紙の本
謎の空中船、大空を駆ける
2001/07/05 04:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
19世紀末、飛行機械の実用化が時間の問題となり、空を飛ぶことへの憧れが頂点に達してた時代。フィラデルフィアの気球愛好会の集会にロビュールと名乗る男が現れ、気球主義者たちが信奉する「空気より軽い機械」を痛烈に嘲り、「空気より重い機械」による飛行にこそ未来があると宣言。そして驚異の空中船〈あほうどり号〉の自由奔放な空の旅が始まる。
ジュール・ヴェルヌ1886年の作品。大空を自在に駆け巡ることへの憧れに満ちた、熱気あふれる作品である。
世界が変わろうとするその瞬間の熱気が作品全体に満ち満ちており、たたみかけるような語り口と、なにものにも束縛されず、大空をみずからの意志のままに縦横無尽に駆けめぐる〈あほうどり号〉の姿が相まって、すばらしい疾走感を感じさせてくれる。「空を飛べるということは、こういうことなのだ!!」というヴェルヌの熱いメッセージが心に響く。
ライト兄弟の飛行機が初めて空中に浮かぶ前に書かれただけあって、空力学的な面での誤解などが散見されるが、それらを見つけることもまた楽しみだったりする。
さて、本作では、この主人公氏、ロビュールとその仲間たちがどういう人々なのか、いまひとつ明らかにされない(ちょうどネモ船長とノーチラス号のクルーのような感じの人々である)。善玉なのか悪玉なのかもよくわからなかったりする。続いて続編の『世界の支配者』を読むとしよう。
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海底2万里の空バージョンともいうべき話.プロットもほとんど同じで不思議な空飛ぶ機械にさらわれた一般人とその不思議な機械(飛行機)の船長との旅物語.この話が書かれた当時にはまだ飛行機などは発明されていなかったのに,その物理的特徴をみごとにとらえているのがすごい.ただ海底2万里ほどの印象がちょっと残らなかったのはロビュール自身についての行動があまり語られなかったからだろうか.
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海、地底とくれば、「空」をテーマにしないわけにはいかないでしょう。
おそらく、読んだら誰もが「海底二万里の空ヴァージョン」だと感じると思います。
登場人物が拉致されて、世界中を引き回されるというパターンも酷似してます。
発表順から行けば、「地底旅行」、「海底二万里」、そして本作となります。
<あらすじ>
世界各地で、空からトランペットの音色が聞こえてくるという事件が起きた。
各国天文台は、その正体を突き止めようとするが徒労に終わった。
また、これまた各国の尖塔に旗がくくりつけられるという珍事件が起こる。
誰もこの真相を突き止めることはできず、推測が飛び交うだけだった。
ある日、アメリカのフィラデルフィアで、気球主義者たちの集会が開かれていた。
彼らは、気球につけるプロペラを、前につけるか、後ろにつけるかで言い争いをしていた。
そこへロビュールと名乗る男が会場の中に、さっそうと現れた。
彼は熱狂的な気球狂たちを前にして、「私は空気より重いもので空を支配した」と宣言する。
続き→http://hihidx.blog115.fc2.com/blog-entry-371.html
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【あらすじ】
アメリカ・フィラデルフィアの気球愛好家の集まり・ウェルドン協会の例会で白熱した議論の最中、ローバーなる技師が発言を求める。
彼は気球など時代遅れであり、これからは飛行機の時代だと演説して気球愛好家達を挑発。
会は大混乱に陥り、その混乱に乗じてローバーは忽然と姿を消す。
閉会後、ウェルドン協会のプルーデント会長とエバンズ書記は帰宅の途中、ローバー一味に拉致される。
彼らはローバーの発明した飛行機【アルバトロス号】で世界一周見学の旅に付き合わされることになる!!
【感想】
飛行機アルバトロス号の旅は快適そのもので、あまり危なっかしいシーンはなかったように思います。
例えば『アフリカ横断飛行』での気球の旅と比べると大きく違います。
気球はまだ地面に近いので色々な危機がありましたが、アルバトロス号は文字通り高見の見物です。
嵐に巻き込まれて南極点まで連れて行かれたのが唯一の危機でしょうか。
アルバトロス号は現在の飛行機よりも高性能で、ヘリコプターのように垂直離着陸やホバリングができるので、まるでオスプレイです。
飲食物や燃料の補給もほとんど必要ないのですから、ほとんど永久機関化しています。
ところで、アルバトロス号ではトイレや風呂はどうなっていたのでしょうか。
ヴェルヌの作品にはそういった描写はないのですが、私としては気になります。
ところで、アルバトロス号が日本を訪れるシーンがあります。
富士山を越えてから江戸に入ったという描写になっています。
しかし、集英社文庫版の巻頭のコース図を見ると、日本へは北から入り、江戸から西日本へ向かっています。
このコースなら富士山より先に江戸に入るのではないでしょうか。
https://sfklubo.net/robur/
https://sfkid.seesaa.net/article/476989999.html