り返し読めば、たとえ専門的な経済学の内容を知らなくても、多くの経済的事象にも応用できるよになるのでは、と感じた。
読んだ日: 2009年8月10日
読んだ場所: 平塚→東京の東海道線内
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「社会の様々な現象を、人々のインセンティブを重視した意思決定メカニズムから考えなおすことが、経済学的思考法である」
「経済学で大切な概念は、因果関係を明確にすること」
極めて仮説思考に近い。
人々の意思決定メカニズムは、非合理性、価値観の違い、すなわち非線形なものに満ちている。複雑化すれば、どこまでも複雑になる。
その複雑な現象を、インセンティブという「人の合理性」と、因果関係にならって解を導くこと。
これは工学にも応用できる思考だ。
相関関係と因果関係は違う
「まともな人は皆結婚している」という関係は、まともなひとは結婚していたとしても、まともな人 だから 結婚したという因果関係を示しているとは限らないことが重要。
この相関関係から物事を解釈することの危うさ。