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君、勉強するってことはなかなか大変だよ。遊びたい気持ちに勝たなければダメ。克己って言葉知っている?
自分に克って机に向かうんだな。入学試験ばかりではない。人間一生そうでなければいけない。
明日は檜になろう、あすは檜になろうと一生懸命に考えている木。でも永久に檜にはなれないんだって。それであすなろうと言うのよ。
あらゆる人間の営みは絶望的であったが、そうした中においてもなお人間は生きなければならない。生きることだけが尊い、そんな感情の昂りだった。自分が生きていたという不思議な今日という日に対する感激だった。
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女の人それぞれの描き方というか位置付けというか、揉まれながらおっきくなっていく様興味深かったです。
詩と真実。
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あすなろう、あすなろう
もし、目指してきたものが偽の檜だと分かったら。
もし、自分が偽の檜だと分かったら。
再び"あすなろ"となれる道はあったのだろうか。あるのだろうか。
今、この瞬間もいたる所で成長する"あすなろ"。
それは本物であるのか、偽りであるのか。
あすなろう、あすなろう…
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あすなろってのは、漢字で翌檜と書き、
明日はヒノキになろう、明日はヒノキになろう。と思うのについぞなれなかった木のことなんだそうです。
所以を知り、少し切なくなりました。
これは鮎太という人物の半生がかかれており、
女の人に魅惑されたり、記者の仕事でライバルとどちらがすっぱ抜くか競ったり、
常に模索する姿が印象的。
その姿をあすなろと呼ぶならば、
わたしは完璧になれなかったそのあすなろ、ですらないかも…
と、ちょっと胸がいたくなりました。
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20101030読了。
一人の人生のうち、大きな影響を受けた時代を時系列に6つの章を通して描く。
一人の人生を追体験するような、だけど、重くもなく気持ちよく読める。
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作者の劣等感や、もどかしさを描いた作品。
主人公の葛藤や飽きっぽさは、現代にも通じるものがある。
個人的には、「えっ?」という所で物語が終わる。
昔の本ですが、読みやすい本でした。
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一見地味なお話なのに、妙に魅力的。どんどん読んでしまいました。なんか、女に左右されてばかりの人生な気がしますが。
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何を勘違いしていたのか、道徳の教科書に出てくるような小説だと思っていたのですが、全然違うんですね…。自分は完全な人間ではないけれど、せめて「あすなろ」として精一杯自分の命を使ってみようという気になる。理屈では説明できない人生の何か不思議な面を書くのがとても上手だと思う。今まで井上靖を敬遠していて損した!
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宮本輝の「本を積んだ小舟」に紹介されていたので挑戦しました。純文学をきちんと読めるようになっていました。
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井上靖の自伝ではないのだが、その生い立ちに照らしながら、1人の人間の成長していく様が描かれる。彼の経験がやや特殊で強烈であるからか、けっこう極端な人間が描かれているかとも思えるが、ひとつひとつを見ていくと、自分にも思い当たるところがあると感じる。戦中戦後の時代だというのに読んでいると目の前に情景が見えるようだ。解説で、井上靖の小説は「絵画的イメージだ」とあるがなるほど同意する。多くの人間てのはやはり「あすなろ(あすなろう、翌檜)」か。
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思い出しては読んでいる本。でもなぜ何度も読むのか分からない本。ページをめくった時、「あれ、今ので終わりか」と毎回のように思ってしまう。
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先月に井上靖さんの『しろばんば』を読んだので、
その後の事が気になりだした。
ブックオフで見つけて購入。
(たなぞうにも書いたよ)
『猟銃』の舞台演劇が話題のようで、
井上靖さんの、その人と作品に興味が出てきた。
いまさらながら、と言う感じではあるが・・・
(そのむかし、NHK少年ドラマのしろばんばの記憶がある)
(古い話だ)
(すみません、ぜんぜんレビューになっていません)
(たなぞうのころから、こんな感じなのです)
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あすは檜になろう。
ある少年の幼少期から壮年期までを短編で描いていく。
幼少期に翌檜(あすなろ)の木を「明日は檜になろうとして、なれなかった木」として知り、深い感慨を覚える。
それは彼の心にずっと残り、時折自分に問いかける。
時代の動乱と人生の動乱が混じり、気づけば終戦後、壮年になっていた。
『深い深い雪の中で』が一番印象深い。
情景はきれいな物語だが、それだけではなく、、、。
翌檜の逸話を話した冴子の結末。それを見つめる幼少期の鮎太。
冴子は翌檜だったのか、檜だったのか。彼女の選択は結果しか残さなかったけれど、その過程で何があったのだろう。
檜になれるのは一握り。けれど、檜よりも翌檜のままでいた方が幸せだったのかもしれない。
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私はあすなろなのか?あすなろにすら、なれていないのか?と、考えさせられた。
一人の人物の成長が見れることが楽しい。人ってこうやって、自分の生きてきた歴史を背負うのか、と思った。
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1964年ごろ読了
内容紹介
天城山麓の小さな村で、血のつながりのない祖母と二人、土蔵で暮らした少年・鮎太。北国の高校で青春時代を過ごした彼が、長い大学生活を経て新聞記者となり、やがて終戦を迎えるまでの道程を、六人の女性との交流を軸に描く。明日は檜になろうと願いながら、永遠になりえない「あすなろ」の木の説話に託し、何者かになろうと夢を見、もがく人間の運命を活写した作者の自伝的小説。